即席の足跡《CURIO DAYS》

毎日の不思議に思ったことを感じるままに。キーワードは、知的?好奇心、生活者発想。観る将棋ファン。線路内人立ち入り研究。

混沌を楽しむ

2008年01月22日 22時24分44秒 | 将棋
歩を「と金」に変える人材活用術―盤上の組織論
羽生 善治,二宮 清純
日本経済新聞出版社

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渡辺竜王「頭脳勝負 将棋の世界」に、
将棋をスポーツと同じように楽しんでほしい、とありましたよね。

この本、将棋とスポーツの関連性、楽しさ、普及や技術について、など、
二宮清純さんと、羽生二冠が、かなり突っ込んだトークをしていて面白かったです。

二宮さんが語る各種スポーツの真髄、特性、醍醐味などと、
羽生二冠が語る将棋の奥義、考え方、などが、
いろいろな角度、視点で、リンクしている。

羽生さんも野球、サッカーなどのスポーツのことを本当によく知っているし、二宮さんも将棋を理解しているので、二人の指摘するポイントが溶け合ったり、ショートしたりする。

将棋、スポーツだけでなく、ビジネスを含む現代のいろんな問題にまで触れて、二人の示唆に富んだ世界が広がっています。

中でも面白かった、「混沌を楽しむ」、というテーマ。

情報化という秩序の世界に生きていると、混沌状態になった時に戸惑う人がいる。
逆に嬉々として来る人もいる。

マニュアルや情報がないと動けない、もがき苦しむ。

そこは泥沼。

誰かから教わることより、
当然ながら自分でもがき苦しんで掴み取ったもの、編み出したものが大きい。
修羅場を経て、場数を踏むしかない。

混沌を楽しむ気持ち。

どんなに手を読んでも、思い描いたような展開にはならない。

居直るかのように、どうにもならないのだから、楽しむしかない、だからこそ楽しいじゃん、と割り切る。

普段の生活でも、突然友達が訪ねてきたり、いきなり上司が怒り出したりとか、予想外の事件に巻き込まれた方が、脳が活性化されて面白い、と。

決められた秩序やルールの中だけでは、もはや楽しめない。
何かを発見したり、思わぬ成長をしたりできることこそが、貴重だし、楽しい、と。

ここ、普通の棋士と違いますよね。
あくまでも自分の得意なフィールドに持ち込もうとする。
わかっている領域で勝負しようとする。

羽生二冠はここでもう違うんですね。

余裕といえばそうだし、究極のオールラウンドプレーヤーでもあり、自信に裏打ちされた姿勢でもあるんだろうけど、なんか達観してるというか、解脱してるかのような発言とも感じられる。


次に、同じようなテーマだけど、「歳をとるメリット」。

歳をとっても進歩できる。
歳は克服できる。

力のピッチングから、頭脳のピッチングへ。
81球の論理(全員を3球三振)から27球(全員を初球で打たせてアウト)の論理への転換。

そのためには、無駄を省くことが大切。
無駄を省くためには、何が無駄かを見つけられればいい。
それにはさんざん無駄なことをやってないとわからない。
無駄なことをやってきたからこそわかることだ、と。

無駄は未来への投資、だと。

自ら局面を複雑にしていく。

羅針盤がきかない局面に持っていく。

そこで、経験や引き出しに基づく判断ができる。
誰も入ったことのない未知の世界へ引きずり込む。
暗闇の中では、経験がものを言う。

すべて、スポーツや将棋の話なので、とってもわかりやすいし、
二宮さんはともかくとして、
羽生二冠は、なんで将棋だけでなく、スポーツもビジネスも含めて、いろいろな社会のメカニズムをしっかりと深く理解しているのだろうか。

盤上では鬼っ!などと言われるような強さを発揮しているけれど、そんな将棋の強さだけでなく、彼の持つ広い見識、知性は、もう棋界では本当に特別の存在になってしまった感があります。

今の羽生善治の存在が、棋界にとってどれだけの大きな意味を持つものなのか。

彼の持っている洞察力、世界観が、今後の将棋界にどれだけの大きな影響を与えていくのか。

ずいぶん前に《違和感》という記事を書きましたが、
棋界は、仲間内だけで通用する論理が多すぎる、世間から見たらまるで通用しない理屈がありすぎると指摘してきました。

あれこれも、すべて、それゆえに生まれたもめごとなんだと思っています。

羽生二冠が、今後それなりの年齢になり、棋界のオピニオンリーダーになるとともに、棋界のビジョンを打ち出し、それを実現できるような立場になったら、棋界もずいぶんと様変わりするに違いないと確信しました。

そんな彼の偉大さを改めて実感した本でした。

この本、まだいろいろ書きたいことあるので、また書きますね。
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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
小生も、読んでみようかな? (Dancho)
2008-01-22 22:56:12
nanaponさん、こんばんは。

本エントリー、興味深く拝読させていただきました。

面白いですねぇ~、「混沌を楽しむ」ですか。

小生によくある悪い癖ですが、「テンパっている」状況にあると、すべてストレスに感じてしまう…。

でも逆転の発想ですよね。これって。

川島さんが『寝られる体力』のエントリーに対するコメントで、絶対に徹夜しないで、終らなかったらつじつまを無理やりにでも合わせて「お終い」にしてしまう…というのがありましたが、これと相通じるものがあるような気がします。

小生も、あんまり「テンパって」いてあがれなくなると、「ヤキトリ」になってしまうだけと思って、今日の早い段階で、その状態から脱するように仕向けましたが…これもまぁありかな…と(笑)。

現業の方がしっかりできていれば、問題がないので、割り切りも大事かと…。

その切り替えができた時点で、すでに混沌を楽しんでいることになるのでしょうか?

本エントリーに続編があるようですので、ちょっと期待しちゃいますが、これ…読んでみようかな?と思った次第です。
ぜひ読んでみてください。 (nanapon)
2008-01-25 21:10:59
Danchoさん、こんばんは。

>小生も、あんまり「テンパって」いてあがれなくなると、「ヤキトリ」になってしまうだけと思って、今日の早い段階で、その状態から脱するように仕向けましたが…これもまぁありかな…と(笑)。

へー、Danchoさん、麻雀やるんですか?
まあ、混沌を楽しめるようになるにはずいぶんと修行がいるのだと思います。

>その切り替えができた時点で、すでに混沌を楽しんでいることになるのでしょうか?

うーん、難しいですね。
羽生二冠が言っている様な領域はもっと違う世界のことかもしれないし。

>本エントリーに続編があるようですので、ちょっと期待しちゃいますが、これ…読んでみようかな?と思った次第です。

今日もアップしますし、もう3つくらいあるかもしれません。ぜひ読んでください。

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