七曜工房みかん島

18年間の大三島暮らしに区切りをつけ、
滋賀大津湖西で、新たに木のクラフトと笛の工房
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『一人で建てる木組みの家』~21 内壁その1 仕上げ

2008年09月11日 | 『一人で建てる木組みの家』
場所に応じた壁仕上げを

外壁は、下見板張りで厚さ15㎜ 幅180㎜の杉板を
ひたすら釘で打ち続けるだけであったが、
木作りの家ゆえに、内壁も杉板を張ることにしていた。

しかし、どの壁も杉板というわけにはいかない。
室内空間では、火や水や油をつかうところがあり、
それらに耐えられる壁でなければならない。
また常時は見えない壁もあり、
そこは杉板よりもコストの安い壁材で充分だ。

最近の家作りでは、壁のほとんどが乾式工法だ。
水で練り上げて、コテで塗る壁土のような湿式工法は採用されない。
コストと工期がかかる上に、職人の不足もあるようだ。

『一人で建てる木組の家』では、
古家のはく落する壁土や天井裏に降り積もった瓦の葺き土で、
家の中の土ぼこりに悩まされているので、壁土は不採用だが、
表面仕上げの練り物には、経験や実験をしたかったので、
いくつか挑戦した。

各種壁仕上げ

1) タイル仕上げ

台所は、水も火も使い、油汚れがはなはだしい場所だ。
特に壁に取り付いた油汚れは、なかなかとれないやっかいなものだ。
年末の大掃除で、
油汚れの換気扇と壁の担当は夫が任されることが多かったので、
壁材を何にするかは、大きな課題だった。

この油汚れは、壁にとどまらず、調理台にも及ぶので、
調理台を木で作ることは全く考えてなかった。
オイル仕上げくらいでは、木にとりついた油汚れはとれない。
ペイントを塗るなら、木のよさは失われる。

この油汚れや水や火に対抗できる物として、ホーローを選んだ。
だから、壁もホーローにしようと思った。
しかし、素人ではホーロー鉄板の加工はとても難しいと言われた。
特殊なカット刃が必要で、これはとても高価な物なので、
1回きりしか使わぬのは、割りに合わぬと。
ホーローというのは、鉄の表面にガラスを溶着させた物だから、
鉄とガラスを切って、折ったり曲げたりの加工は、確かに難しいと思われた。

次にステンレス板を考えたが、これも金属加工や仕上りに自信がなかった。

結局は、タイルにした。
タイルは目地の汚れが落ちにくいようだが、
汚れを防ぐ特殊目地材があるようだし、近頃ではボンドで貼るので
素人でも充分にキレイに仕上げることができると思った。



台所タイル張り 2007年8月完成

風呂場も壁と床をタイルで仕上げることにした。
ただし、激しく湯水のふりかかる風呂場の壁は、
キッチンの壁とは下地が異なる。



風呂場タイル完成 2007年9月

2) 白セメントモルタル仕上げ

土間の洗い場のうしろの壁は、白セメントモルタルとした。
タイルを貼る程のところでもないので、安価に仕上がる素材とした。
ただのセメントモルタルでは味気ないので、
しっくいの壁に合わせて、白セメントを使うことにした。



土間 白セメント壁(腰壁)としっくい壁 2007年9月

3) しっくい仕上げ
 
しっくいや珪藻土は呼吸する壁として、
最近では、とてももてはやされている。
木作りの家では、吸排湿は木材がやってくれるから、
呼吸作用を期待するものではなく、耐火性を期待して、
薪ストーブの裏壁へ塗ることにした。
薪ストーブには、レンガで炉壁を積むので、
壁素材は何でも良いのだが、
安全を期してしっくい壁とした。



薪ストーブ設置予定の後のしっくい壁 (この前にレンガを張る)

また妻壁の最上部の三角形部分も
木壁の中の白いアクセントとして、しっくい壁とした。



妻壁最上部のしっくい壁

4) 石灰モルタル仕上げ

しっくいの勉強をするために、
左官の本を何冊か読んでいる時に、
この石灰モルタルというのを見つけた。

 しっくいも石灰モルタルもどちらも硬化主材料は、石灰だが、
  日本ではしっくいがあまりに有名すぎるのか、
  石灰モルタルの施工例は少なそうである。
  ヨーロッパ等では、
  セメントが出現するまでは石灰モルタルがごく普通らしく、
  イタリアのフレスコ壁画が、この石灰モルタル壁へ描かれていると言う。
  
  日本で使われないのは、真っ白なしっくいが、日本人好みなのに比べて、
  石灰モルタルは砂の色の影響を受けて、クリーム色になるからだと。
  
  この記述を見て、むしろ使ってみたくなった。
  真っ白でつるつるしたしっくい壁よりも、
  落ち着いた淡い色の少しざらつくようなテクスチュアの壁も欲しかった。{/kirakira/
  しっくいよりも強度もありそうなので、土間の腰壁へ塗ることにした。



土間の腰壁 石灰モルタル壁におはじきを埋め込んだ



土間の腰壁 石灰モルタル壁 上部はしっくい壁

5)壁紙仕上げ

内壁は、杉板張りが中心だったので、
押入れも当初の計画では、杉板だった。

壁作業の下地作りを進めているうちに、
下地材の石こうボードやラスボードがとても安価なのに驚いていた。
下地材だから、その表面はあとで、塗り物などがのるのだが、
それにしても安い。
あの畳1枚分の大きさの重い石こうボードが数百円なのだ。
杉の壁板に比べたら10分の1にも満たない値段だ。

それならば、押入れの中の壁は、いつもは見えないところだから、
この石こうボードを使って安くあげない法はない。

また、施工も楽なように、仕上げは塗りものではなく、
壁紙を貼ることにした。
壁紙はのり付きのビニールではなく、のり別のコットンにした。
この方が健康には良い。



押入れ、 コットン壁紙張り

階段下収納は、木模様柄のものを使った。
見えないところに、オシャレをしておいた。
壁紙というのは、色彩や模様が豊かで、
部屋の雰囲気を様々に変えることができるすばらしい素材だ。
おまけにベニヤ板や石こうボードの下地に貼るので、
施工はスピーディーでコストダウンも図れるスグレモノだ。
それゆえ、今や大はやりの壁仕上げなのだが、
木組みの家では押入れと階段下収納の中に使っただけである。



階段下の収納 木模様のコットン壁紙

6)杉板仕上げ
 
木作りの家にふさわしく壁材の中心は、杉板である。
厚さ15㎜幅120㎜の相欠き仕上げで、しんちゅう釘で留めていく。
断熱材は使わないので、
外壁も内壁も板壁を少し厚くして、合わせて1寸とした。
羽目板という名称で既成の壁板もあったが、
厚みが薄いのと人口乾燥材らしく、木のツヤが無くなっているので、
1等杉を挽いてもらうことにした。
入荷した材はピカピカとつやが良く、節は多いものの、
とてもキレイな杉板だった。
モルダー仕上げは、悔しながら、小生の手がんなでは及ばない程キレイだ。

幅120㎜の板を原寸合わせしながら、コツコツと張っていくのだから、
根気のいる作業には違いない。
しかしこの他の壁仕上げが、総て下地材が必要なので、
施工のトータルで考えれば、
桟木に板を打ちつけてそれで完了という板壁仕上げは、
結局はスピーディーなのかもしれない。



トイレ 板壁仕上げ



 2007年3月 ~ 2007年9月
        

 これまでの『一人で建てる木組みの家の 家作り の様子は、こちらをどうぞ




 付記 妻・ひろより

夫が建てているのは、『木組みの家』であるので、
なんでも木でするのかと思っていたら
そうではなかった。

ひとつひとつ、丁寧に説明し相談してくれるが、
ややこしい建築資材のことなど、サッパリ分からない。

屋根下地に、
接着剤を使ったベニヤ板を使うことを拒否して
トタン屋根を強行してしまった程、
化学物質排除にこだわる夫である。

それならば、
「石灰、ケイカル、ラスボード、石こうボードってなに?」
と不思議に思い、尋ねると

「安定した自然素材だから、大丈夫」
と、自信満々に答えた。

「ふ~ん。自然素材で、化学物質ではないのか・・・・」


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