即席の足跡《CURIO DAYS》

毎日の不思議に思ったことを感じるままに。キーワードは、知的?好奇心、生活者発想。観る将棋ファン。線路内人立ち入り研究。

百貨店が復活する日

2010年09月15日 10時58分31秒 | 「デパート」研究
久々のデパ研ネタです。

ちょっと前の日経ビジネスオンライン松岡 真宏さんのコラム、百貨店が復活する日の中の「三十貨店」では魅力がなくて当然でしょうから引用させてもらいます。
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間違いの始まりは「選択と集中」にあった

 本連載のタイトルは、「百貨店が復活する日」です。
 え、復活するわけないだろうって?
 左様、現在、百貨店を取り巻くニュースは酷いものばかりです。有楽町で、池袋で、吉祥寺で、京都でと大消費地の店舗が続々と潰れ、リストラをやむなく慣行し、けれども日本の国内消費が一向に回復しないので、どの策も焼け石に水。
 ああ、かつて流通の王として君臨した百貨店はもはや見る影もない。

 けれども、涼しい顔で「百貨店、復活できますよ」とおっしゃる方がいらっしゃる。それが本連載に登場する松岡真宏さんです。
  
  <後略>
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長いので、後は本文をご覧ください。

整理すると、下記のようになります。

百貨店の業績は極めて悪いのは間違いない。
しかし、なぜ悪いのか、その理由を日本の消費市場が冷え込んでいるから、と一言で片付けているのは間違い。
※1990年のバブルピーク時の日本の消費支出と2006年とを比較すると、1990年100に対して、2006年は95。たった5%しか落ちていません。

ではなぜか?

その理由は、衣料に特化したから。

※1990年の日本の消費支出のうち、衣料アパレルの消費は7.4%。
それが2006年になると、なんと4.3%まで落ち込む。
この20年近くで、日本人のファッション市場は金額ベースで半分になってしまった。

その理由。
1つは中国の台頭で安価な衣料が大量に作られ、日本に輸出されるようになったこと。
もう1つは、ユニクロを筆頭とする「ファストファッション」の普及。

交通・通信は携帯電話やインターネットの発達もあり、2割前後伸びているのに比べ、。
この20年の間の日本人の消費のポートフォリオは、衣料だけが一人負けした。

結局、今の百貨店の苦境は衣料分野に特化したことが原因。

昔は、百貨店で家電もカメラも家具も扱っていたけれど、それぞれの商品を専門に扱う小売りが進化して、百貨店の売り場に競争力がなくなってしまった。
そこで、自分たちが得意とする衣料アパレル分野に経営資源を集中させてしまった。

「百貨」店から、「五十貨店」「三十貨店」になっていったほうが、サバイバルできる。
と勘違いしたのが敗因。

百貨店は、その名の通り、駅前立地の「百貨」店であるべきだった。

それは百貨店自身が、自分たちの業態が何であるのか、自分たちのコアコンピタンスが何であるのかを完全に取り違えてしまった。

では、百貨店とはどんな業態か。
何が他の小売りと徹底的に異なり、何がコアコンピタンスなのか。

答えは、
百貨店とは、
「都市部の駅前」に立地する、「多様な消費=百貨」に応える小売業態。


明快で説得力のある結論です。
デパートのことをいろいろ考えてきたけど、もやもやが少し晴れました。

そして、先日のニュースがこれ。
銀座三越が新装オープン 売り場面積1・5倍 (共同通信) - goo ニュース

かなり長いことじっと手を打てずにジリ貧状態に甘んじてきた百貨店業界。
このままでは死を迎えるだけと思ったのかどうかわからないけど、ここにきていろいろ動きがあるようです。

先週、NHK教育テレビのbizスポで取り上げられました。
三越銀座店増床 デパート決戦は?
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29か月連続で売り上げが前年割れし、不振を極めるデパート業界。今、独自の新戦略に踏み切り、生き残りをかけた決戦に臨もうと動き出しています。注目されるのが、9月11日に増床オープンする三越銀座店。その戦略は従来からの高級路線を強化する「原点回帰」。経営統合した伊勢丹のノウハウを取り入れて、テナント任せではない自主編成の売り場を強化することで集客を目指します。その一方J・フロントリテイリングは、主力の松坂屋銀座店で売り場の運営を取引先に任せる「場所貸し」路線を徹底。接客の人件費などの大幅削減を図ろうとしています。
さらに、近年増加する中国人観光客に狙いを定めた動きも活発です。高島屋日本橋店では、近隣のホテルと提携し、中国人客の送迎や商品の配送などを専門スタッフが行い、中国人客専用の商品パンフレットも作成する予定です。岐路に立つ各社の新戦略を通じて、デパート業界の再編や、消費スタイルの変化を考えました。
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三越は高級路線を強化する「原点回帰」。
一方の松坂屋は、若い女性をターゲットにして、売り場の運営を取引先に任せる「場所貸し」路線。

つまり、小売業でいくのか、不動産業でいくのか。

小売業としては、売り場、商品の自主編集能力を突き詰めていく。
これはバイヤーの生活提案力、編集力が重要になってきます。
欧米などの豊かな生活感覚を取り入れて、ハイクラスのターゲットに対して、どんどん新鮮な提案をしていくことが肝心。

一方の場所貸し路線では、どういうテナントをセレクトし、トータルでどういうコーディネートをしていくのか。
これもまた編集と言える。
ひとつの(百貨)店全体として、どういうターゲットにどういう価値を提供するのか。
街づくりのような感覚でしょうか。

どちらにしても、今までのような、中心立地だからということに甘えて、適当に商品を並べておいて、それなりのサービスをしておけば売れるという時代は終わった。
自分たちのコアコンピタンスをしっかりと認識し、自分たちで大きなリスクを取って、真剣勝負でけものみちを突き進んでいく覚悟がないと、復活はできないのだと思います。

ますます面白くなりそうな百貨店戦争。じっくり見守っていきたいと思っています。
コメント
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