旅限無(りょげむ)

歴史・外交・政治・書評・日記・映画

何かが起こる前に 其の弐

2005-09-10 09:30:41 | 社会問題・事件
其の壱の続き

■9月11日の総選挙投票が終ってから「特別国会」が召集される事になっていますが、万一、小泉さんの思惑通りに自公連立内閣が再び登場すれば、「郵政民営化専門バカ」の新人議員を筆頭に、選挙公認欲しさにビビり切ってしまった自民党の先生方が議席を埋めるのですから、外務省が「再延長」法案を提出すれば過半数の賛成ですんなり通るでしょうなあ。しかし、逆に民主党が政権を取ったら、サマーワ派遣部隊の撤退が提案されて国会は大騒ぎになるでしょう。この騒動の中で「再延長」問題が宙に浮いてしまうかも知れません。

■スペインやイタリアは、フランスやドイツという頼りがいの有る兄貴分がいるEUという集団の中に逃げ込めば安心なので、撤退を断行できましたが、日本は米国と単独で喧嘩しないと撤退は出来ません。断片的な情報を繋ぎ合わせると、米国にとって(失礼ながら)案山子同然の陸上自衛隊は旗だけを立てておいてくれれば良く、常に危険な地域への武器・人員・情報を輸送してくれる航空自衛隊の方が有り難いと思っている節が有ります。ですから、陸上自衛隊ばかりに目が行っていると、航空自衛隊の極秘任務を隠す煙幕に過ぎなかった陸自が消えると露骨な日米共同作戦の姿が露(あらわ)になってしまうのではないでしょうか?

■考えて見れば、敗戦直後から旧日本海軍は米軍とのパイプを持っていたようですし、朝鮮戦争の時には旧海軍のパイロットが極秘任務で協力していた事実も有りますから、最初にインド洋に海上自衛隊が呼び出されて、次に航空自衛隊がクウェートの基地に呼び出されるという順番は歴史的にも整合性が有ったように思えますなあ。案外、陸上自衛隊は米軍とは深く結び付いていないらしく、はっきり言ってIT化が進んでいる米軍にとっては、共同作戦をしようにも単なる足手まといとなるという噂も有ります。宿営地という動かない標的の中に潜んでいるストレスは大変なものでしょうし、空自の重要任務から日本の目を逸らすだけの案山子役だと知っているとしたら、本当に陸自の皆さんは可哀想です。

■テロリストに攻撃目標を知らせることになるから、という理由で宿営地の中での取材は拒否されているようですが、クウェートの空軍基地となれば、それ以上の機密に属している場所なので、一体、空自は何をやっているのだろう?などと思っても教えて貰えません。日本政府も米国の軍事機密を明かす権限など持っていませんから、おいそれと記者会見でペラペラ喋るわけにも行かないでしょう。そもそも、米軍がイラク全土および中東全域で何をやっているのか、日本政府はまったく知らされていない可能性さえ有りますぞ!

■郵政民営化の議論に際して、政府からまともな資料を出して貰えない民主党の体たらくですから、米軍の軍事機密事項に直結しているイラク国内での作戦行動に組み込まれているワマーワ派遣部隊とクウェートの空自部隊を、勝手に動かせるだけの情報を民主党政権がどうやって手に入れる心算なのか、はなはだ心細いばかりです。サマーワの陸上自衛隊だけ撤退させて、特措法でインド洋に派遣されている海上自衛隊だけ残すという判断を、そんな民主党がどんなレトリックで下すのかは見ものですが、自公連立政権であっても、
独自の判断を下せるだけの情報を握っているのか、とても心配になってしまいます。

■何よりも、大手のマスコミ各社が「談合」してイラク国内には「正社員」を送らないと決めているような状態ですから、私たちが偶に目にするイラクの映像は、すべて米国の検閲済みの物ばかりですし、以前の記事にも書きましたが、来日したイラク人がイラクの現状を訴えようとしても、日本のマスコミは一切相手にしないそうですから、そんな情報貧乏のままで、馬鹿馬鹿しい国会論議を聞かされて、思い込みの激しい新聞各社の素人談義の記事を読まされながら、自衛隊の撤退を考えることなど出来るわけがないでしょうなあ。こんな状態で日本国内にアルカーイダがテロを仕掛けて来たら、小泉さんは「状況を総合的に見て、適切に判断する」のでしょうなあ。そう言えば、今回の選挙で、元自衛官という衆議院議員候補が一人もいないのはどうしたわけでしょう?候補者リストで見落としているだけかも知れませんが……。

おしまい。

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