■アノ事件を思い出してみましょう。
1989年2月14日 イランの最高指導者アヤトラ・ホメイニによって『悪魔の詩』の著者ラシュディ、及び、発行に関わった者などに対する死刑宣告が言い渡され、ラシュディはイギリス警察に厳重に保護された。死刑宣告はイスラム法の解釈であるファトワー(fatwa)として宣告された。
1989年2月15日 イランの財団より、ファトワーの実行者に対する高額の懸賞金(日本円に換算して数億円)が提示される。
1989年6月3日 心臓発作のためホメイニが死去。ファトワーの撤回は行われなかった。ファトワーは発した本人以外は撤回できないので、以後、撤回することはできなくなった。
1991年7月12日 日本語訳を出版した五十嵐一(筑波大学助教授)が研究室にて何者かに襲われ、喉を繰り返し切られて惨殺される。 他の外国語翻訳者も狙われる。イタリアやノルウェーでは訳者が何者かに襲われ重傷を負う事件が起こった。
1993年 トルコ語翻訳者の集会が襲撃され、37人が死亡する。
1998年 イラン政府は、ファトワーを撤回することはできないが、今後一切関与せず、懸賞金も指示しないとの立場を表明する。
以上ウィキペディアより引用
■『悪魔の詩』(原題:The Satanic Verses)は、1989年にイギリスで出版された幻想小説で、今でも古本屋に並んでいます。ムハンマドの生涯を題材にしてはいますが、一種の地獄巡りのファンタジーです。その中にムハンマドが悪魔の誘惑に負けるような場面が入っていたのがホメイニ師の逆鱗に触れてしまったようです。日本では、筑波大助教授の五十嵐一(いがらし ひとし)さんが邦訳して、新泉社から1990年に発刊されました。大学構内での惨殺事件でしたが犯人はまったく分からないままでしたなあ。今回の風刺画問題では、「ファトワー」は出ていないようなので、犠牲者が出る心配は無さそうです。しかし、英・独・仏などで移民問題とイスラム教徒問題が絡み合って発火しそうな状態なので、「自由」と「世俗化」との問題が表面化すると、欧州内で自爆テロのもぐら叩きが始まり、終にはイスラム包囲網が出現してしまうかも知れません。
■そうなれば、イラク駐留軍とアフガニスタンで掃討作戦をしている部隊は一瞬にして「十字軍」の遠征隊になってしまいます。中東民主化が、いつの間にか「中東キリスト教化」になったら第三次世界大戦の勃発という事にもなり兼ねません。常任理事国が対テロ戦争を宗教問題と区別している間は大丈夫でしょうが、何かに付けて「アッラー、アクバル」を叫ぶ習慣を持つ人達を相手にするのも限度が有るような気がしますなあ。イスラム問題の最先端に位置していた昔懐かしい「アラブの大義」は、スポンサーだったソ連が崩壊してから見事に骨抜きになっているので、欧米諸国は安心してハマス苛めを始めているようです。しかし、余りやり過ぎると危険な「助っ人」を呼び込む事になるので、ご用心、ご用心。
パレスチナ評議会選挙で大勝したイスラム原理主義組織ハマスの最高幹部、ハニヤ氏は30日、ガザ地区で記者会見し、国際社会でパレスチナ自治区向け支援の見直しを示唆する動きが広まっていることを受け、欧米に対して財政支援の継続を求めた。AP通信などが伝えた。イスラエルや欧米などは国際支援が特にハマスの軍事部門に流れる事態を危惧(きぐ)している。イスラエルのオルメルト首相代行は30日、イスラエル放送で「イスラエル市民を狙うテロの資金を提供するつもりはない」と述べ、パレスチナ自治政府に代わって港湾などで徴収している関税などの引き渡しを凍結することを示唆した。国際社会による「ハマス兵糧攻め」の動きに対して、ハニヤ氏は記者会見で「支援はパレスチナ人の給与や日々の生活、社会資本に振り向けると保証する」と確約した。
■「アラブの大義」もキリスト教精神に助けられるようでは立つ瀬が有りません。欧米の人道博愛主義はキリスト教文化から生まれたものですから、イスラムは自慢の互助精神が失われている事を反省しなければ太刀打ち出来そうも有りません。アラファトさんはパレスチナ闘争を商売にしてしまったばかりに、後に残された人達は大変な目に遭っております。折角独立しても、生産活動をする基礎教育が行なわれていなかったのですから、元気なのは子供の頃からテロリスト育成教育を受けた連中ばかりのような状態でしょう。文化大革命直後と同じですなあ。武器の扱いばかり上達した人達が国づくりをしようと言うのですから、頼みの綱の援助資金が減ったりすると、血で血を洗う分捕り合戦が始まるでしょうし、一番物騒なグループが治安活動を行なうという悪い冗談が現実化しようとしているのですから、本当に悪い冗談のような事件が多発するに違い有りません。
AP通信によると、自治政府議長府は30日、アッバス議長が同日午後、ヨルダンに向かい、同国のアブドラ国王と会談すると明らかにした。31日にはエジプトを訪問する予定。武装解除などハマス穏健化で仲介を要請するとみられる。イスラエル放送はアッバス議長がエジプトでハマス政治部門指導者のメシャール氏と会談すると報じた。一方、選挙で惨敗したパレスチナ解放機構(PLO)主流派ファタハを支持する自治政府治安機関要員は30日、ファタハ指導部の退陣を求め、ガザ市でデモを繰り広げた。毎日新聞 - 1月30日
■「アラブの大義」と「反イスラエル闘争」の支援という名目で集まった資金を溜め込んだアラファトさんは、PLOが武装解除した後は軍資金をばら撒くのが仕事になっていたようで、戦闘を止めた戦闘集団が腐敗堕落するのは自然な流れです。今度はハマスが武装解除しなければなりませんが、武器を無くしたハマスはハマスではなくなって、ただのサンタクロースか慈善団体になってしまいます。迷彩服と目だし帽姿で慈善活動するのはちょっと恥ずかしいでしょうなあ。PLOと同じようにハマスも腐敗堕落してしまうのではないかと心配?になります。ハマスから分離する過激集団も現われるでしょうし、パレスチナ人同士の暗殺やらイスラエルに対する八つ当たり自爆テロも頻発する可能性が高まります。
■早く教育と地場産業の育成に着手しないと、手遅れになってしまいますなあ。ヨルダン川西岸の主要産業はキリスト教徒の観光業なのですから、「名物は自爆テロ」などという時代を早く終わらせて、イエス様が生まれた馬小屋とかマリア様が使った揺り籠とか、落語の『火炎太鼓』みたいな楽しい商売を再開した方が良いでしょう。「聖地の土」のビン詰やら、「聖地の空気」の缶詰だって売れるんですから、早く「剣を鋤に」変えた方が良いでしょうなあ。
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1989年2月14日 イランの最高指導者アヤトラ・ホメイニによって『悪魔の詩』の著者ラシュディ、及び、発行に関わった者などに対する死刑宣告が言い渡され、ラシュディはイギリス警察に厳重に保護された。死刑宣告はイスラム法の解釈であるファトワー(fatwa)として宣告された。
1989年2月15日 イランの財団より、ファトワーの実行者に対する高額の懸賞金(日本円に換算して数億円)が提示される。
1989年6月3日 心臓発作のためホメイニが死去。ファトワーの撤回は行われなかった。ファトワーは発した本人以外は撤回できないので、以後、撤回することはできなくなった。
1991年7月12日 日本語訳を出版した五十嵐一(筑波大学助教授)が研究室にて何者かに襲われ、喉を繰り返し切られて惨殺される。 他の外国語翻訳者も狙われる。イタリアやノルウェーでは訳者が何者かに襲われ重傷を負う事件が起こった。
1993年 トルコ語翻訳者の集会が襲撃され、37人が死亡する。
1998年 イラン政府は、ファトワーを撤回することはできないが、今後一切関与せず、懸賞金も指示しないとの立場を表明する。
以上ウィキペディアより引用
■『悪魔の詩』(原題:The Satanic Verses)は、1989年にイギリスで出版された幻想小説で、今でも古本屋に並んでいます。ムハンマドの生涯を題材にしてはいますが、一種の地獄巡りのファンタジーです。その中にムハンマドが悪魔の誘惑に負けるような場面が入っていたのがホメイニ師の逆鱗に触れてしまったようです。日本では、筑波大助教授の五十嵐一(いがらし ひとし)さんが邦訳して、新泉社から1990年に発刊されました。大学構内での惨殺事件でしたが犯人はまったく分からないままでしたなあ。今回の風刺画問題では、「ファトワー」は出ていないようなので、犠牲者が出る心配は無さそうです。しかし、英・独・仏などで移民問題とイスラム教徒問題が絡み合って発火しそうな状態なので、「自由」と「世俗化」との問題が表面化すると、欧州内で自爆テロのもぐら叩きが始まり、終にはイスラム包囲網が出現してしまうかも知れません。
■そうなれば、イラク駐留軍とアフガニスタンで掃討作戦をしている部隊は一瞬にして「十字軍」の遠征隊になってしまいます。中東民主化が、いつの間にか「中東キリスト教化」になったら第三次世界大戦の勃発という事にもなり兼ねません。常任理事国が対テロ戦争を宗教問題と区別している間は大丈夫でしょうが、何かに付けて「アッラー、アクバル」を叫ぶ習慣を持つ人達を相手にするのも限度が有るような気がしますなあ。イスラム問題の最先端に位置していた昔懐かしい「アラブの大義」は、スポンサーだったソ連が崩壊してから見事に骨抜きになっているので、欧米諸国は安心してハマス苛めを始めているようです。しかし、余りやり過ぎると危険な「助っ人」を呼び込む事になるので、ご用心、ご用心。
パレスチナ評議会選挙で大勝したイスラム原理主義組織ハマスの最高幹部、ハニヤ氏は30日、ガザ地区で記者会見し、国際社会でパレスチナ自治区向け支援の見直しを示唆する動きが広まっていることを受け、欧米に対して財政支援の継続を求めた。AP通信などが伝えた。イスラエルや欧米などは国際支援が特にハマスの軍事部門に流れる事態を危惧(きぐ)している。イスラエルのオルメルト首相代行は30日、イスラエル放送で「イスラエル市民を狙うテロの資金を提供するつもりはない」と述べ、パレスチナ自治政府に代わって港湾などで徴収している関税などの引き渡しを凍結することを示唆した。国際社会による「ハマス兵糧攻め」の動きに対して、ハニヤ氏は記者会見で「支援はパレスチナ人の給与や日々の生活、社会資本に振り向けると保証する」と確約した。
■「アラブの大義」もキリスト教精神に助けられるようでは立つ瀬が有りません。欧米の人道博愛主義はキリスト教文化から生まれたものですから、イスラムは自慢の互助精神が失われている事を反省しなければ太刀打ち出来そうも有りません。アラファトさんはパレスチナ闘争を商売にしてしまったばかりに、後に残された人達は大変な目に遭っております。折角独立しても、生産活動をする基礎教育が行なわれていなかったのですから、元気なのは子供の頃からテロリスト育成教育を受けた連中ばかりのような状態でしょう。文化大革命直後と同じですなあ。武器の扱いばかり上達した人達が国づくりをしようと言うのですから、頼みの綱の援助資金が減ったりすると、血で血を洗う分捕り合戦が始まるでしょうし、一番物騒なグループが治安活動を行なうという悪い冗談が現実化しようとしているのですから、本当に悪い冗談のような事件が多発するに違い有りません。
AP通信によると、自治政府議長府は30日、アッバス議長が同日午後、ヨルダンに向かい、同国のアブドラ国王と会談すると明らかにした。31日にはエジプトを訪問する予定。武装解除などハマス穏健化で仲介を要請するとみられる。イスラエル放送はアッバス議長がエジプトでハマス政治部門指導者のメシャール氏と会談すると報じた。一方、選挙で惨敗したパレスチナ解放機構(PLO)主流派ファタハを支持する自治政府治安機関要員は30日、ファタハ指導部の退陣を求め、ガザ市でデモを繰り広げた。毎日新聞 - 1月30日
■「アラブの大義」と「反イスラエル闘争」の支援という名目で集まった資金を溜め込んだアラファトさんは、PLOが武装解除した後は軍資金をばら撒くのが仕事になっていたようで、戦闘を止めた戦闘集団が腐敗堕落するのは自然な流れです。今度はハマスが武装解除しなければなりませんが、武器を無くしたハマスはハマスではなくなって、ただのサンタクロースか慈善団体になってしまいます。迷彩服と目だし帽姿で慈善活動するのはちょっと恥ずかしいでしょうなあ。PLOと同じようにハマスも腐敗堕落してしまうのではないかと心配?になります。ハマスから分離する過激集団も現われるでしょうし、パレスチナ人同士の暗殺やらイスラエルに対する八つ当たり自爆テロも頻発する可能性が高まります。
■早く教育と地場産業の育成に着手しないと、手遅れになってしまいますなあ。ヨルダン川西岸の主要産業はキリスト教徒の観光業なのですから、「名物は自爆テロ」などという時代を早く終わらせて、イエス様が生まれた馬小屋とかマリア様が使った揺り籠とか、落語の『火炎太鼓』みたいな楽しい商売を再開した方が良いでしょう。「聖地の土」のビン詰やら、「聖地の空気」の缶詰だって売れるんですから、早く「剣を鋤に」変えた方が良いでしょうなあ。
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以前、アラブの方とお話する機会があったのです。
その時の話で「自爆テロは当然の行為である。」と断言されてました。
その理由は、「紛争や内戦に巻き込まれ、回りの人間が罪なく死んでいく様を毎日見ている。それを終わらせ家族を守るために命をかけるしかないのだ。」という事でした。
改めて平和ボケした世界に住んでいるな・・という思いと同時に問題解決の難しさを感じたものでした。
ただ、こういう宗教問題がからんだ紛争にこそ、八百万の神を頂く日本が役立つのではないかと思うのですが。
罰云々の話については、「三つ子の魂百まで」の祟りの話であるとか、今日のエントリーで記載しましたが男鹿半島のナマハゲのような風習、格言、諺として戒めの言葉があります。
今の日本人がそれを忘れているだけでしょう。
ただ、自爆テロの防止策としては旅限無さんの仰せの通りだと思います。そのための手助けを日本は世界でも特殊な?!宗教観の持ち主として出来るのではないか・・・というより、1番適していると思うわけなのです。
ワシントン好みの解決は絶対無理だと思います。