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1-3 赤ちゃんの営業スマイル

2019年11月12日 | 『少子化問題を考える』



1-3 赤ちゃんの営業スマイル


 空前のペットブームです。テレビではペットを取り上げた番組が目白押しですし、ホームセンターに行けば、
ペット用品が百花繚乱です。あちこちで「可愛い」と声が上がります。

 そんなペットブームの中、ついに犬と猫の数が子どもの数を超えてしまったとか。
 子どもの数は1553万人(2018年「人口推計」総務省統計局)。対して、ペットとして飼われている犬は約890万頭、猫は約964万頭。合わせてざっと1854万頭(2018年「全国犬猫飼育実態調査」ペットフード協会)。なんと、子どもより犬猫の方が300万も多いのです。

余談ですが;
 「子ども」の定義は、定まっていません。人口の統計では15歳未満ですが、刑法上は14歳未満です。また、交通機関では12歳未満ですね。

 ここで素朴な疑問、そもそも可愛いという感情はどこから湧き出るのでしょうか。全ての動物が持つ感情なのでしょうか。
ライオンが子ウサギをみて「あら可愛いウサちゃん」とペロペロと舐めるでしょうか。ワシがひよこに「可愛いね。これをお食べ」と餌を与えるでしょうか。わが子が可愛いとするのは、どの動物にも共通します。しかし、他人、いや他種の動物まで可愛いと感じるのは人間だけかもしれません。
 その感情の源は、「一寸の虫にも五分の魂」に表れるような殺生をしてはいけないという宗教観でしょうか。それとも徳川綱吉の「生類憐みの令」の影響でしょうか。しかし、どの時代も、どの国でも……赤ちゃんを可愛いと感じるようなので、人間が普遍的に抱く感情といってよさそうです。
私は、この「可愛い」という感情は、生存戦略の一つである考えています。

余談ですが;
 従前は、暗愚だとされた徳川綱吉は、実は名君だったと評価が変わっています。綱吉が将軍になる前は、戦国時代の殺伐とした空気が残っており、命を軽んじる風潮が蔓延していました。それを平和な社会へ導く端緒になったのが「生類憐みの令」なのです。ただ、行き過ぎた取り締まりのせいで後世の評価を下げたようです。ついでに付け加えると;鎌倉幕府の成立は1192年ではなく、1185年に変更されました。「歴史」は固定的なものではなく、流動的なのですね。

 娘が生まれた時、私はそれほど嬉しくはありませんでした。
 親としての責任が生じたので、「やっかいなことになった」と思いました。同時に、赤ちゃんが、甘い新婚家庭に侵入してきた「おじゃま虫」にさえにも見えました。

 ところが、生後3カ月頃だったでしょうか。娘を抱きかかえると、大輪の笑顔を見せてくれました。それは、「パパ、大好き」といっているようで、私は歓喜に震えました。それからというもの、自他共に認める子煩悩になったのです。

 後に知ったのですが、これは発達心理学にいう「三カ月微笑」であり、どの赤ちゃんにも見られる現象とか。娘が私に対して「パパ、大好き」というメッセージを送ったわけではなかったのです。
 冷静に考えれば、生後3カ月の赤ちゃんが、巧みに感情表現ができるとは思えません。あの微笑は「ちゃんと育ててね」、あるいは「可愛がってね」というアピールだったのでしょう。つまり、「どうぞ、ごひいきに」というキャバクラ嬢も顔負けの営業スマイルだったのです。

 これは共同養育を促すための“遺伝子のタイムスイッチ”が入ったためではないでしょうか。そのメカニズムはというと―。
 動物の社会では出産後に母親が亡くなると、子は直ちに死の危険に直面します。人間の場合、他の動物と違って個体数が少ないので、「せっかく生まれてきたのだから、何とかして皆で育てよう」という意志が共同体に強く働いたのでしょう。いわば、危機管理あるいはリスクヘッジとして共同養育のシステムを構築したといえそうです。
 その結果、実子でない赤ちゃんも可愛いと感じるようになった。そして、大人たちにその感情を誘発するような仕草を赤ちゃんもするようなった。その一つが微笑であり、生後3カ月になると、そのスイッチが入るように遺伝子に仕組まれたと解することができます。
 それが三カ月微笑の背景ではないでしょうか。
 
 冒頭のように動物を可愛いとする感情は、その波及的な効果ではないでしょうか。小さくて頼りない存在を慈(いつく)しみたいと思わせる点では赤ちゃんもペットも同じですから。

 ところで、なぜ生後3カ月なのでしょうか。そういえば、生まれたばかりの赤ちゃんは、さほど可愛いいとは思えないという方も多いようです。

 それは近寄りがたいからでしょう。生まれたばかりの赤ちゃんは、とてもか弱い存在なので、抱っこを躊躇してしまいますね。このためらいが可愛いという感情を抑制するのでしょう。
可愛いという感情を抱く条件として、小さければよいというものではなく、「撫でたい」「抱っこしたい」……等の接触の意欲を含むとされています。また、抵抗力が弱いので、親の「気安く触わるな」という気持ちを察しているのかもしれません。

 これには二足歩行も影響しているとも思われます。二足歩行により骨格が変わり、産道が狭くなったので、胎児が十分な生育してからでは難産になってしまいます。加えて、脳の発達で頭が大きくなったことも早めの出産を促しているようです。だから、本来より早めに産まれるようになったのでしょう。
生まれたばかりの赤ちゃんは、本来は胎児であり、非常にデリケートなので近寄るべきではないという考えになったのでしょう。
 生後3カ月くらいの時間がたった頃が、本格的に人間社会にデビューするのにふさわしい時期としたのかもしれません。その合図として微笑を始めるのではないでしょうか。

 なお、この微笑には、先述の産後うつに悩む母親を元気づける役目もあるのではないでしょうか。



7:29 2019/11/12







参考:
『赤ちゃんと脳科学』小西行郎〔集英社新書〕
NHK『又吉直樹のヘウレーカ!「“かわいい”ってどういうこと?」』2019年4月17日放送
















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