はまあるきの東屋

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村田エフェンディ滞土録:梨木果歩著

2016-10-05 21:27:08 | 読書
村田エフェンディ滞土録
梨木果歩著
角川書店
1400円+税
2004年初版



 私が今年読んだ本で、一番感動した本です。
 内容は帯にあるように、100年前にトルコへ留学した学生村田氏の友情あふれる回顧録です。
 とても、内容は深すぎて、うまく紹介できないので、
この本で随所出てくる面白いオウムを紹介することで、私の紹介文に替えます。

 田村が泊まっている宿の料理人で下働きもするトルコ人、
ムハンマドが通りでたまたま目が合ったオウムをひらいます。
このオウムはいくつかの言葉を、不思議に、絶妙の(?)頃合いでしゃべります。

 宿の経営者で英国人のディクソン夫人が料理をして、臭いが食堂に満ちてくると、
「失敗だ」と甲高く叫びます。

 ムハンマドが寝かしていたケバブ(焼き肉料理)用の肉をオウムが食い散らかしたとき、
ムハンマドがオウムを追い散らかしているとき、「いよいよ革命だ」とわめき散らします。
 
 ギリシャから来た考古学者ディミトリスは「人は過去なくして存在することはできない」
とつぶやいた。その含蓄ある言葉に皆感動し、部屋に沈黙が訪れた。その時オウムは
「悪いものを喰っただろう、ああ?」と呟いた。

 ムハンマドが果物を取りに行くと、その後ろ姿に、イチジクが欲しいので、「友よ」と。

 ドイツ人の考古学者オットーが村田に、雄鶏を捕まえてひねって、
病身の木下氏に食べさせれば、と提案すると、「革命だ、いよいよ革命だ」とオウムが騒いだ。

 このオウムの「それで十分だ」(It’s enough)は、オットーの長広舌を止めさせたり
、ディクソン夫人の長い長い「ティタイム」を切り上げさせたり、と、向かうところ敵なしの猛威を振るった。

 夜おそくまで、みんなが話に夢中になっていると、「何時だと思っているのだ、静かにしろ。」
とオットーそっくりの声音で怒鳴った。

 ディミトリスが戦場で亡くなったとき、ディミトリスの方にオウムが留まり続けていたので、
探しに行ったオットーがすぐにディミトリスの亡骸を見つけられた。
その時オウムはオットーに向かって「It’s enough」と叫んだ。(ディクソン夫人の手紙)

 日本に、村田のところに、オウムがはるばる届けられた。
ディミトリスもオットーもムハンマドも戦死したので、ディクソン夫人は、
若い村田にオウムを飼って欲しいと。オウムはほとんど口をきかないそうだ。
しかし、突然夢から覚めたように、「友よ」。と



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