明澄五術・南華密教ブログ (めいちょうごじゅつ・なんげみっきょうぶろぐ)

明澄五術・南華密教を根幹に据え、禅や道教など中国思想全般について、日本員林学会《東海金》掛川掌瑛が語ります。

子平測局の見方  掛川掌瑛著『子平大全』より

2017年01月01日 | 五術

掛川掌瑛編著『子平大全』より抜粋


  測局の見方

 「測局」とは、卦爻や干支を利用して、世界、国家、民族などの動向を予測する術数を言います。
 子平における「測局」は、元・会・運・世の八字、即ち「局式」を使って行います。これは文明の見方と同じですが、「測局」で観るのは、その世の期間である三十年間だけであり、世が変れば、その世の八字で判断します。
 また、一世三十年のなかでの変化は、年干支により、流年として判断します。 

 次に、測局の実例を挙げて説明します。これは、二〇〇九年一月に、インターネット上で公開した記事です。

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西暦二〇〇九年の測局 

 世界の未来を予測するには「元・会・運・世」という四つの要素で、子平の「局式」を立て、「命理」の場合と同じように「強弱・格局・喜忌」を出し、「象意」を判断することができます。

 すると、現在の「局式」は、次のようになります。

   元  甲 子
   会  庚 午
   運  乙 亥
   世  甲 申
       
 ○強弱

   木 3干1支 6点 強
   火 0干0支 0点 弱
   土 0干0支 0点 弱
   金 2干1支 4点 平
   水 0干2支 0点 弱

 ○格局   内格身旺

 ○喜忌   喜神―庚  忌神―甲乙 

つまり、身旺の内格で、強すぎる運主を喜神の官殺が制している局式と言えます。
会干の庚は、運干乙に対して「修剪」つまり剪定鋏の役割を負っていますが、乙の蔦が甲の樹木にからみつく「藤蘿絆木」の状態にあり、なかなか剪定ができません。
 そこで、1984年から2013年まで続く甲申世の30年間、世界は新しい秩序を求める勢力と、今までの安定にしがみ付こうとする勢力との、せめぎあいが続くようになります。

 本年は、己丑の流年に当たります。

 己は、忌神の甲を干合して弱め、忌神の乙に抗して弱め、喜神の庚を生じて強めますから、大喜ということができます。
 丑は、元支の子を合して冲を解きますが特に影響はなく、庚の根として喜神の作用があります。

 干が「大喜」で支も「中喜」ですから、世界全体としては非常に良い年ということになりそうですが、新しい秩序を求める側が一方的に強くなり、今までの安定を求める側は押されており、必ずしも平和という状態ではありません。

 中東問題などでは、どちらが新秩序でどちらが守旧かは目まぐるしく変化しますから、全く予断を許せません。
 
 しかし、丑の十二長生は「冠帯」であり、庚の根で喜神ですから、何らかの権力奪取や権力委譲などが行われる可能性もあります。

 また、喜神「冠帯」の象意として、振る舞いがきれいで、パフォーマンスが上手、ということですから、オバマ新大統領などは、大いに支持を集めるかも知れません。
 

 ○世界経済

 この局式には「財」が出ていませんから、経済のことは、会干で判断します。
 会干庚は喜神の官殺であり、世界経済の良し悪しは、新秩序の構築如何に関わっています。
 流年の己は、忌神の甲を干合して弱め守旧派には不利であり、新秩序の構築はやりやすい環境にありますから、オバマ流のグリーン・ニューディールなどの新秩序が成功する可能性は案外あるものです。
 また流年の丑も庚の根ですから、今年は世界的に経済改革がうまくゆく年ということになります。
 つまり、既得権を維持しようとする人々にとっては良い年とは言えないでしょう。

 来年は、庚寅年ですから、干は一応喜神ですが、支は忌神であり、チグハグなことが多く現れます。 
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 この局式による測局を、もう少し詳しく検証してみます。

   元    甲△子△               体神-1   
   会 用神庚◎午△(火)    測局        用神1  四神0
   運 体神乙Ⅹ亥Ⅹ       内格身旺      喜神-1
   世    甲Ⅹ申◎      喜神火土金     忌神1

 「四神」は0点ですから、この期間中には、あまり人類文明の向上はありません。 
 この甲申世は、1984年から2013年までですから、各年の干支、喜忌と主な出来事を列挙してみます。  

 1984甲子中忌―ロス五輪、ロシアがボイコット。
 1985乙丑中忌―ソ連ゴルバチョフ書記長、ペレストロイカ開始。プラザ合意円高容認。 
 1986丙寅大忌―フィリピン・アキノ政権。ソ連チェルノブイリ原発事故。
 1987丁卯半喜―大韓機爆破事件。ニューヨーク株価暴落(ブラックマンデー)
 1988戊辰半喜―ソ連アフガニスタン撤退。イラン・イラク戦争停戦。日本バブル経済。
 1989己巳中喜―平成元年。中国天安門事件。ベルリンの壁崩壊。東欧民主化へ。
 1990庚午中喜―湾岸戦争。東西ドイツ統一。南アフリカマンデラ釈放。
 1991辛未中喜―クーデター失敗でソ連崩壊。独立国家共同体成立。ゴルバチョフ退任。
 1992壬申半喜―ユーゴスラビア内戦。国連ソマリア多国籍軍派遣。
 1993癸酉半喜―イスラエル・PLO和平合意。欧州連合(EU)が発足。
 1994甲戌半喜―金日成死去。ルワンダで内戦激化。
 1995乙亥中忌―日本地下鉄サリン事件。
 1996丙子中忌
 1997丁丑小喜―鄧小平死去。香港返還。京都議定書(地球温暖化対策)
 1998戊寅半喜
 1999己卯半喜―マカオ返還。コソボ紛争。パナマ返還。
 2000庚辰半喜―南北朝鮮首脳会談(金大中・金正日)
 2001辛巳中喜―NY同時多発テロ。アフガン戦争。
 2002壬午中忌―ユーロ通貨の流通開始。
 2003癸未中忌―イラク戦争。SARS発生。
 2004甲申半喜―欧州連合(EU)にポーランドなど十ヵ国が加盟、二十五ヵ国へ。
 2005乙酉半喜―日本で郵政選挙。原油高騰。
 2006丙戌半喜―モンテネグロ独立、ユーゴ消滅。イラク・フセイン処刑。
 2007丁亥半喜―EU27ヵ国に拡大。
 2008戊子中喜―チベット自治区で暴動。北京五輪。南オセチア紛争。コソボ独立宣言。
          リーマンショック=金融危機。オバマ大統領当選。原油最高値・暴落。
 2009己丑中喜―オバマ核兵器廃絶宣言。日本で政権交代。東アジア共同体構想。
 
 1985年の、ソ連ゴルバチョフ書記長就任を皮切りに、冷戦の終結、EU成立など、新秩序の構築は着々と進んでおり、後戻りはできないでしょう。
 2009年、オバマ新大統領は、健康保険問題で支持率を下げていますが、ノーベル平和賞受賞という形で「冠帯」しています。日本では政権交代が実現しました。
 
 2010年は、庚寅半喜の年で、抵抗は多いものの、新秩序の構築はさらに進みます。
 2011年は、辛卯半喜の年で、秩序が乱れ勝ちな傾向があり、事故や事件などが多くなる可能性があります。
 2012年は、壬辰大忌の年ですが、抵抗側が強くなることはありません。
 2013年は、癸巳半喜の年で、抵抗が強まりますが、新秩序の構築も進みます。

 2014年から2043年までの局式は次のようになります。


   元    甲△子△              体神-1   
   会 用神庚◎午△(火)   測局       用神1  四神0
   運 体神乙Ⅹ亥Ⅹ      内格身旺     喜神-1
   世    乙Ⅹ酉◎     喜神火土金    忌神1
 

 世干支の甲申が乙酉に変っただけで、五行の構成が同じで、喜忌も全く同じですから、あまり変化がないように見えます。ところが、甲は乙を強めますが、乙はただ数が多いだけで、雑草が繁るような状態であり、新秩序の構築に対して、抵抗側は腰砕けとなり、ただ混乱するだけ、という状態になります。

 2044年から2073年までの局式は、次のようになります。


   元    甲△子△              体神-1   
   会    庚◎午Ⅹ(火)  測局       用神-1  四神-4
   運 体神 乙Ⅹ亥Ⅹ     内格身旺     喜神-1
   世 用神 丙Ⅹ戌▲     喜神火土金    忌神-1


 これは、一見ひどく悪い八字のようにも見えますが、丙が湿乙を強める作用とは、乙(草花)を育てることであり、庚が乙を弱める作用が修剪(剪定)によって乙を美しく育てることですから、目的は全く同じということになります。
 つまり、この八字は『子平修密無学訣』の「種殖」に当たるもので、庚・乙・丙は、いずれも喜神と考えることができ、すると「四神」はプラス3点、ということになります。
 この時代に生きる人々は、非常に美しい世界を見ることができるかも知れませんが、美しくないものは淘汰される可能性もあり、住み易いかどうかは分かりません。

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来年、2017年(丁酉)はどんな年になるのか、考えてみましょう。

2017年の測局

 


 

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