中国イスラム教協会の陳広元会長は18日、ローマ法王ベネディクト16世がイスラム教を侮辱したと受け止められる発言をしたことについて「協会と中国のイスラム教徒は強い憤りと非難を表明する」と述べた。新華社とのインタビューに答えた。中国国内には約2000万人のイスラム教徒がいると推定されている。
毎日新聞 - 9月18日
■チャイナのイスラム教徒は、回族とウイグル族とが大きな割合を占めますが、それ以外にも同じ信仰を持つ少数民族が存在します。清朝を滅亡させた勢力の中に、四川省と新疆との広大な地域に荒れ狂ったイスラム教徒の反乱が有りました。北京政府としても、上手にガス抜きしておかないと、何が起こるか分かったものではないので外交攻勢の材料に取り込みながら、ここは「信教の自由」を楯にして中東利権を守りつつ、国内の宗教的な不満を解消する一石二鳥の作戦を執っているわけですなあ。
ブッシュ米大統領は18日、ニューヨーク市内でマレーシアのアブドラ首相と会談し、イスラム教と暴力を結び付けたとされるローマ法王ベネディクト16世の発言にイスラム社会が強く反発している問題について、「法王は謝罪し、誠意を示したと信じている」と述べた。時事通信 - 9月19日
■行きがかり上、ブッシュ大統領はこう言うしか有りません。でも、自分がイラク攻撃の成功を宣言した時に用いた「十字軍」礼賛の言説に関しては、絶対に「謝罪」も「誠意」も見せることはないでしょうなあ。何だか政権末期を象徴するように、何かを言えば言うほど泥沼の深みに入っているような印象が強いですなあ。ちょっと古い記事ですが、ブッシュ大統領が素朴に信じ込んでいる現代の「十字軍」の正体が分かる話が有ります。
ブッシュ米大統領は…訪問先のブダペストで、ハンガリー動乱から今年で50年を迎えるのを記念して演説。自由への闘争を経て、社会主義政権の「圧政」から民主化を達成したハンガリーの歴史を例に、イラクでも自由を確立できると訴えた。治安の泥沼化が続くイラクは、かつてのハンガリーのように「犠牲と忍耐が必要」とも語った。民主化を求める市民が蜂起した1956年のハンガリー動乱は、当時のソ連の軍事介入で鎮圧され、多数が犠牲になった。大統領は、市民はそれでも「希望を持ち続け、1989年に民主化を達成した」と強調。市民を鼓舞した「民主化の理念」こそが、現在のイラクを率いるマリキ首相が支柱としているものだとの認識を示した。
共同通信 - 6月23日
■親父がレーガン大統領と一緒にソ連を崩壊させた「伝説」を、中東地域に強引に重ねているのが良く分かりますなあ。ハンガリー動乱もチェコ動乱も、米国はベトナム戦争に忙しくて結局は見棄てたのに、「希望」が民主化を達成したなどというアホな演説をしているのです。既に深刻な内戦状態になってしまったイラクに関して、さすがのブッシュ大統領もこんな演説はしなくなってしまいましたなあ。アフガニスタンは混乱の極致に近付き、イラクは外から流入するテロリストを追い回している内に宗教対立が噴き出し、おろおろしている間にレバノンが火を噴いて、米国本土は常に大規模テロが明日にも起こる心配が尽きない生活になりました。もう専門家の間でも、「何処で間違えたのか?」と問われても答えようのないどろどろの状態になってしまいました。米国の流儀は、アホな選択をした政権は最後まで間違いを認めず、単なる政権交代によって過去を隠蔽し続けるだけです。しかし、それが世界規模の大間違いだった場合には、米国内の政権交代だけで済む問題では有りませんぞ。
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