■新聞やテレビではあまり取り上げていませんが、一部では大きな注目を集めている大事件が起こったようです。北朝鮮の核兵器廃絶を話し合う目的で六カ国協議が開催される事が決まっていたというのに、チャイナの将軍さんがトンデモない発言をしたそうですぞ!
対米核戦争を警告=中国人民解放軍将軍
【北京15日】中国人民解放軍の朱成虎少将(国防大学教授)は記者会見で、台湾問題に絡んで米国の攻撃を受けた場合、中国は核兵器による報復を加えると警告した。
会見をカバーしたフィナンシャル・タイムズ紙などが報じたもので、朱少将は「米国が台湾問題で介入し、中国の領域にミサイルや誘導弾を撃ち込んだ場合、中国は断固、核兵器で報復する」と言明。「われわれは西安以東の全都市が焦土と化すことを覚悟している。米国も数百の都市が中国の核ミサイルで灰燼に帰すことを肝に銘じなければならない」と言い切った。
朱少将は、この発言をあくまで個人的な意見とし、中国政府の立場を表明したものではないと念を押しているものの、人民解放軍将官が核兵器使用の可能性を断言したのは異例。
この発言について、分析筋は「中国が台湾問題を真剣に考えていることをはっきりと示す狙い」と見ている。〔AFP=時事〕
■かつてポンピドー仏大統領に向って、全面核戦争を歓迎すると毛沢東が発言した時代は昔の事だと誰もが思っているのに、栄光有る人民解放軍はその伝統を今も守っているのですなあ。北京の地下鉄に乗ってみれば、その異様な深さに驚くものですが、その手本となったモスクワの地下鉄の深さを知っていれば、それが核シェルターとして設計されているのが分かります。モスクワの地下鉄で動いているエスカレーターの速さは半端ではなくて、慣れない日本人は片足上げたまま間抜けな案山子(かかし)になってしまうほどです。遥かに下を見れば、果てしも無く深い穴に向って落ち込んで行くような錯覚に襲われます。日本も霞ヶ関駅は日本一の深さを誇るそうで、その場所がら万一の場合の備えではなかろうか?と真面目に疑う人々がいますなあ。大日本帝国はトンネル堀りの名人でしたから、帝都東京は知られざる大地下都市でもあったらしく、大江戸線の開通で崩落の恐れが有った地下通路が結果的に地下鉄に模様替えして補強工事が終了したという話も有りますなあ。
■基本的なデータをウェキペディアで見ますと、
戦略ミサイル部隊
中国語では「第二砲兵」という。 総兵力約10万人を有するが、実態は機密のベールに包まれている。 台湾対岸の福建省に大部隊を配置しているとされる。また核兵器搭載のICBM(大陸間弾道ミサイル)(東風2号など)20基以上、中距離弾道ミサイル130基から150基、短距離弾道ミサイル360基以上を保有している。吉林省の通化基地には24発の中距離弾道ミサイルが配備され日本に向けて照準されてある。
という具合ですが、核ミサイルを発射できる原子力潜水艦も持っていますから、「米本土」の前に在日米軍基地周辺が月面のような風景に変ってしまうでしょうし、「西安以東」と米国の主要都市を互いに焼き尽くした後でも、トドメの核を海中に潜ませて置けるというわけで、北朝鮮の核問題が解決しても基本的には核兵器を互いに向け合っている世界の現実を忘れるなよ!という有り難い将軍様の教えなのでしょう。上野公園のパンダだって焼かれるのですから可哀想ですなあ。
■英国から香港を取り戻し、ポルトガルからマカオを奪還したまでは外交交渉で済みましたが、次に予告されている台湾となるとヤヤこしい歴史が邪魔をして話し合いでは何時になったら取り戻せるのかさっぱり分かりません。前任者の江沢民さんは、小泉首相ばりに任期中に台湾を奪還して歴史に自分の名を残そうと思っていたようですが、米国の太平洋戦略が壁になって台湾の国論を二分するところまでしか出来ませんでした。胡錦涛さんは台湾の前に、地下資源の豊かな尖閣諸島を固めて、太平洋への出口を確保する選択をしているようですが、そうなればいよいよ米国との直接対決の可能性が高まるので、早々と、「我々は本気だぜ!」と人民解放軍の意志を明らかにしておく事にしたのかも知れません。この将軍さんは共産党に叱られたとか、失脚したとか、粛清されたとも聞きませんから、良くぞ言った!と褒められているのでしょうなあ。胡錦涛さんが一緒に喜んでいるかどうかは別問題です。
■こんな発言をしたら世界から孤立して袋叩きに合うかと思えば、「我々は決して孤独ではないぞ!」という企画がちゃんと用意されていたのでした。
軍事演習:中露が初めて合同で 中国東部で18日から
中国とロシアは2日、18~25日の8日間、初の大規模合同軍事演習を中国東部の山東半島周辺海域などで実施すると発表した。
「平和の使命2005」と名づけた演習について、両国は「第三者を目標にしたり、第三国の利益を損なわない」と説明した。戦略爆撃機による巡航ミサイルの発射訓練や両国海兵隊の上陸演習を行う予定で、日米安保体制へのけん制や、中国の台湾武力侵攻を想定した演習との観測も出ている。
会見したロシア陸軍総司令部のモルテンスコイ副司令官によると、演習は中国側の提案で計画された。日本政府の05年版「防衛白書」は、中国の国防費の大幅増や軍近代化に懸念を示している。中露の軍事協力拡大に周辺国で「中国脅威論」が高まる可能性がある。
実戦形式が中心で、両国の陸海空3軍から計1万人近くが参加する。ロシアの約1800人以外は中国側の参加だ。中国の一部部隊がテロ集団などを想定した「敵部隊」を演じ、中露両軍で撃退するシナリオだ。実戦演習に先立ち、ロシア極東のウラジオストクで中露両参謀本部による机上演習も実施する。
演習は、テロ防止などを目的とする中露と中央アジア4カ国でつくる上海協力機構の国防相らに加え、同機構への参加を希望するモンゴル、パキスタン、インド、イランも視察する予定だ。
毎日新聞 2005年8月2日
■因みに巡航ミサイルは核弾頭搭載可能ですし、視察に来るパキスタンとインドは既に核保有国で、イランは間も無く仲間入りしそうな国です。中国が「第三国の利益を損なわない」と言っているのは、「台湾は第三国ではないぞ!」という意味を含んでいます。上海協力機構は内陸の中央アジア諸国と中国・ロシアが結成した組織ですから、テロ集団との戦いを想定していると言いながら「上陸演習」が含まれているのは奇妙です。ですから、この場合のテロリストは「一つの中国」を認めない分裂主義者を意味していて、彼等は海を渡って行かないと攻撃出来ない場所にいる事になりますから、仮想上陸地点は台湾の西海岸でしょうなあ。もしかすると、韓国を東西から襲うような事態も想定しているかも知れませんし、ウラジオストクで図上演習するのなら、北海道の地図も使われるかも知れませんなあ。
■核を搭載した巡航ミサイルと中距離ミサイルを隅田川の川開きみたいに打ち込まれたら、当たったらラッキーな馬鹿高い迎撃システムでは対応のしようも無いので、強襲揚陸艦艇が押し寄せた時には白旗を揚げるしかないでしょうし、政権中枢を焼かれていたら、和平交渉をする代表まであちらの御指名に従わねばならないでしょう。昔、ソ連が東ヨーロッパを呑み込んだ懐かしいやり方ですなあ。六カ国協議が開催される裏側やら周辺で、本物の核兵器をちらつかせる品評会が開催されるようなものですから、いよいよ広島の平和公園に刻まれた「過ち」は近付いているのかも知れませんぞ。だからと言って、原爆慰霊碑に八つ当たりなんかしては行けません。
-------------------------------------------
■当ブログの目次
どこから読んだら良いか迷ったらここをクリック
■こちらのブログもよろしく
雲来末・風来末(うんらいまつふうらいまつ) テツガク的旅行記
五劫の切れ端(ごこうのきれはし)教の支流と源流のつまみ食い
------------------------------------------
対米核戦争を警告=中国人民解放軍将軍
【北京15日】中国人民解放軍の朱成虎少将(国防大学教授)は記者会見で、台湾問題に絡んで米国の攻撃を受けた場合、中国は核兵器による報復を加えると警告した。
会見をカバーしたフィナンシャル・タイムズ紙などが報じたもので、朱少将は「米国が台湾問題で介入し、中国の領域にミサイルや誘導弾を撃ち込んだ場合、中国は断固、核兵器で報復する」と言明。「われわれは西安以東の全都市が焦土と化すことを覚悟している。米国も数百の都市が中国の核ミサイルで灰燼に帰すことを肝に銘じなければならない」と言い切った。
朱少将は、この発言をあくまで個人的な意見とし、中国政府の立場を表明したものではないと念を押しているものの、人民解放軍将官が核兵器使用の可能性を断言したのは異例。
この発言について、分析筋は「中国が台湾問題を真剣に考えていることをはっきりと示す狙い」と見ている。〔AFP=時事〕
■かつてポンピドー仏大統領に向って、全面核戦争を歓迎すると毛沢東が発言した時代は昔の事だと誰もが思っているのに、栄光有る人民解放軍はその伝統を今も守っているのですなあ。北京の地下鉄に乗ってみれば、その異様な深さに驚くものですが、その手本となったモスクワの地下鉄の深さを知っていれば、それが核シェルターとして設計されているのが分かります。モスクワの地下鉄で動いているエスカレーターの速さは半端ではなくて、慣れない日本人は片足上げたまま間抜けな案山子(かかし)になってしまうほどです。遥かに下を見れば、果てしも無く深い穴に向って落ち込んで行くような錯覚に襲われます。日本も霞ヶ関駅は日本一の深さを誇るそうで、その場所がら万一の場合の備えではなかろうか?と真面目に疑う人々がいますなあ。大日本帝国はトンネル堀りの名人でしたから、帝都東京は知られざる大地下都市でもあったらしく、大江戸線の開通で崩落の恐れが有った地下通路が結果的に地下鉄に模様替えして補強工事が終了したという話も有りますなあ。
■基本的なデータをウェキペディアで見ますと、
戦略ミサイル部隊
中国語では「第二砲兵」という。 総兵力約10万人を有するが、実態は機密のベールに包まれている。 台湾対岸の福建省に大部隊を配置しているとされる。また核兵器搭載のICBM(大陸間弾道ミサイル)(東風2号など)20基以上、中距離弾道ミサイル130基から150基、短距離弾道ミサイル360基以上を保有している。吉林省の通化基地には24発の中距離弾道ミサイルが配備され日本に向けて照準されてある。
という具合ですが、核ミサイルを発射できる原子力潜水艦も持っていますから、「米本土」の前に在日米軍基地周辺が月面のような風景に変ってしまうでしょうし、「西安以東」と米国の主要都市を互いに焼き尽くした後でも、トドメの核を海中に潜ませて置けるというわけで、北朝鮮の核問題が解決しても基本的には核兵器を互いに向け合っている世界の現実を忘れるなよ!という有り難い将軍様の教えなのでしょう。上野公園のパンダだって焼かれるのですから可哀想ですなあ。
■英国から香港を取り戻し、ポルトガルからマカオを奪還したまでは外交交渉で済みましたが、次に予告されている台湾となるとヤヤこしい歴史が邪魔をして話し合いでは何時になったら取り戻せるのかさっぱり分かりません。前任者の江沢民さんは、小泉首相ばりに任期中に台湾を奪還して歴史に自分の名を残そうと思っていたようですが、米国の太平洋戦略が壁になって台湾の国論を二分するところまでしか出来ませんでした。胡錦涛さんは台湾の前に、地下資源の豊かな尖閣諸島を固めて、太平洋への出口を確保する選択をしているようですが、そうなればいよいよ米国との直接対決の可能性が高まるので、早々と、「我々は本気だぜ!」と人民解放軍の意志を明らかにしておく事にしたのかも知れません。この将軍さんは共産党に叱られたとか、失脚したとか、粛清されたとも聞きませんから、良くぞ言った!と褒められているのでしょうなあ。胡錦涛さんが一緒に喜んでいるかどうかは別問題です。
■こんな発言をしたら世界から孤立して袋叩きに合うかと思えば、「我々は決して孤独ではないぞ!」という企画がちゃんと用意されていたのでした。
軍事演習:中露が初めて合同で 中国東部で18日から
中国とロシアは2日、18~25日の8日間、初の大規模合同軍事演習を中国東部の山東半島周辺海域などで実施すると発表した。
「平和の使命2005」と名づけた演習について、両国は「第三者を目標にしたり、第三国の利益を損なわない」と説明した。戦略爆撃機による巡航ミサイルの発射訓練や両国海兵隊の上陸演習を行う予定で、日米安保体制へのけん制や、中国の台湾武力侵攻を想定した演習との観測も出ている。
会見したロシア陸軍総司令部のモルテンスコイ副司令官によると、演習は中国側の提案で計画された。日本政府の05年版「防衛白書」は、中国の国防費の大幅増や軍近代化に懸念を示している。中露の軍事協力拡大に周辺国で「中国脅威論」が高まる可能性がある。
実戦形式が中心で、両国の陸海空3軍から計1万人近くが参加する。ロシアの約1800人以外は中国側の参加だ。中国の一部部隊がテロ集団などを想定した「敵部隊」を演じ、中露両軍で撃退するシナリオだ。実戦演習に先立ち、ロシア極東のウラジオストクで中露両参謀本部による机上演習も実施する。
演習は、テロ防止などを目的とする中露と中央アジア4カ国でつくる上海協力機構の国防相らに加え、同機構への参加を希望するモンゴル、パキスタン、インド、イランも視察する予定だ。
毎日新聞 2005年8月2日
■因みに巡航ミサイルは核弾頭搭載可能ですし、視察に来るパキスタンとインドは既に核保有国で、イランは間も無く仲間入りしそうな国です。中国が「第三国の利益を損なわない」と言っているのは、「台湾は第三国ではないぞ!」という意味を含んでいます。上海協力機構は内陸の中央アジア諸国と中国・ロシアが結成した組織ですから、テロ集団との戦いを想定していると言いながら「上陸演習」が含まれているのは奇妙です。ですから、この場合のテロリストは「一つの中国」を認めない分裂主義者を意味していて、彼等は海を渡って行かないと攻撃出来ない場所にいる事になりますから、仮想上陸地点は台湾の西海岸でしょうなあ。もしかすると、韓国を東西から襲うような事態も想定しているかも知れませんし、ウラジオストクで図上演習するのなら、北海道の地図も使われるかも知れませんなあ。
■核を搭載した巡航ミサイルと中距離ミサイルを隅田川の川開きみたいに打ち込まれたら、当たったらラッキーな馬鹿高い迎撃システムでは対応のしようも無いので、強襲揚陸艦艇が押し寄せた時には白旗を揚げるしかないでしょうし、政権中枢を焼かれていたら、和平交渉をする代表まであちらの御指名に従わねばならないでしょう。昔、ソ連が東ヨーロッパを呑み込んだ懐かしいやり方ですなあ。六カ国協議が開催される裏側やら周辺で、本物の核兵器をちらつかせる品評会が開催されるようなものですから、いよいよ広島の平和公園に刻まれた「過ち」は近付いているのかも知れませんぞ。だからと言って、原爆慰霊碑に八つ当たりなんかしては行けません。
-------------------------------------------
■当ブログの目次
どこから読んだら良いか迷ったらここをクリック
■こちらのブログもよろしく
雲来末・風来末(うんらいまつふうらいまつ) テツガク的旅行記
五劫の切れ端(ごこうのきれはし)教の支流と源流のつまみ食い
------------------------------------------