旅限無(りょげむ)

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飛べない自民党 其の弐

2009-09-30 16:04:31 | 政治
……谷垣氏は故池田勇人元首相が創設した派閥・宏池会(古賀派)に所属し、早くから派のニューリーダーと目されてきた。首相経験者の安倍晋三、福田康夫、麻生太郎3氏と共に『麻垣康三』と呼ばれ「ポスト小泉」有力議員の1人……。政敵をつくらない温厚な性格は「優柔不断」との評判につながるが、「1度決めたら自説を曲げない頑固者」(古賀派議員)との側面も持つ。平成18年9月、小泉純一郎首相(当時)の後任を決める総裁選に初出馬した。消費税率の引き上げや、地方再生など構造改革路線の修正を政権公約に掲げたため、同僚議員から小泉内閣の財務相を辞任するよう何度も進言された。だが「責任は最後まで全うする」と拒否し続けた。今でも「今回の総裁選で『構造改革を進めた張本人』と非難されたが、判断は間違っていなかった」と涼しい顔だ。

■谷垣さんが「敵を作らない」のではなくて、自民党内の派閥がすっかり活力を失って以前のような権力闘争が出来ない虚弱体質になっているだけのことのような気もします。血で血を洗う闘争を止めて、総裁を密談で決めて総選挙をずるずると先延ばししたのが最大の敗因だったはずですが、密談のメンバーは再選されて今回の総裁選でも昔ながらの陰湿な根回し工作に熱心だったようです。戦闘力を失った派閥には存在理由は無いのに消滅しないのは、朱鷺の鳥籠みたいな物だからかも知れませんなあ。温室育ちの世襲議員ばかりが集まれば、野生味を失って選挙の大敗という「放鳥」の時期が来てもぬくぬくと鳥籠の中で団子になっているしか能がないのでしょう。

■「構造改革」と聞いて即座に谷垣さんの顔が浮かばないのは、それだけ政治家としてメッセージを伝える能力に欠けているからでしょうし、人望の無い「頑固者」ではリーダーとして苦労するだけでしょう。


総裁選では「保守政治の原点に立ち返る」と繰り返した。この保守の精神は「政治の師」と仰ぐ宏池会の大先輩・故宮沢喜一元首相から受け継いだもの。自主独立と共助の精神をもとに地域共同体や伝統文化を大切にするという宮沢氏の教えが、「家庭や地域の絆を大切にする」という谷垣氏の言葉につながっているようだ。
2009年9月28日 産経ニュース

■「保守政治の原点」「自主独立」と並べれば、当然、自主憲法の制定という話になるはずですが、そこに「共助の精神」という鳩山サセテイタダク首相の「友愛」に似た正体不明の話が挟まるから、宮沢内閣が自滅したのではないでしょうか?少なくとも分裂した旧宏池会を再生させるくらいの政治力が無ければ、満身創痍の自民党を再生させることは不可能でありましょうし、「加藤の乱」で政治生命を失った昔の親分の轍を踏まないだけの世渡り術だけでは野党の先陣は切れますまいなあ。昔の宏池会は「御公家集団」と陰口を叩かれたものですが、牙を失い生気も無くなった自民党のリーダーには相応しい新総裁とも言えそうです。

■谷垣新総裁が属している古賀派は、宮沢政権後の野党暮らしの時に分かれた一方の加藤派が、離合集散を繰り返した成れの果てで、2度目の自民党最後の総理となった麻生コロコロ首相の麻生派は、宮沢派を割った一方の河野派の成れの果てという構図で、河野太郎候補が麻生派を離脱しないのは、親父の派閥を「世襲」する打算が頭にあるからではないか?それならば派閥政治の悪口を言っては行けません。

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