藤本義一さんの直木賞受賞小説「鬼の詩」の主人公である。三つ柏の桂派に馬喬なる噺家はいないが、実在する二代目桂米喬がこのモデルだといわれている。ちなみに初代米喬は初代米団治、二代目文団治から七代目桂文治になった「上町のおやっさん」と呼ばれる噺家である。
二代目の米喬さんは芸に対して己にも他人にも厳しい人であった。初代桂春団治が腹を立てて夜襲をかけたが、間違って別の噺家(のちの桂文之助)が襲われた。米喬さんは楽屋で春団治を怒るどころか、「お前らがわしに腹を立てるのがうれしい、もっと腹が立つことをやってやるから、精進してわしを蹴落としてくれ。」と言ったらしい。これに春団治は感動して、この後米喬を慕い生涯を通じて私淑したという。
藤本さんはこの米喬という実在の人物を使って鬼気迫る作品を作ったわけである。今回の講座「からほりと落語」ではこのあたりの時代の噺家のことを通じて明治、大正、昭和の上方落語の世界を空堀というフィルターを通して見てみたい。
二代目の米喬さんは芸に対して己にも他人にも厳しい人であった。初代桂春団治が腹を立てて夜襲をかけたが、間違って別の噺家(のちの桂文之助)が襲われた。米喬さんは楽屋で春団治を怒るどころか、「お前らがわしに腹を立てるのがうれしい、もっと腹が立つことをやってやるから、精進してわしを蹴落としてくれ。」と言ったらしい。これに春団治は感動して、この後米喬を慕い生涯を通じて私淑したという。
藤本さんはこの米喬という実在の人物を使って鬼気迫る作品を作ったわけである。今回の講座「からほりと落語」ではこのあたりの時代の噺家のことを通じて明治、大正、昭和の上方落語の世界を空堀というフィルターを通して見てみたい。