竹原BLOG:奈良民話祭り ― グリム童話・メルヘン・語りの文化 とっておきの話。 

夏の奈良民話祭り:8月5日(金)午後3時より奈良町物語館で4回公演!
奈良燈花会に行きがてら、ぜひ来てくださいね!

晩秋の里山を散歩し、皇帝ダリアに出会う!

2015年11月28日 | 奈良
土曜日の午後、久しぶりに我が家の近郊を散歩しました。


生駒の里山は、すっかり晩秋の風情(ふぜい)でした。


近くのゴルフ場に、黄色に映える見事な立木が2本ありました。

さらに歩くと、


近くの民家の庭からピンクの大輪の花が高くそびえて咲いていました。

おやおや、晩秋にこんな花は珍しいぞとあたりを見回すと、


また、もう一本、別の民家の庭にも見つかりました。

帰宅してから、これは何という花だろうと、ネットや植物図鑑でいろいろ調べてみると、


この写真が載っていて、「皇帝ダリア」という花だとわかりました。
なるほど、ダリアに似ていますよね。
そして、以下の説明が書いてありました。

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ダリア属の植物は、メキシコから中米に27種が分布しており、茎が木質化する3種がツリーダリアと呼ばれています。
皇帝ダリアは、そのなかでも特に茎が太くなり草丈が高くなる品種です。成長すると大きく育つことから、
皇帝ダリア(Dahlia imperialis)と名づけられました。
皇帝ダリアは、日が短くならないと花芽ができないので、開花期が遅く11月下旬から咲き出します。
よく成長すると5~6メートルにも達し、2階の窓から花を楽しめるようになります。
品種は少なく、薄紫色の一重の花を咲かせるものは、野生種だと考えられています。
庭植えのものは露地で越冬しますが、鉢植えは凍らせないように管理しましょう。
-----------------

ちょうど、晩秋の11月下旬が見頃のようで、
今までこの花に気づかなかったのは、私だけでしょうか?

今日は、散歩で出会った「皇帝ダリア」の話題でした。

いよいよ、これから寒くなります。
皆さま、ご自愛ください。
では、また来週末、ブログでお会いしましょう!



朝日カルチャー・くずは教室「グリム童話と昔話の世界にようこそ!」パートVIを開講!

2015年11月21日 | 民話
秋、たけなわですね!
街路樹を見ていると、紅葉、黄葉が見事で、
自然の織りなすスペクタクルを大いに楽しんでいます。
みなさま、お元気ですか?

さて、今回はいつもブログを見てくださっている方々に
少し早めですが、新春1月からの講演のご案内です。

朝日カルチャーセンターの「くずは」教室で開講して1年余りになります。

「グリム童話と昔話の世界にようこそ!」パートVIを紹介します。

よろしければ、ぜひおいでください!




■講座名
グリム童話と昔話の世界にようこそ!
―昔話とメディア: 口伝え → 読むメルヘン → 見るアニメ その変遷を解き明かす!―
■講師
梅花女子大学大学院客員教授 竹原 威滋

■日時
1月から3月の第3週 金曜 15:30-17:30
1月15日、2月19日、3月18日 (全3回)

■受講料
1月~3月(3回)  会員 7,452円 一般 8,424円  (1回受講 2,808円)

■講演内容
昔話・民話は太古から語りつがれてきた。時代とともにメディアも変遷してきた。
★家庭で聴く口伝えの「こぶとり爺さん」
★本で読む「グリム童話]
★ネットで見る「世界百人村」
時代を超え、メディアを超えて世界の子どもたちに今なお愛されている物語の世界の面白さの秘密をさぐる。

■授業のテーマ
1月15日・・・★口伝えの神話伝承を文字に書き留めた太安万侶
           日本最古の物語文献『古事記』から「八岐大蛇」を読み解く。
2月19日・・・★ドイツの民話を読むメルヘンに仕立てあげたグリム兄弟
           『グリム童話』から「蛙の王さま」を読み解く。
3月18日・・・★ネットで伝わるメッセージは誰もが主人公
           ネット・ロアから「世界百人村」と「Today」を読み解く。


詳しくは下記のサイトをご覧ください:
グリム童話と昔話の世界にようこそ!

「奈良の民話を語りつぐ会」、「平城西女性セミナー」の方々には少し遠いですが、
昔話とグリム童話を系統的に学んでいただくには良い機会です。

「とぶアヒル」の会員の方々はじめ高槻・茨木・枚方・京田辺の近辺にお住いの方、
ぜひ、いらっしゃってください!

今日は、カルチャーセンター講演のご案内でした。

(追伸)
前々回ブログで紹介した奈良教育大公開講座「語りの講座IV] よろしかったら、来てくださいね。
来週金曜スタートです。
11月27日(金)竹原威滋 小澤俊夫と比較民話学
-グリム・リュティー・柳田國男・関敬吾を引き継ぐ-

では、また来週末にブログでお会いしましょう!
お元気で!

増田恵子:「ぼく、ニホンオオカミになる!!」が東吉野村絵本コンクール最優秀賞に!

2015年11月14日 | 民話
8月29日のブログにおいて
「東吉野村ニホンオオカミ手作り絵本コンクール」募集の記事を載せましたが、
今回その結果が東吉野村より発表されました。



全国31都道府県と米国から112作品が寄せられたそうですが、
なんと、「吉野民話地図」の絵をかいてくださった増田恵子さんが最優秀賞の村長賞に輝きました。


「ぼく、ニホンオオカミになる!!」 作・絵 マスダケイコ

------以下:新聞記事より引用します。-------------------------

 マスダさんの作品では、犬のヤマトが飼い主のおじいさんからニホンオオカミは優しくて人を傷つけず、
山道では人を守ると聞いて「オオカミになる」と決意。
おじいさんを迎えに行く途中、森の中で本物のオオカミに出会う--というあらすじ。
絵はカラー30枚で、暗い森に現れたオオカミは強く神秘的だ。



 「赤ずきん」の話をはじめ、西洋や中国ではオオカミは悪役が一般的。ただ、増田さんの印象は違っていた。
奈良教育大在学中に「吉野民話地図」の作成に携わり、東吉野村も訪れた際「送りオオカミ」の話を聞いた。
増田さんは「地元の話を聞いていたので、私はオオカミが好きだった。吉野の自然の美しさ、魅力も感じてほしい」と言う。
コンクールを企画した村地域おこし協力隊の大谷彩貴さん(33)は「東京生まれの私も『赤ずきん』的なオオカミ観が変わった。
オオカミと東吉野を発信していきたい」と話した。【栗栖健】

------以上:毎日新聞(2015年11月04日奈良版)より-------------------------

増田さんの絵本「ぼく、ニホンオオカミになる!!」は、来春までに東吉野村から出版されるそうです。
その際には、一部入手して、おはなし会などで、是非、奈良の子どもたちにも読み聞かせをしてあげたいですね。

今日は、絵本紹介のブログでした。

(追伸)
前回ブログで紹介した奈良教育大公開講座「語りの講座IV] よろしかったら、申し込んでくださいね。

では、また来週末にブログでお会いしましょう!
お元気で!


「語りの講座IV」(奈良教育大学・11月~2月・全6回)いよいよ申込み開始!

2015年11月07日 | 民話
お待たせしました。
奈良教育大学「語りの講座IV]がいよいよ11月27日(金)より開講します。
申込み開始は、11月9日(月)からです。
今回は、ファックスでなく、メールのみでの申し込みになります。
メールのない方は、知人にお願いして、連名で申し込んでください。



◇ 日時: 金曜日午後2時~午後3時半(最終回のみ火曜日) 全6回開講
 平成27年 11月27日 12月11日  平成28年 1月22日 1月29日 2月12日 2月23日
◇ 会場: 奈良教育大学 講義棟 102 教室
◇ 講師: 本学名誉教授 竹原 威滋 (たけはら たけしげ)
     長尾にじの子教室お話会 吉川 紗代 (よしかわ さよ)
     和歌山昔ばなしを語る会 額田 美那子 (ぬかた みなこ) 
   

◇ 申込方法
【対象】本学大学院生・学生・教職員、一般市民、  【定員】50名(先着順)
【申込期間】平成27年11月9日(月)~11月20日(金) 【参加費】無料
【申込方法】e-mailにて、下記申込先に
     「講座名および、参加者の氏名・年齢・住所・電話番号・e-mailアドレス」をご記入の上、
     お申し込みください。
     代表者が複数名を同時に申し込むことも可能です。
     なお、申込者多数の場合、先着順とさせていただきます。
【申込み・ 問合わせ先 】奈良教育大学 青木智史研究室 
Tel:0742-27-9188  Mail: aoki@nara-edu.ac.jp

詳しくは、下記のサイトをご覧ください:
「地域と伝統文化」お知らせ

11月27日(金)竹原威滋 小澤俊夫と比較民話学-グリム・リュティー・柳田國男・関敬吾を引き継ぐ-
12月11日(金)吉川紗代 三輪山神話と蛇婿入話-野尻とよ子さんの語り・蛇婿入話の比較-
12月22日(金)額田美那子 「おとら婆さまのムカシ」 を語り継ぐ-花園村の昔話の発見・再話-
1月29日(金)竹原威滋 グリム童話の語り手:フィーメニン夫人の語り-受講生によるお話会-
2月12日(金)吉川紗代 奈良の昔話「狼の金の玉」-松本智惠子さんの語り・文体の特徴-
2月23日(火)吉川紗代 奈良の昔話「もるぞおそろし」-聞き取り・再話・紙芝居-

詳しい講義内容は下記サイトの2頁目を参照ください:
2015語りの講座IV


今日は、語り手講座の案内でした。

朝晩はずいぶん冷えるようになってきました。
どうぞお身体ご自愛ください。

では、来週末にまたブログでお会いしましょう!
お元気で!


2015正倉院展で飛天に会ってきました!

2015年10月31日 | 民話
思い切って今年も正倉院展に行ってきました!



メインの陳列は、「紫檀木画槽琵琶(したんもくがそうのびわ)」です。
小花文を斜格子風に配した背面のデザインは現代にも通じるものがあります。



次に注目すべきは、「山水花虫背円鏡(さんすいかちゅうはいのえんきょう)」です。
鏡背面には山々で遊ぶ鳥や動物が描かれています。


雌雄の鹿の戯れる姿は見ていて、ほほ笑ましく、その表現に感心しました。
唐からの舶載品だそうです。



次に見たのは、「紅牙撥鏤尺(こうげばちるのしゃく)」です。
これは、「染め象牙のものさし」です。
表の面には唐花文と鳥を交互に配してあります。

裏面には山岳、鳥、花、雲、飛天を描いてあります。





特に、この飛天の表情豊かな表現には目を見張りました!

それで、思い出しましましたのが、
白鳳展で見た「薬師寺東塔の水煙に描かれた飛天」です。


今年の正倉院展では、飛天たちに会えたのが印象的でした。

11月9日(月)まで開催中です。

みなさんも、是非、いらしてください!


(ナーミンのみなさんに連絡)
奈良教育大学の語りの講座のお知らせは、
次回ブログに載せます。しばらくお待ちを!


では、みなさま、来週末にまたブログでお会いしましょう!
お元気で!

中上武二編著『大和の民話』(奈良県篇、奈良市篇の2冊)自費出版される!76話紹介!

2015年10月24日 | 民話
今日は、本ブログのメイン・テーマの話題です。

奈良教育大の大先輩:中上武二さんが長年のフィールド調査で蒐集されたお話のうち
76話をまとめて、『大和の民話』を自費出版されました。




-------以下、朝日新聞(20115.10.12.)より---------------------------------

 長年、県内各地に伝わる民話を収集してきた小学校の元校長が、「大和の民話」(奈良県篇、奈良市篇の2冊)を自費出版した。
子供たちに聞かせるように、優しくリズム感のある語り口で76話を紹介している。

 著者は、水間、帯解、西大寺北の奈良市立の各小学校で校長を務めた中上武二(なかうえたけじ)さん(72)。
野迫川村弓手原(ゆみてはら)で生まれた。
「お大師さん(空海)が高野山にお寺を開く前、弓手原にやってきて候補地にしたこともあった」。
そんな言い伝えを囲炉裏端で祖母や曽祖母から聞いて育った。

 奈良学芸大(現奈良教育大)に入り、民俗学者の林宏・助教授(当時)に師事。
下北山村や奈良市の山間部での聞き取り調査に付き従った。宮司や住職、お年寄りの語りに耳を傾けては、つぶさに書きとめた。

 小学校教諭になってからも、十津川村や野迫川村での調査を続け、研究会で報告。
教室で子供たちに、季節や年中行事に合った話を語り聞かせた。

 「校長先生は昔話をする時、目が大きくなります」と作文に書いた子も。
「うちのじいちゃんもその話、知ってるぞ」などと言われると、家を訪ねて話してもらうこともあった。

 1998年、情報誌「月刊大和路ならら」で民話連載を開始。古事記や日本書紀に原典があるものも、そのまま引くのではなく、
必ず登場する舞台に足を運び、地元の人たちに言い伝えを確かめた。
原文の雰囲気を損ねず、わかりやすく伝える言葉選びに心を砕いた。

 挿絵は現奈良市立春日中学校の杉本哲也教諭らが担当。中上さんは2010年にくも膜下出血で倒れるまで、136話をつづった。

 今回、この中から奈良県篇に31話、奈良市篇に45話を収録。200部ずつを自費出版した。
大和名所記や今昔物語集が伝えるものや、奈良市の「牛に生まれ変わった話」「鳥見の蟹(かに)の恩返し」など
日本霊異記に書かれたもの……。奇想天外な展開の中に、今にも生きる教訓がちりばめられている。

 「家族のかたちや娯楽が変わり、伝承は途絶えつつある。各地に伝わる民話を、地元に関心を持つ入り口にしてもらえたら」。
大和の民話は、奈良市の県立図書情報館で読むことができる。(栗田優美)  

-------以上、朝日新聞より-------------------


この記事を読んで、一部分けてもらおうと、すぐ先生に連絡したが、残念ながら、在庫はないとのこと。
奈良市立中央図書館、県立図書情報館にあるので、閲覧くださいとのことでした。

このような郷土史家の地味な活動と翻字・再話テキストが、わたしたち、ナーミン(奈良の民話を語りつぐ会)では
大切な資料なのです。

是非、拝読して、私たちのレパートリーに入れたいと思います。


たとえば、次のような話は面白いですね。


-------以下産経新聞(2015.9.19.)記事より-------

奈良県編の箸墓(桜井市)にかかわる民話では、長者の男が貧乏な暮らしを願い、
「箸を捨てると天罰で貧乏になる」という言い伝えから毎日、箸や膳などを捨て、それが積もって箸墓になったという話や、
大峯山寺(天川村)では千手観音の功徳を説いた千手陀羅尼を唱えながら修行していた聖人の男が、
深い谷で大蛇の群れに襲われそうになったが、鬼に助けられる-という話などが紹介されている。

--------以上産経新聞記事より--------------------


では、みなさま、来週末、次のブログでお会いしましょう!
これから寒くなります。みなさま、お元気で!

★古民家で聞く大和の昔話★10月25日(日)★都跡公民館の隣:旧田中家住宅★

2015年10月17日 | 民話
生駒山の山並みをみると、すっかり黄色と赤に色づいています。
肌寒さも感じる頃となり、秋も深まりましたね。
みなさま、お元気ですか?

今日は、「古民家で聞く大和の昔話」(秋)の案内をしましょう!

奈良に伝わる民話や伝説・昔話を旧田中家住宅(奈良市指定文化財)で聞くイベントです。



日程 2015年10月25日(日)10時~11時20分
場所:都跡公民館 隣 旧田中家住宅

語りはナーミン(奈良の民話を語りつぐ会)の会員のみなさんです。

参加費無料で申込みは不要ですので、
お時間があれば、秋のひとときをぜひいらしてださい。

詳しくは、案内とアクセスをごらんください。

では、プログラムをあらかじめ載せておきましょう:

1.紙芝居  「良弁杉」
2.おはなし 「十三鐘の石子詰め」
3.不審ヶ辻子の鬼 
4.わらべうた
5.十五夜の月
6.おばすて山
7.金を生むねこ 
8.伯母ヶ峰の一本足
9.わらべうた
10.きつねのお産
11.きつねにだまされた魚屋さん
12.てんぐのまな板石
13.あんころもちとあみだ様
14.園生姫

(当日の都合で語りの順に一部変更あり)


今日は、古民家で語られる大和昔話のイベント情報でした。

では、来週末にブログでお会いしましょう!

  

臨時ブログ:桝田静代さんが「日本自費出版文化賞・大賞」の授賞式に臨む!

2015年10月14日 | 民話
9月4日のブログでお伝えしましたように、
自費出版の著者の業績をたたえる第18回日本自費出版文化賞の大賞に、
天理市在住、桝田静代さんの著書「絵双六―その起源と庶民文化」(京阪奈情報教育出版)が選ばれました。
ことしは7部門になんと612点の応募があり、そのなかから最終選考会で桝田さんの著書が最高賞の大賞に選ばれたのですから、
すごいことです。

そしてこのほど、10月10日(土曜日)に受賞式が
アルカディア市ヶ谷の5階「大雪の間」にて14:00~17:00まで執り行なわれました。


日本自費出版文化賞の大賞を受けられる桝田静代さん


大賞の表彰状を持つ桝田静代さん、選考委員の中山千夏さんとともに。

表彰式では、自費出版アドバイザー認定式、日本自費出版文化賞の受賞者(今回は14名)の表彰と、
受賞者による受賞作品成立の経緯や執筆の苦労などの特別スピーチが会場を和ませていました。
その他、会場では入賞・入選・一次選考通過作品と過去の受賞作品の展示、選考委員による講評も行われました。

大賞
『絵双六―その起源と庶民文化―(枡田静代さん、研究評論部門)』

部門賞 (各部門一点)
地域文化部門=『富山県における学童集団疎開-戦争、子どもと地域の観点から-(須山盛彰さん)』
個人誌部門=『平成おくのほそ道 道中記(澤田康さん)』
小説部門=『失郷民-趙南冨とその時代-(中田哲三さん)』
エッセー部門=『アンコール・極上葡萄酒談義(近藤聰さん)』
詩歌部門=『遊絲(嵯峨美津江さん)』
研究評論部門=『献身 遺伝病FAP(家族性アミロイドポリニューロパシー)患者と志多田正子たちのたたかい(大久保真紀さん)』
グラフィック部門=『UPPER MUSTANG-Way To Lo-Mauthang(井上一夫さん)』

特別賞
『稲作のマツリと祈り-淡路島の年中行事-(永田誠吾さん)』、『『おいしい』に想いをこめて(長岡末治さん)』、『dwipa14 ―島旅のあいまい魅―(花澤周志さん)』 、『国蝶の生れ立つ樹(神山奉子さん)』、『小川郷太郎作品集(小川郷太郎さん)』、『詩集ひかりのうつわ(半田信和さん)』、『瀬戸口靖代句集―精霊舟―(瀬戸口靖代さん)』


表彰式で各部門賞、特別賞の受賞者とともに記念撮影

今日は、臨時特報ブログとして、自費出版文化賞の表彰式の模様をお伝えしました。

桝田さんは、梅花女子大学の大学院 児童文学専攻で研究され、博士論文を出版され、
「研究評論部門」で大賞を取られたのですが、
上述しましたように、実にさまざまの部門で自費出版されています。

いまは、ネット・ロア(電網文芸)の時代です。
無名の著者が、ネットで文芸作品、昔話の再話、趣味の作品、自分史などをアップし、
それが話題になり、出版される時代です。

みなさまも、生きた証を遺すため、自費出版に挑戦しませんか?

では、今週末の定番のブログでお会いしましょう!

私の書評(新刊紹介):吉田孝夫『山と妖怪 ドイツ山岳伝説考』(八坂書房)掲載!

2015年10月10日 | 民話
ようやく紅葉の秋ですね。
ブログもここらでちょっと趣向を変えて、
アカデミックな内容となります。

ひょっとしたら、みなさまもご存知かもしれませんが、
ドイツの児童文学者プロイスラーの語る伝説物語集『わたしの山の精霊ものがたり』
山の精霊リューベツァールにまつわる楽しいお話が入っています。
2012年の夏休みの本(緑陰図書)の課題図書にもなっています。
それを翻訳されたのが、奈良女子大学の吉田孝夫先生です。

今日のブログは、その先生の近著『山と妖怪 ドイツ山岳伝説考』を読んで
その書評を『口承文芸研究』38号(2015年3月)に書きましたが、
それをブログで公表しましょう!



以下、ゆっくり、じっくり読んでくださいね。

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 白雪姫に登場する七人の小びとは鉱山で金を掘る仕事をしている。
ホレばあさんは羽ふとんをはたいて地上に雪を降らせる。
― グリム・メルヒェンでおなじみの小びともホレばあさんも元をただせば、山の聖霊であり、
グリム・ドイツ伝説集にそのルーツをみることができる。
本書はそのような山の妖怪についてドイツの民俗学研究者の文献を渉猟しながら論じたものである。

グリム・メルヒェンについてはすでに各話の語り手が誰であるか、どのようにしてグリム兄弟が
原話を読むメルヒェンに仕立て上げていったかなどが明らかにされている。
これに対しグリム伝説集については日本ではほとんどその研究の実態が知られていない。
本書はその意味において貴重な情報を得ることができる書物である。

 最近のグリム伝説研究(H=J・ウター)によると、
グリム兄弟はメルヒェンと同様に、伝説集の編纂に際し、そのテクストを人為的に加工した跡がみられるという。
グリム兄弟が主として利用した近世の資料は、中世的なキリスト教世界から醒め始め、
啓蒙主義の萌芽を感じ取ることができるものだった。
ところが19世紀のグリム、ドイツの民族・国民・民衆の文化の大いなる根源を探求したグリムは、
近世の伝承内容を、逆に「再神話化」したという。
つまり伝説資料を含む文脈の削除、異版テクストの混合、文章のモンタージュ、
不都合な出典の隠蔽などをしたのである。
具体例を挙げると、伝説集184番「悪魔の水車小屋」においてヤーコプ・グリムは
悪魔との契約期間を「その夜のうちに」という文に「鶏が時を告げる前に」というテクストを加筆している。
これは、雄鶏の鳴き声が持つ俗信的意味合いに注意を払ってのことである。
グリムは物語をそのまま記録することよりも、むしろ古代の信仰の痕跡を重要視したかったのであろう。
本書の著者はこのように最近のドイツにおけるグリム伝説研究についても詳細に紹介している。

 本書を目次に従ってみてみると、まず前半においてドイツの鉱山伝説を考察している。
ヨーロッパの近世において鉱山業は時代の基幹産業であり、この時代のドイツは、
鉱山業を牽引する地位にあった。この空間に、古来のどのような言説が残存し、
どのように特殊な伝説を開花させていたのかを丹念にたどっている。

そして後半においてはドイツの山の妖怪を考察している。男の山の妖怪として「リューベツァール」を、
女の妖怪として「ホレさま」を取り上げ、男女それぞれの妖怪にまつわる伝説と社会との関係を考察している。
とくに、グリム伝説集の主要な出典となっている近世ドイツのヨハネス・プレトーリウスの書物からの
「リューベツァール」について論じた箇所は、圧巻である。
リューベツァールとは、人の命が寄せては返す、山の異界と日常との境界を行き来して、
両者を隔てつつ結ぶ魂の導者であるという。
著者はまた、古代日本の『記紀』における、奈良葛城山での一言主神の顕現の物語や
『日本霊異記』における役行者の逸話にも言及し、霊的世界に通じた呪術者・シャーマン的存在の
東西比較も試みている。

 このように、山の妖怪をめぐる伝説が近世を経て近代へと生き延び、
今なお現代伝説としても語り継がれることの意味を多くの文献に当たり、
多角的に考察している意欲的な論考である。
写真、図版、地図も多数掲載されており、読みやすく工夫されている。
                        (竹原威滋)

-------------------------

以上です。

最後まで読んでくださり、ありがとう!

さらに、興味はあれば、本書や『わたしの山の精霊ものがたり』を
是非、読んでください。

梅花女子大、奈良大の受講生のみなさまは
自由仮題のテーマに取り上げてもいいですね。

今日は、書評を取りあげました。

では、来週末に、またブログでお会いしましょう!
それまで、お元気で!


★講演会案内★メルヘンの国で学び、暮らし、研究する★金城朱美★10月7日・京都府大★

2015年10月03日 | 民話
梅花女子大・奈良大学の受講生のみなさま!
そしていつもブログを見ていただいているメルヘン(お話)愛好家のみなさま!

今日のブログは、講演会の案内です。



☆★☆講演会のお知らせ☆★☆

演題:メルヘンの国で学び、暮らし、研究する

講師:金城ハウプトマン朱美(ゲッティンゲン大学博士)

日時:2015 年 10 月 7 日(水)16 時 10 分〜

場所:京都府立大学稲盛記念会館 204 号室 会場へのアクセス

問い合わせ先:京都府立大学文学部欧米言語文化学科教員 横道誠
          メール:yokomichi_m★kpu.ac.jp (★:ATマーク)
※事前の申し込みは不要です。

 
講師からのメッセージ:
グリム兄弟が教鞭を取っていたゲッティンゲン大学 ― 私がその大学に留学したのは
1998年のことでした。
グリム兄弟が生まれたヘッセン州の小さな街で9年ほどの生活を送った私は、
現在ドイツの首都ベルリン ― グリム兄弟が永眠する街でもあります ― で暮らしています。
今回の講演では、『グリム童話』が今も息づくドイツでの実際の生活、仕事、子育て、
研究に関する経験談を織りまぜながら、現在のドイツ事情についてお話ししましょう!
さて、『グリム童話』に登場するような森は今でもドイツにあって、散策できると思いますか?
それから、海外での生活は夢のような暮らしなのでしょうか。
そんなこんなの疑問に、どしどしお答えします!

講演案内ポスターはこちら

金城先生は、グリミン(グリムと民間伝承研究会)のメンバーで
ドイツと日本をまたにかけてご活躍中です。
興味深いお話を聞けます。

ご都合つけば、是非いらしてください。

今日は、講演の案内でした。
ではまた、来週末、ブログでお会いしましょう!




あべのハルカス展望台から夕陽を見ました!

2015年09月26日 | 民話
今日のブログは、趣向を変えて、
あべのハルカス展望台から観た景色や夕陽を画像でお見せしましょう!


なにせ、日本で一番高い建物で、高さ300mあり、60階建てです。
すごいでしょ!

みなさんはもう、あべのハルカス展望台に昇りました?
私は先日、家族で登ってきました。



ちょうど、ムーミンの作者:トーベ・ヤンソン展をしていました。



先ず、展覧会を見てから、いよいよ展望台に登りました。


北側の真下には、四天王寺の伽藍(五重の塔など)が小さくみえました。


さらに、北のはるかに、大阪城も見えましたが、ビルに囲まれ、あまり目立ちません。


西側には、大阪湾をはさんで、六甲山の山並みが展望できました。


東側には、生駒山、その山上にはテレビ塔が並んでいるのよく見えます。


南西方向には、夕日が沈む間際の明石海峡大橋がくっきり見えました。


六甲山に沈む夕日、最後の輝きを見せています。空の雲の美しいこと!


そして、ついに日が沈みました。

今日のブログは、あべのハルカス展望台から撮ったアルバム特集でした。

では、みなさま、来週末にまたブログでお会いしましょう!
お元気で!


奈良ひとまち大学5周年学園祭(9月27日・中部公民館)でナーミンのおはなし会開催!

2015年09月19日 | 民話
豪雨台風が過ぎ、実りの秋になりましたね!
みなさま、お元気ですか?

きょうは、奈良ひとまち大学でのナーミンおはなし会のご案内です。
奈良ひとまち大学は、奈良を愛する人々がお互いに学びあう生涯学習の場です。

私も昨年7月に「むかし、むかし、の奈良の物語~民話を語り継ぐ、ということ~」と題して講師を務めさせていただきました。

今回、ひとまち大学が開校5周年を迎え、「奈良LOVER大集合、の学園祭」が開催されます。

日時:2015年9月27日(日)10:00~16:00
会場:奈良市立中部公民館(奈良市上三条町23番地の4)
詳しくは、ここをクリックして見てください。

実は、その会場でナーミン・テラーによるおはなし会も同公民館の2階和室で午後に2回開催されます。



もちろん、トークショー、ワークショップ、人気店の飲食や物販、展示・体験コーナーなど、楽しい企画がてんこ盛りです!

よろしければ、是非、いらしてください。

一応、定員100名で先着順なので、ここをクリックして、申し込んでください。

今日のブログは、ナーミン(奈良の民話を語りつぐ会)のお話会の案内でした。

では、みなさま、季節の変わり目、風邪をひかれませんように!
また、来週末にブログでお会いしましょう。

★グリムと民間伝承研究会(グリミン)★第63回例会★中岡翔子:ドロステ=ヒュルスホフ「ゴーレムたち」

2015年09月12日 | 民話
猛暑の夏が過ぎたと思ったら、日本列島は大型の雨台風に見舞われ、大変ですが、
みなさま、お元気でいらっしゃいますか?

今日のブログは研究会グリミンの案内です。

日本独文学会の秋季大会(鹿児島大学)に合わせて、
大会2日目午後にグリミンの例会を開催します。

★今回は京都府立医科大学非常勤講師 中岡 翔子先生に ご発表いただくことになりました。
  中岡先生から現在のご研究テーマ「人造人間ゴーレムに見られる科学」について以下のコメントをいただいています。

  「19世紀以降のドイツ文学において、ゴーレムは科学的な素材として用いられてきました。
   このことから、ゴーレムはロボットの原型とみなされています。
   ただ、こうしたものは本来のユダヤの伝説には見られない要素であり、非ユダヤ的な概念の混合によるものです。
   そこで私は、非ユダヤ人作家らが描き出したゴーレムの科学的な可能性について個々の作品の分析を通して考察しています。」

   当日は、とても興味深いテーマ 「ゴーレム像」 について発表頂きます。

●日時: 2015年10月4日(日)午後1時30分から(時間厳守)
      午後1時30分~3時30分 研究会 (発表・質疑応答)
      午後3時30分~4時  グリミン 懇談会

●会場:
 鹿児島大学 郡元キャンパス(〒890-0065 鹿児島市郡元 1-21-30)
         共通教育棟1号館・2号館 122教室
道順:鹿児島空港からリムジンバスで鹿児島中央駅まで約40分、
      同駅より 市営バス乗車、「鹿大正門前」または「法文学部前」下車
    キャンパスアクセスガイド

●内容:
 
★研究発表 午後1時30分~ 
   
中岡 翔子(京都府立医科大学非常勤講師)

  非芸術的な「 形象(かたち) Gebilde 」
    ― アネッテ・フォン・ドロステ=ヒュルスホフ「ゴーレムたち」におけるゴーレム像


アネッテ・フォン・ドロステ=ヒュルスホフ

 【発表の概要】  
  ヤーコプ・グリムがゴーレム伝説を紹介して以来、ドイツの非ユダヤ人作家らはこの素材をさまざまに作品に取り入れてきた。
ドロステによる叙情詩「ゴーレムたち」もグリムの影響を受けたもののひとつである。
ドロステによるゴーレムの特徴は、ゴーレムが詩人の産物とみなされている点にある。
とりわけ、ゴーレムが血の通わない「形象 Gebilde 」と呼ばれるとき、詩人の産物もまた芸術的な精彩を欠いていることが明らかとなる。
そしてドロステはこうしたゴーレムから逃れようとする。
ゲーテが「歌と形象 Lied und Gebilde」(『西東詩集』)において「形 Gestalt」 に凝固することのない歌を讃えたように、
ドロステもまた詩の生命を求めるのである。発表では、この「形象」について考察を加える。

     アネッテ・フォン・ドロステ=ヒュルスホフ「ゴーレムたち」(原詩テキスト):
      Annette von Droste-Hülshoff:Die Golems
    
●参加費 500円


■次回グリミン例会予告■

★第64回例会:
 2016年2月 武庫川女子大学にて卒論合同発表会
            (野口ゼミ、浜本・溝井ゼミほか)

★第65回例会:
2016年度日本独文学会春季研究発表会 (獨協大学 5月28日~29日)
の2日目午後において開催予定。
  上記の例会の研究発表を募っています。
  特に大学院生はじめ若い研究者の積極的なアプライを期待しています。
  希望者は世話人までご連絡ください。

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■学会情報ほか■

★日本独文学会秋季研究発表会
  2015年10月3日~4日
  鹿児島大学
   詳しくは下記サイト参照:
   プログラム 

★日本児童文学学会2015年度大会
   日時 2015年11月7日(土)、8日(日)
   会場 大阪教育大学

★説話・伝承学会 2015年度秋季大会
   日時 2015年11月7日(土)、8日(日)
   会場 京都女子大学

★朝日カルチャ・くずは教室・公開講座「グリム童話と昔話の世界へようこそ!」
    10月~12月の第3週金曜  講師:竹原威滋
      詳しくは、下記サイト参照:
  グリム童話と昔話の世界へ 


今回の会場は、鹿児島なので、独文学会の会員はさておいて、みんなが行くわけにいきませんが
まあ、こんな研究会があるのを、情報として知っておいてくださいね。

では、来週末にブログでお会いするまで、さようなら!




臨時ブログ:特報:桝田静代さんが「日本自費出版文化賞・大賞」を受賞!

2015年09月04日 | 民話
昨日(2015.8.3.)の朝日新聞朝刊(大阪本社)33面社会欄によると

桝田静代著「絵双六 ― その起源と庶民文化」(京阪奈情報教育出版)が
「第18回日本自費出版文化賞・大賞」に選ばれたそうです。



桝田静代著「絵双六 ― その起源と庶民文化」
A4版 巻頭図版8頁 本文372頁 
発売:京阪奈情報教育出版
定価:本体 ¥10,000 税別

桝田さん、おめでとうございます!!

桝田さんは「絵双六の研究」について梅花女子大学大学院児童文学研究科で
博士論文を書かれ、学位をおとりになりました。
 
本書は、それをまとめられたものです。

詳しくは、下記のサイトをごらんください。

新文化オンライン

新刊紹介:桝田静代「絵双六 ― その起源と庶民文化」刊行!「妖怪ウオッチ」は江戸の双六文化に通ずる!?

絵双六は、曼荼羅の世界、江戸時代の寺子屋、子どもの遊び、当時の女性の生き方、竜宮世界、
いろんな分野を反映しているのですね。

江戸時代の女性や子供の生き方を絵双六に見る視点が評価されたのだと思います。

梅花女子大学客員教授  竹原威滋



 ブログ臨時号です。

では、来週末にまた、ブログでお会いしましょう!

朝日カルチャー・くずは教室「グリム童話の世界にようこそ!」パートVを開講!

2015年09月03日 | 民話
みなさま、お元気ですか?

明日から1週間ほど奈良をはなれ、出張します。
超多忙のため、今週のブログは一足早くをアップします。


暑い日が続いておりましたが、いかがお過ごしでしたでしょうか?
今夏もたびたび集中豪雨や火山噴火で被災された方も多く、
日本列島もすっかり熱帯化してしまったとの思いを深くしております。

さて、今回はいつもブログを見てくださっている方々に
一足先に、秋からの講演のご案内です。

朝日カルチャーセンターの「くずは」教室で開講してちょうど1年になります。

「グリム童話と昔話の世界にようこそ!」パートVを紹介します。

よろしければ、ぜひおいでください!




■講座名
グリム童話と昔話の世界にようこそ!
   -グリム童話はなぜ万人に好まれるのか?その秘密を解き明かす!

■講師
梅花女子大学大学院客員教授 竹原 威滋

■日時
10月から12月の第3週 金曜 15:30-17:30
10月16日、11月20日、12月18日 (全3回)

■受講料
10月~12月(3回)  会員 7,452円 一般 8,424円  (1回受講 2,808円)

■講演内容
グリム童話200話が誕生して今年はちょうど200年目に当たる。
それを記念して、世界の子どもたちに今なお愛されているグリム童話の中から
『金のがちょう』、『白雪姫』、『ホレおばさん』を取り上げて、
世界各地に伝わる昔話と比較しながら、メルヘンの面白さの秘密を探る。

■授業のテーマ
10月16日・・・主人公を助ける小びとたち
         グリム童話『金のがちょう』とスイスの昔話『王女と腹ぺこの小びとたち』
11月20日・・・主人公の結婚観の変遷
         グリム童話『白雪姫』とジェイコブスの昔話『金の木と銀の木』
12月18日・・・サンタクロースと歳神来訪譚
         グリムの伝説集『ホレおばさん』と日本の昔話『大歳の客』

詳しくは下記のサイトをご覧ください:
グリム童話と昔話の世界にようこそ!

「奈良の民話を語りつぐ会」、「平城西女性セミナー」の方々には少し遠いですが、
昔話とグリム童話を系統的に学んでいただくには良い機会です。

「とぶアヒル」の会員の方々はじめ高槻・茨木・枚方・京田辺の近辺にお住いの方、
ぜひ、いらっしゃってください!

今日は、カルチャーセンター講演のご案内でした。

では、皆さん、次回ブログは、10日ほど後の来週末まで、御機嫌よう。 さようなら!