旅限無(りょげむ)

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北京五輪の内と外 その弐百壱拾参

2008-05-09 10:25:23 | チベットもの
■好き放題に暴れられた韓国政府としては、面子を保つためにも断固とした態度を示さねば国民の支持がホイホイ首相のように地に落ちますから新大統領は果敢に動いているようです。

今回の事件は「韓国人の最も敏感な神経に触れた」と指摘。それによって、韓国の前政権が中国に過度にへりくだっていたことに対する民衆の鬱憤が爆発したのだという。李新政権では、中国との関係より日米との関係を重視すると明言しており、こうした背景も今回の事件に対する激しい抗議行動の後押しになったのではと伝えられている。
5月7日 Record China

■胡錦濤主席の来日を前に、あちことにメディアで「日米中」の三角形が世界平和に貢献する!などと歴史を無視した夢物語を吹聴する「専門家」も見られましたが、「日米韓」は有り得ても「日米中」は有り得ないのではないでしょうか?無理にそんな三角形を作ろうとしたら、日本は米中どちらに対しても格下扱いされる理不尽な屈辱に耐えねばならなくなるでしょう。それを屈辱とはまったく考えないのがホイホイ外交の特質ではありますが……。

■日本の報道では、「長野市は平穏」で「ソウルは大乱闘」という信憑性に欠ける構図が軽々に採用されていたようですが、長野市で起こった事は、それほどソウル市と違っていなかったようですぞ。


……70歳すぎの知人も若い女に腹をけられ、「フリーチベット」のてくれましたが、彼らも旗ざおで殴られていました。「あの男を逮捕してくれ!」と叫んだのですが、警察官は私たちと中国人グループを引き離して「あっちに行かないでくれ」と叫ぶばかり。目の前に犯人がいるのに取り押さえようとしないんです。結局、私は後頭部に大きなコブが残り、おまけに頸椎ねんざで全治3週間。20人近くの仲間が暴行を受け、頭や背中にけがをしました。女性も老人もお構いなしです。一体ここはどこの国なんですか!

■以上が「東京都西東京市の自営業、中川章さん(57)の証言」です。日中友好を手段を選ばず推し進めようとするホイホイ内閣が、長野市での聖火リレーに向けて何処にどんな指示を出していたのかが、実によく分かる証言だと思います。こんなに苦労したのですから、ペコペコホイホイとバカ高い料金で借り受けるパンダを罪滅ぼしの意味で長野市に譲っては如何でしょう?勿論、料金は政府持ちか福田内閣の「機密費」から出すというのが前提です。万が一、子供パンダが生まれたら、群馬県に又貸ししてもよいかも?

■次は牧野聖修・前民主党衆院議員(63)の証言。


私はチベット支援団体「セーブ・チベット・ネットワーク」の呼びかけ人として善光寺から約30人のチベット人とともにチベット旗を持って行進しました。行く先々でずいぶんと中国国旗のポールでたたかれたり突かれたりしましたが、幸い仲間にも大きなけがはありませんでした。「ワン・チャイナ」(1つの中国)と叫ぶ中国人たちの妨害は激しかったですね。沿道でいくらチベットの「雪山獅子旗」を振っても大きな中国国旗で取り囲み隠してしまうんです。歩こうとしても、中国人に押されて車道に出され、今度は警察官に「歩道に戻ってください」と怒鳴られて…。まさに板挟みの状態でした。……終着点である若里公園にたどり着きましたが、すでに中国国旗で埋め尽くされ、足を踏み入れる余地はありません。結局、警察官に別の小さな公園に誘導され、ゴールの瞬間を迎えました。チ……

■「ワン・チャイナ」ではなく、「グッド・チャイナ」とか「フェア・チャイナ」と叫んで欲しかったですなあ。本番の五輪大会になれば、「ワン・チャイナ」の前に「ナンバー」などが付いて、勘違いナショナリズムが暴走し始めそうですからなあ。この大量動員の裏事情は新聞や週刊誌などで徐々に明らかになって来ていますが、到底、ボランティアなどと呼べる人達ではないのは間違いない!。ビートたけしが発明した毒入り川柳に「赤信号、皆で渡れば怖くない」というのがありましたが、日本ならば爆笑を呼ぶブラック・ジョークでも、チャイナで披露したらきっと誰も笑わないでしょうなあ。冗談ではなく、どこの都市でも人数が集まったらぞろぞろと横断してしまうのは当たり前の風景です。

■「皆で渡れば怖くない」のは赤信号だけとは限りません。東京の中国大使館とその裏には北京政府がいて、随分と高いところから出ている指示に従っているんだ!という愛国的な意識が集団化したら、誰も制止など出来ません。次の証言は長野市の主婦の方からです。


小学1年生の長女と手作りの日の丸を作って聖火リレーを見に行ったのです。でもリレーコースは畳ほどもある中国国旗ばかりでもう圧倒されちゃって…。おまけに至る所で怒鳴り声が響いており、怖くなって娘に日の丸を振るのをあきらめさせました。娘は「なぜ中国の旗ばかりで日の丸はないの?」と聞いてきましたが、うまく答えられませんでした。結局、沿道から少し離れたところで、警備のすき間から聖火を見ることはできたのですが、長野五輪の時のような拍手は起きませんでしたね。……
以上、2008年5月4日 産経ニュース

■小学1年生のお嬢さんは、とても良い社会勉強が出来ましたね。あれがチャイナなのですよ。人数を恃(たの)んで国旗を武器にし、大声を上げる。他人の迷惑はまったく考えない人達が、10億人以上も居るのですが、その迫力と恐ろしさを肌で感じられたのは長野市の子供たちにとっては何よりの財産になることでしょう。怪我がなくて好かったですね。その後、怖い夢を見てうなされたりしていないか、ちょっと心配ですが……。長野冬季五輪の記憶を持っている年齢の長野市民の皆さんは、さらに素晴らしい見聞をしたことになりますぞ。「平和の祭典」もチャイナが手懸けると、どういう物に変わってしまうのか、実地で比較検討出来るたのですから、これも貴重な体験でしょう。

■東京などから大型バスで乗り込んで、使命を達成したらさっさと帰って行った連中は意気揚々としていたのでしょうが、長野市内に滞在している同国人達は、これから気まずい空気の中で暮らさねばならないのでしょうなあ。
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