なんくる、なくない?

浪花節だよ、人生は。

ツ・イ・ラ・ク

2009-07-17 09:37:11 | 
―忘れられなかった。どんなに忘れようとしても、ずっと。
森本隼子、14歳。地方の小さな町で、彼に出逢った。ただ、出逢っただけだった。雨の日の、小さな事件が起きるまでは。苦しかった。切なかった。ほんとうに、ほんとうに、愛していた―。
姫野カオルコの新境地、渾身の思いを込めて恋の極みを描ききった長編小説。一生に一度の、真実の恋。

直木賞候補になった作品です。この本は、30代から40代の大人の著者にこそ強く訴える作品であると、著者のあとがきにも、石田衣良の解説にもありました。年齢的にはバッチりなので、読んでみました。姫野さんの本は初めてでしたが、ハマりそうです。この本は、今まで読んだことのないような小説でした。登場人物のだれかに感情移入するのでもなく、ぼんやり見てるのでもなくて、「目撃している」感覚。長命中学は確かにそこに存在して、痛さ、切なさがビンビン伝わってきて、甘酸っぱい気持ちにさせられます。そして、男と女の違い、人間というものの複雑さを語るその観察眼に、何度もハッとさせられました。ちょっとメモっとこうかと思ったくらいです(笑)。とは言え私も、どの程度この本を「読めた」かはわかりませんが、絶対読んで損はないですから。皆さんもどれくらい味わいつくせるか、試してみてはいかがでしょうか?