1995/12/08
「もんじゅ」は、動力炉核燃料開発事業団(動燃、現在は日本原子力研究開発機構)が福井県敦賀市に設置した高速増殖炉です。
高速増殖炉は、原子力発電所でウランを燃焼させた後に発生するプルトニウムを燃焼に用います。そして、エネルギーを生み出す際、消費するプルトニウムより多いプルトニウムを生産出来るため「夢の原子炉」と言われていました。現在、日本、ロシア、フランスなどで、技術開発が進められています。
しかし、原子炉の冷却材として用いられる金属ナトリウムは、水と極めて激しく反応する性質を持つことから、その管理が難しいという技術的な課題があることや、通常の原子炉よりも建設に費用がかかることなどから、開発を取りやめる国が相次いでいます。
この事故は、もんじゅの運転を開始するため、高速増殖炉の出力を上昇していたところ、原子炉の二次冷却系のナトリウムが漏れたことを知らせる警報があり、職員が現場を確認したところ、ナトリウムが漏れたことに伴い火災が起こり、白い煙が立ちこめていることがわかりました。
その後、火災が発生した場合には高速増殖炉を直ちに停止することがマニュアルに定められているにも関わらず、徐々に出力を降下させて停止させようとしたことから、火災はさらに大きくなり、結局高速増殖炉を緊急停止することで、火災を沈静化させました。
そして、その後の調査で事故原因が明らかになる中で、運転員の訓練不足とマニュアルの不備が指摘されました。
また、この時のもんじゅの設置者である動燃が、事故の説明の際に、現場を撮影したビデオを編集した上で公表しましたが、その後、マスコミの指摘を受けて編集前のビデオを公開し、さらに後日、事故直後に撮影した現場のビデオが別にあることを発表しました。このように事故後の状況説明が二転三転したために、地域の住民や行政に不安を抱きました。
事故そのものは、二次冷却系での事故であったので放射能の漏れはほとんどなく、アメリカのスリーマイル島原子力発電所や旧ソ連のチェルノブイリ原子力発電所での事故のような、原子炉の炉心が融けてしまう事故に比べれば、軽微な事故と言えます。
しかし、事故時の高速増殖炉に対する対応と事故後の状況説明などの対応が不適切であったことから、結果として、もんじゅだけではなく原子力全般への不信を招きました。
日本では、この事故以来、高速増殖炉開発は中断されたままでしたが、2005年2月6日、福井県知事は、それまで留保していた「もんじゅ」の改造工事を了承しました。今後の動向を見守りたいところです。
2005/11/24 作成 YK
「もんじゅ」は、動力炉核燃料開発事業団(動燃、現在は日本原子力研究開発機構)が福井県敦賀市に設置した高速増殖炉です。
高速増殖炉は、原子力発電所でウランを燃焼させた後に発生するプルトニウムを燃焼に用います。そして、エネルギーを生み出す際、消費するプルトニウムより多いプルトニウムを生産出来るため「夢の原子炉」と言われていました。現在、日本、ロシア、フランスなどで、技術開発が進められています。
しかし、原子炉の冷却材として用いられる金属ナトリウムは、水と極めて激しく反応する性質を持つことから、その管理が難しいという技術的な課題があることや、通常の原子炉よりも建設に費用がかかることなどから、開発を取りやめる国が相次いでいます。
この事故は、もんじゅの運転を開始するため、高速増殖炉の出力を上昇していたところ、原子炉の二次冷却系のナトリウムが漏れたことを知らせる警報があり、職員が現場を確認したところ、ナトリウムが漏れたことに伴い火災が起こり、白い煙が立ちこめていることがわかりました。
その後、火災が発生した場合には高速増殖炉を直ちに停止することがマニュアルに定められているにも関わらず、徐々に出力を降下させて停止させようとしたことから、火災はさらに大きくなり、結局高速増殖炉を緊急停止することで、火災を沈静化させました。
そして、その後の調査で事故原因が明らかになる中で、運転員の訓練不足とマニュアルの不備が指摘されました。
また、この時のもんじゅの設置者である動燃が、事故の説明の際に、現場を撮影したビデオを編集した上で公表しましたが、その後、マスコミの指摘を受けて編集前のビデオを公開し、さらに後日、事故直後に撮影した現場のビデオが別にあることを発表しました。このように事故後の状況説明が二転三転したために、地域の住民や行政に不安を抱きました。
事故そのものは、二次冷却系での事故であったので放射能の漏れはほとんどなく、アメリカのスリーマイル島原子力発電所や旧ソ連のチェルノブイリ原子力発電所での事故のような、原子炉の炉心が融けてしまう事故に比べれば、軽微な事故と言えます。
しかし、事故時の高速増殖炉に対する対応と事故後の状況説明などの対応が不適切であったことから、結果として、もんじゅだけではなく原子力全般への不信を招きました。
日本では、この事故以来、高速増殖炉開発は中断されたままでしたが、2005年2月6日、福井県知事は、それまで留保していた「もんじゅ」の改造工事を了承しました。今後の動向を見守りたいところです。
2005/11/24 作成 YK