広告

※このエリアは、60日間投稿が無い場合に表示されます。記事を投稿すると、表示されなくなります。

フランスの科挙制度

2007-05-15 | フランス リヨン 
フランスには科挙制度があるのかとお思いだろうが、
もちろんそんなものは無い。
が、似たものはいまだに存在している。

フランスの高等教育は高校の後、一般大学(Unuivercite)のほかに、
グラン・ゼコール(Grandes ecoles)と呼ばれるエリート学校(複数)がある。
中でも有名なのがENA(国立行政学院)でこの学校は高級官僚や、
政治家などのいわば登竜門である。明日任期満了で無事エリゼ宮を後にする
シラク大統領、前任者ミッテランなども確かここの出身だ。

パリにリセ・アンリIV という古くからの名門高校がある。
昨日テレビを見ていたらこの学校のルポをやっていた。
近年この高校に来るエリートは目だって裕福な家庭の子弟が増えて、
低所得者層からの出身者がめっきり減ってしまったことを憂慮し、
一定枠をこの貧困層から入学させることに踏み切った。
校長曰く、ナポレオン3世時代からの制度で、
広く民衆から優れた人材を求めるのが制度の基本であり、
特定階級の独占になってはいけないとの発想から踏み切ったとのこと。
この発想はまさに科挙制度と同じだ。

何故この高校かというと、話は元に戻る。
グラン・ゼコールに入るためには、Bac(大学入学資格試験)取得の後
リセ・アンリIVのような特定の高校で、プレパと呼ばれる予備(準備)教育
を受けなければならない。内容は高校のカリキュラムの延長のようなもののようで、
日本で言えば東大教養課程といったところだろうか。

しかし、この課程が18歳前後の若者だから出来るようなまさに
血を吐くような厳しい毎日である。
フランスの高校教育の特徴はなんと言っても《フィロ(ゾフィー)》と
一般に言われている哲学教育が高校3年課程にあって、これ凄い。
文科系、理数系を問わずに重要な教科である。

古典から近代までの哲学を踏まえて大学ノート3-4ページにびっしりと、
与えられた課題についての論文を書くことを教えられる。
フィロの論文は科挙を思い出させる。
洋の東西は違っても自国語に対する中華思想的な発想がなんとも似ていないか?

前述したBACの試験では、最近はかなり寛容になってきたようだが
綴り方の間違えも許されない。
綴りひとつの間違えでもマイナス1点で、20点満点から減点される。
フランス語の独特の正書法はフランス人にもなかなか難しく、
動詞や形容詞の活用をうっかり間違えただけでもマイナス1点。
20個以上間違えるとどんなに論旨が良くても0点以下!
もちろん論旨もしっかりしながら、古典などからの上手に間違え無く
引用もしなければならない。
プレパではこの哲学も数学や物理と同じくらい重要で、さらに磨きをかけて学んでいるようだ。

いまのフランスは格差が大きくなる一方でこういう移民系の子弟が、
貧困層から這い上がるチャンスはどんどん少なくなっているようだ。
テレビで見た、セネガルやパリ郊外出身アラブ人移民二世三世たちが
周りの期待を一身に背負て健気にがんばっている様は感動的ですらあった。
かつての中国で、貧困層から社会の上部へ上る唯一の手段であった科挙を
思い出した次第である。



コメント   この記事についてブログを書く
« ハーモニクス 角鹿さんのコ... | トップ | ウエブサイト コンサート情... »
最近の画像もっと見る

コメントを投稿

フランス リヨン 」カテゴリの最新記事

関連するみんなの記事