旅限無(りょげむ)

歴史・外交・政治・書評・日記・映画

北朝鮮激怒し、朝日は当惑す 其の弐

2005-12-01 23:30:55 | マスメディア
其の壱の続き

■でも、朝日新聞は北朝鮮への支援を試みていますぞ。


他国の人権状況に注文をつけるのは簡単なことではない。決議案に中ロを含む22カ国が反対し、韓国など62カ国が棄権した。反対・棄権は84カ国に及び、くしくも賛成国の数と同じだったところからも、それは分かる。

■明日は我が身と恐れているトンデモない国家がそれだけ沢山存在している証拠でしょう。「中ロをはじめ」と朝日新聞は語るに落ちていますぞ!


それでも賛成が多数を占めたのは、国際社会の深刻な認識を示すmのだ。この決議は欧州連合(EU)が音頭をとり……

■奥歯に物が挟まったような口調というのは、こういう社説を言うのでしょうなあ。朝日新聞はどちらを指示しようと言うのだろう?


フランスを除くEU主要国は、北朝鮮と国交をすでに開いている。対話を進めつつ批判すべきは批判し、圧力をかけていく重層的な対応だ。

その「国交を開いている」EU諸国が、この決議案を出しているのですから、この書き方は変ですなあ。「批判すべきは批判し、圧力をかけていく重層的な対応」を朝日新聞はまったくせずに、「地上の楽園」を最近まで支持していたのではなかったでしょうか?これからは「重層的」という単語が愛用されることになりそうですなあ。では、「圧力」って何でしょう?経済制裁は効果が無いから絶対に反対だ!と主張している朝日新聞は、どんな圧力を考えているのでしょう?実は、社説の筆者は話の持って行き場が無くて七転八倒しているのです。


……6者協議で曲がりなりにも対話が続くさなかに、北朝鮮を刺激するのは得策ではないとの見方もあるかもしれない。

■くっ苦しいぃ。二重否定に推量表現の連打ですなあ。■


核とともに拉致問題の解決を求めるのは、その点で国際社会の連隊が確認される意義は大きい。

ここはとても歯切れが良いのですが、これは小泉政権の外交政策を全面的に支持している事になります。さっきは「反対・棄権は賛成と同数だ!」と読者の注意を喚起していたのに、インドネシアを例に引いて自分の主張を掘り崩してしまいます。


インドネシアは、特定の国家を非難する決議自体には反対するとしながらも、北朝鮮に「国際社会からの正当な関心には、しかるべき対応を」と求めた。決議に反対票を投じた国からさえも、そんな要求が出ている現実を北朝鮮は直視しなければなるまい。

■「なるまい」という力の無い末尾には、自責の念が滲み出しているのですが、素直には認めません。この文は、投票結果を書いた直後に加えるべき物です。文末に持って来るから話がややこしくなるのです。でも、そうしないとこれまで保持して来た自社の主張が崩壊するのでしょうなあ。最後は、もうヤケクソ気味です。


食べるものがあるか。自由にものが言えるか。そんな北朝鮮の人々の人権にも、私たちは無関心でいたくない。

開いた口が塞がりません!「無関心でいた」のは誰でしょう?今更、「いたくない。」と言うのですから、やはり、この社説は慙愧と後悔の念を表明したものだと斟酌(しんしゃく)して上げなければならないのでしょうか?少なくとも、この社説を書いた人の仲間以外は、ずっと前から「無関心で」はいませんでしたから、この「私たち」とは誰なのか?さっぱり分かりませんなあ。

■教育現場に新聞を!という大キャンペーンを展開している新聞各社には、是非とも、この社説を取り上げて全国の学校に推薦して欲しいものです。勿論、何を言っているのかさっぱり分からない「悪い見本」の作文としてですが……。

-------------------------------------------
■当ブログの目次
どこから読んだら良いか迷ったらここをクリック

■こちらのブログもよろしく
雲来末・風来末(うんらいまつふうらいまつ) テツガク的旅行記
五劫の切れ端(ごこうのきれはし)仏教の支流と源流のつまみ食い
------------------------------------------

北朝鮮激怒し、朝日は当惑す 其の壱

2005-12-01 23:29:59 | マスメディア
■面子丸潰れです。面子だけで突っ張っているような国が、国連という舞台で面子を潰されました。代表が怒り狂うのも無理は有りませんが、あの人は無事に暮らしていけるのでしょうか?

13歳の中学1年生だった横田めぐみさんが北朝鮮の工作員に拉致されてから、この15日で28年がたった。……何の罪もない人たちを家族から突如引き離し、連れ去る。そういう拉致は人権侵害の最たるものである。

■これが11月19日の朝日新聞社説の冒頭です。面子が潰されたのは日本の朝日新聞も同様です。一体、どんな社説を掲げるのかなあ?と興味津々でしたが、案の定、奇妙な捻れた文章が登場しましたぞ!何度読んでも、さっぱり意味が分かりません。「拉致は人権侵害の最たるもの」ならば、「拉致はない!」と報道し続けた新聞社の人権侵害はどうなっているのでしょう?朝鮮民主主義人民共和国という懐かしい名前も紙面から消えてから、随分時間が経ちましたが、「拉致はない!」と書いていた記者やデスクが処分されたという話は聞いていませんから、そのままのスタッフが記事を書いているのでしょう。


……「北朝鮮の組織的かつ深刻で広範囲な人権侵害が継続して報告されていることに深刻な懸念を示す」国連総会にかける議案のうち人権問題を扱う第3委員会は、北朝鮮の人権状況を非難する決議案を採択した。

■あっさりと事実を書いているのは、これまでの北朝鮮擁護の姿勢と矛盾するような気もしますが、「組織的かつ深刻で広範囲な」人権侵害に拉致犯罪が含まれるのなら、早期に騒いで大規模な犯罪を未然に防ぐ事が出来なかった被害国の代表である日本の責任は重大ですぞ!それに関する文言が、この社説にぜんぜん出て来ないのは大したものです。まるで他人事。


「強制的な失踪という形態の外国人拉致」と具体的に明記し、未解決であると指摘している。

■ついでに、「易々と謀略宣伝に乗ったマスコミの多さ」にも言及して欲しかったですなあ。


政治犯の強制収用所……連れ戻された脱北者への虐待、思想や信教、表現などの自由に対する「全面的な厳しい制限」も批判した。さらに、北朝鮮が国連機関による食糧支援の受け入れを止める姿勢を示していることに関連して、「乳幼児の栄養不良が蔓延し、危機的だ」と憂慮を表明した。

■50以上の出身成分(身分)に国民を分けて厳格に差別している体制が、下層成分の赤ん坊が痩せようが死のうが、気にするはずは有りません。宣伝用には重宝しているようですが……。


来月の総会で採択される見通しだという。国連総会が北朝鮮を名指しして人権状況を非難するのは初めてだ。拘束力はないとはいえ、国際社会としての重い意思表示である。

■何を今更、という感想を持たない朝日新聞は、「初めて」を強調しているようです。内心では、自分達も責められていると感じているのかも知れませんが、部外者か傍観者の立場を守り通すようですぞ。


北朝鮮はさっそく「内政干渉と体制転覆を狙う米国の政策に基づいたものだ」と反発しているが、こうした深刻な懸念の表明を真剣に受け止めるべきだ。

■嗚呼、この文言が四半世紀前に掲載されていたら、どんなに朝日新聞は称賛された事でしょう!

其の弐に続く