南極老人からの星空への招待

かほく市天文施設での出来事や星の会の活動ならびに星にまつわる話

宇宙の距離梯子

2018-03-16 | Weblog
太陽系の外の星々までの距離はkmや天文単位では数字が大きくなりすぎる
そこで光年やパーセクを使う
1光年とは光が真空で1年(365.25日)進む距離で
1パーセクとは年周視差1秒の距離を言う

年周視差とは地球が太陽を公転すると
太陽を直角とした恒星と地球を結ぶ直角三角形ができ
恒星を頂点とした角度を年周視差とよぶ
この場合の三角形の底辺が地球の公転長半径になる
これは三角測量の原理で直接距離を測れる方法だ
そして恒星までの距離を最初に求めたのは
この方法で白鳥座61番星で年周視差0.3秒(11.4光年)だ

ちなみに1パーセク(1秒角)は3.26光年になる
しかしこの方法では望遠鏡の性能に限界があり100パーセク程度である
宇宙望遠鏡でも1000パーセクである
そこで地球から10パーセク(0.1秒角)離れた位置に恒星を置いたとき
地球から見える明るさをその恒星の絶対等級と呼ぶ
絶対等級が分かれば見かけの等級(視等級)との差で
その星までの距離を求めることが出来る
例えばアルタイルの視等級は0.76等級で絶対等級が2.2等級である
これは10バーセクより近いことになり16.7光年になる
またベガは視等級が0.03等級で絶対等級が0.6等級である
距離は7.7パーセク(25光年)になる
そしてデネブは視等級が1.25等級で絶対等級が-6.9等級である
距離は430パーセク(1400光年)である
絶対等級を求める方法は種々あるが、求まる距離には範囲がある
そこで これを繋いで遠くまで距離をを求めるので宇宙の距離梯子と呼ぶ
銀河までの距離は変光星で絶対等級を求める
しかしこれでは6500万光年までで、それ以後はⅠa型超新星爆発を利用する
この方法で数10億光年で測定し以後は宇宙の膨張速度を利用する