直木三十五記念館の日々

直木賞にその名を残す直木三十五の記念館は市民参加型のミュージアム。運営の悪戦苦闘をストレートにお伝えします。

「アサッテの人」読み終える

2007年08月20日 | Weblog
 今回の芥川賞受賞作「アサッテの人」を読み終える。どうも私の理解力がないのであろうか石原慎太郎と同じ感想であった。確かに蛇足が多いのと、不必要に入り組んだいや悪く言えば持って回った技法に溺れた作品ではないか。これが言葉に対する挑戦なんであろうか。だったら高橋源一郎の「さよならギャングたち」に芥川賞をやったらよかったし、村上春樹の「風の歌を聴け」などは確か候補にもあがらなかった気がするが、これも充分に芥川賞であったのではないか、例えTシャツの絵が描いてあったとしても。
 ただ共感する部分もないわけではない。吃音と苦悶する叔父さんの姿と世界との関りはこの小説の大きな主題であるが、この部分を書き示したいという情熱は理解する。それであるなるなら表現の技法についてはもう一度再考していただきたかった。本当にこのようにしか纏め上げれないのであれば諏訪氏の作家としての可能性を疑う。凡庸にならずにこの主題と取組んでなお表現の方法を変えても書けたのではないだろうか。まさに石原慎太郎のこの作家の次回作こそが真の実力の見せ所であると思う。

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