旅限無(りょげむ)

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イジメ・自殺、その後の展開 其の弐

2006-11-27 07:38:39 | 教育
■後手後手に回るのを恥辱とは考えないのが政治家と役人の性格ではありますが、イジメた者を停学処分にして、イジメられた者を保護するという、何を今更と思える当たり前の事をやるのに、これだけの大騒動が必要だったというのが日本に特有の大問題でしょうなあ。本物と偽物の区別もしないで「自殺予告」に振り回された結果だとすれば、「死ぬな!」と文科相がお願いするに及んだ「自殺」という異議申し立てが、実はこの日本では有効なのだ!と政府自らが証明してしまった事になるのですぞ!もしも、自分達が進めている教育行政に自信が有るのなら、恫喝にも等しい怪文書を表沙汰にして右往左往などしないはずです。しかし、鳴り物入りで始めた「ゆとり教育」を2年も維持出来ずに寺脇研というキャラクターを生贄にしてしらばっくれた文科省に、自分達の行政に確固とした自信など無い!と国民全員が知ってしまったのですから、夜の夜中に記者会見を開いて文科相宛てに届いた「怪文書」を発表するような文科省の姿には、誰も驚かなかったのでしょうなあ。

(山形)県立高畠高の女子生徒が、同校敷地内で飛び降り自殺した22日の夜、県教育委員会の幹部らが歓送迎会を開いていた問題で、県教委は24日午前、県庁で釈明のための記者会見を開いた。佐藤敏彦教育長は「実施すべきではなかった。判断が甘かったと深く反省している」と謝罪した。会見には、歓送迎会に出席した佐藤教育長、小笠原信順総務課長ら幹部5人が臨んだ。

■文科省が悪い!教育委員会が悪い!校長が悪い!教師の質が悪い!……時々、寺脇研が悪い!日教組が悪い!などなど、際限も無い責任の押し付け合いに陥ってしまうマスコミの集中豪雨的報道に対して、「不毛な責任の押し付け合いは止めよう」という冷静な声も上がっています。しかし、こくいう教育長さんが実際に存在しているのなら、責任追及はまだまだ足りない!と言わねばならないようですぞ。


……歓送迎会には民間の新旧委員6人、当局側の課長級以上の職員13人ら計21人が出席。生徒の自殺の発生を受けて欠席したのは、高校担当の教育次長、高校教育課長ら5人だけだった。学校内で生徒の自殺がありながら、会を催した理由について、佐藤教育長は「(22日午後3時に始まった)定例教育委員会の段階では、転落して亡くなったことは知っていたが、自殺とは分かっていなかった」と説明。転落死発生を理由に、当局側が延期について委員に問い掛けたが、中止を強く主張する声は出なかったという。

■乱暴な言い方ですが、山形県という所は、「生徒が死んでも祝い事が優先」という土地柄だと言う事です。更に奇妙なのは、高校生が死んだのだから「高校担当」だけは欠席するという、恐るべき「縦割り」感覚です。こんな教育委員会が存在するところに、理解が難しい「ゆとり教育」やら、「世界史必修」などの通達や指示が投げ込まれたら、一体、どうなるのでしょう?


会の趣旨は「委員長の文部科学大臣表彰に加え、旧委員への感謝と新委員へのよろしくというお祝い」(佐藤教育長)で、祝意を込めた乾杯で始まった。懇談の中で、自殺やいじめの話題は特に出なかったという。歓送迎会は午後6時半から約2時間。佐藤教育長は歓送迎会会場の洋食店で、担当課から携帯電話で6回報告を受けたという。終了後に「いじめによる自殺の可能性が強い」との連絡を受けたが、県庁には戻らず、帰宅した。今回の問題に対するけじめを問われた佐藤教育長は「今は何も考えが及ばない。事態を一刻も早く正常に戻すことが私の責任」と述べた。

■この記事には重要な情報が欠けていて、真相がまったく見えて来ません。「文部科学大臣表彰」の理由は何だったのでしょう?「よろしくという御祝い」という日本語は意味不明です。2時間も何を喋っていたのでしょう?まさか、田舎名物のカラオケ大会で盛り上がっていたのではないでしょうな?!自殺騒ぎの携帯電話を受けながら……。そして、「今は何も考えが及ばない」という日本語も変ですなあ。この人にとって「考えが及ばない」のは「今」だけなのか?それとも、田舎の名誉職で特段の能力も無いお飾り教育長だったのか?何も分からない、変な記事であります。「事態を正常に戻す」には、自分がさらりと辞職するべきだとは、「考えが及ばない」人であることは分かります。

■文科相は脅迫に弱いようですが、少なくとも山形県の教育委員会に対して、死を以って何かを訴えても無駄になるのは確かなようですから、世間の流行に付和雷同して予告手紙でも書いてやろうか?などと考えている山形県内の生徒諸君は、考え直した方が良さそうですぞ。他の地方でも、山形県よりも立派な人材が教育委員会を運営しているとは限りませんから、無駄死にになる恐れが多分に有りますから、早まっては行けませんぞ。それにしましても、きっと後数日してから「やっと考えが及んだ」と言って辞職の会見を開くにと思われる山形県の教育長さんは、「恥の上塗り」という日本語を知らないのでしょうなあ。残念なことです。

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