今日は何の日?

昔の今日は何があったのでしょうか?ちょっとのぞいてみましょう。

東京に初のスモッグ警報(1965/01/11)

1965-01-11 12:37:17 | 化学系
1965/01/11

光化学スモッグという言葉を聞いた事がある人は多いと思います。社会科の教科書の公害問題などで出てきたのではないかと思います。
この,光化学スモッグの警報が東京で初めて出されたのが1965年1月11日です。

1960~1970代前半くらいは,公害問題が大きくクローズアップされた時代です。
公害というのはどのような意味がある言葉なのでしょうか。この言葉は「公益を害する」という意味でつくられた言葉であると言われています。明治の初め頃には,現在使われているような環境破壊的な意味だけではなく,公衆に迷惑を与える行為一般を公害とよんでいたようです。
それが1920年代ころから,現在のような環境破壊的公害が広がるとともに,現在のような意味に収束してきたのです。

ところで光化学スモッグというのはどのようなものなのでしょうか。
自動車の排気ガスや工場からのばい煙に含まれる窒素酸化物や炭化水素(特に不飽和炭化水素)などに,太陽光線の紫外線が当たって化学反応し,汚染物質を作り出します。その時発生する二次的な汚染物質に光化学オキシダントというものがあります。それが光化学スモッグの正体なのです。

光化学オキシダントは最高気温が25℃以上で,日照が9~15時の間に2.5時間以上あり,夏型の気圧配置であると非常に多く発生するといわれています。

光化学オキシダントの含有量が大気中の0.12ppm以上になり,その状態がつづくという予想があるときに,「光化学スモッグ注意報」を発令します。

昔は随分頻繁に報道されたのですが,最近はあまりそのような話を聞く機会もなくなっているように思います。しかし,2004年度に光化学スモッグ注意報が発令されたのは,全国各都道府県ではのべ187日にものぼるのです。

一時は年間4万人以上もの被害者が出た光化学スモッグですが,光化学スモッグをそれなりに理解して対処し,1000人代程度の被害者数に落ち着いていいます。しかし,近年は光化学スモッグにたいする知識や過去の被害の実態を知らない人が増えてきているのも事実で,今後の啓蒙活動も重要ではないかと思われます。

車の排気ガスなどの改善はされてきているものの,排出している台数は増える一方ですから,この問題とはなかなか縁を切れないというのが実態なのかもしれません。