旅限無(りょげむ)

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北京五輪の内と外 その弐百参拾参

2008-05-19 20:59:30 | チベットもの
ギョーザ中毒事件やチベット問題による日本の対中感情悪化も懸念材料だ。福田首相が北京五輪開会式への出席を明言しないのもこうした背景がある。中国側同行筋は10日「胡主席は『日本人が温かく迎えてくれた』と満足している。来日前は不安があったが自信を深めた。ただ、安定期に入ったとは言えず、油断はできない」と語った。
5月10日 毎日新聞

■「油断できない」のは死刑執行同然の解散総選挙をびくびくしながら待っている与党議員でしょう。福田ホイホイ首相が五輪開会式への出席を明言しなかったのは、8月まで政権を担当している確信が持てないからだと思われます。ここで舞い上がって、「是非とも参加します」などと言ってしまったら、予想通りに何事かが起こり、首相の座を失った福田さんを、開会式当日には日本のマスコミが追い回して無様な暇人暮らしの姿を報道しようとするでしょうからなあ。北京五輪が華々しく開幕した時に、日本のマスコミの報道には「福田が居ない」の一言が添えられるに決まっています。群馬県の何処かに逃げ込んで引き篭もったりしても、その建物の前にマイクを握ったレポーターが群を成して……。

■「ずいぶん先なんですね」の一言は、自分を担ぎ上げたくせに人形扱いしている誰かさん達に対する精一杯の皮肉でもあったでしょうし、最悪の事態を考えての保身・保険でもあったのでしょうなあ。これでパンダも来なかったら、福田政権の時代は「大いなる外交の空白期」として歴史に刻まれることでしょう。御本人はパンダを切り札しにして「外交の福田」を演出できると思っていたようですが、言葉だけでも「気配り」と「柔軟さ」という地味ながら大切なセールス・ポイントを失う結果になったのは、実に皮肉なことです。日本の政治家は、外交などに自惚れては行けませんなあ。


時事通信社が9~12日に実施した5月の世論調査によると、福田内閣の支持率は19.9%と、発足以来最低だった前月より7.7ポイント減少した。支持率が2割を切るのは森政権末期の2001年4月以来。一方、不支持は前月比10.4ポイント増の62.8%となった。

■とうとう、あの森内閣の末期よりも不人気になってしまったホイホイ内閣!「群馬県で4人目」に当たる福田首相の就任でしたが、父親の福田赳夫さんは田中角栄さんとの血みどろの戦いと蔵相としての手腕が歴史に残され、中曽根さんは今でも自画自賛するタネをたくさん持っているほど目だった首相時代を作りました。地味な小渕さんも故人になってから評価が徐々に高まっていますから、群馬県出身の首相が「打ち止め」になる役回りが二代目福田首相ということになりそうです。


後期高齢者医療制度(長寿医療制度)への不満のほか、ガソリン税(揮発油税など)の暫定税率復活や、道路特定財源を維持する法律の衆院再可決への動きが影響したとみられる。不支持の理由(複数回答)は「期待が持てない」が同6.9ポイント増の37.1%でトップ。以下「リーダーシップがない」29.7%、「政策が駄目」23.4%、「首相を信頼できない」15.8%が続いた。支持の理由は「他に適当な人がいない」が最も多く、7.9%だった。……
5月16日 時事通信

■支持理由の一位に出ている「他に適当な人がいない」というのは、ちょっと情報収集と思考に怠慢な面が見られますが、決して、他の誰かさんよりは福田ホイホイ首相はマシだ!という積極的な意見ではなさそうです。それにしても、不支持の理由を引っくり返して、「期待を持った」「リーダーシップがある」「政策が良い」「信頼できる」という具合に、御祝儀相場とは言え、就任直後の高い支持率の中身はこうしたものだったのでしょうか?それは随分と趣味の悪い冗談でしょうなあ。