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メディアのあり方 Nothing Ventured, Nothing Gained.より

2010-01-16 22:45:17 | メディアから
鋭い分析を読ませていただいた
横丁の隠居の及ぶところではない
自分の手元に資料として保存するために全文を引用させていただく
URL:http://esquire.air-nifty.com/blog/blog_index.html
に原文があります

刑事事件に対する未熟な報道 ― 小沢問題からの考察を中心に
小沢一郎民主党幹事長の政治資金規正法の問題に対する既存の報道とは違った視点から、私見を発信すべきと考え、端的ではありますが、この問題を題材にして、刑事事件における検察および報道機関の問題点を指摘したいと思います。

「1.起訴状一本主義、予断排除の原則に反する報道

刑事訴訟法256条6項は、「起訴状には、裁判官に事件につき予断を生ぜしめる虞のある書類その他の物を添付し、又はその内容を引用してはならない」と定めており、これを起訴状一本主義(予断排除の原則)といいます。

この趣旨は、公平・公正な裁判の実現のために、裁判官は、捜査官の心証をそのまま引く継ぐことなく、予断を排除して、公判に臨む必要があるという点にあります。

我が国の刑事法制下にあっては、人は起訴され、被告人になって初めて、予断を持っていない裁判所により裁かれ、その公判手続きにおいても、「疑わしきは被告人の利益に」という原則が貫かれなければなりません。

しかしながら、裁判員制度が始まっても、メディアが検察や警察から出てくる情報を鵜呑みにし、立証されていない事実があたかも、事実として立証されているかのように報道され、すべての報道機関の論調がほぼ同じなのは、非常に違和感を感じずにはいられません。

小沢幹事長の問題に限った話ではありませんが、捜査の早期段階において、本人が自白し、自白の任意性に疑いがないような事件は格別、そうでなければ、メディアはその影響力に鑑み、視聴者たる国民に予断を生じさせないよう慎重な報道をすべきでしょう。

とりわけ、小沢幹事長の政治資金規正法の問題では、同法が問題としていないお金の原資が誰に帰属していたのかという点につき、憶測報道で「ゼネコンからの受託収賄では?」という報道が流れています。

しかし、収賄(刑法197条1項)の構成要件は、「公務員が、職務に関し」と規定されており、一般的職務権限を有する公務員であることを要求しています。

この「一般的職務権限」とは、かなり広い概念ではありますが無制限ではなく、その職務が一般的・抽象的に公務員の職務権限に属する場合を言います。

国会議員は確かに特別公務員として、上記「公務員」には当たりますが、野党の党首にダム受注に関連する一般的職務権限を認めるのはかなり無理があります。小沢幹事長に収賄罪が成立することはおそらくないでしょう。

このように犯罪の成立が非常に微妙なものであることを無視し、あたかも金銭のやり取りの事実から収賄があったという短絡的な憶測報道は、国民に予断を生じさせ、世論をミスリーディングするものではないでしょうか。

それを大手メディアのほとんどすべてがやっている現状は、日本のマスメディアの人権意識の低さを露呈しているように思います。

また、以前にも西松建設の事件の際に指摘したのですが、刑事事件に対する憶測報道、捜査機関の一方的報道といった現状が、裁判員制度に与える影響は非常に大きく、検察に情報開示のあり方、報道における予断排除に関するあり方を徹底的に議論する時期に来ているのではないでしょうか。

メディアに良識的判断を求めることが不可能であることは、今までの刑事事件に対する報道姿勢から既に立証されたように思います。もっとも、「メディアの刑事事件に対する報道を統制しろ」という乱暴な議論をするつもりはなく、私個人の意見としては、米国のように、一定の捜査情報を公式の会見等で開示するなどの措置がメディアスクラムを緩和させるのではないかと期待するところです。



2.逮捕はあくまで相当の嫌疑があるという段階に過ぎない

我が国の報道では、逮捕事実を非常に重視する社会風潮がありますが、逮捕された段階でも未だその被疑者の有罪が確定したわけではありません。

逮捕の要件は、①犯罪に対する相当の嫌疑が存在すること、②逮捕の必要性であり、逮捕段階では、相当の嫌疑があるに過ぎません。

しかしながら、多くの報道は「怪しい」に過ぎないものを、断定的かつ捜査機関の一方的情報ばかりを垂れ流すため、あたかもその事実が相当の嫌疑ではなく、そうした事実が存在するかのような報道に至っています。

「逮捕に踏む切ったのは収賄に関する事実があるからだ。」などというこれも極めて憶測もしくは、妄想に近い意見がメディアを踊っていますが、前述のように、収賄の成立は極めて困難であり、本件はあくまでも政治資金規正法の不記載による逮捕ですから、逮捕されたから問題だというのは、検察、警察という捜査機関の判断に対する絶対の信頼を置くもので、妥当ではありません。

3.説明責任に対する考え方

刑事事件が絡んだ場合の政治家の説明責任のあり方についても、議論の余地があります。メディアにとっては、良いネタ(飯のタネ)ですから、記者は政治家が絡む刑事事件について、ここぞとばかりに「説明責任を!」と主張します。

しかし、政治家であっても、刑事事件の被疑者ないし被告人になる可能性がある場合については、当然、黙秘権をはじめとする憲法および刑事訴訟法が保障する権利を有するわけです。

今回を機に、どういう説明責任の話し方が理想的なのかという議論を深めるべきだと私は思います。

法廷は公開が原則ですから、起訴された場合に、公判廷を通じた立証活動により説明責任を果たすというあり方も私はあり得るし、これはこれで尊重すべきだと私は思います。

メディアが満足する説明をしなければ、説明責任を果たしたことにはならないというのであれば、これは不可能を強いているようにも思います。なぜならば、メディアが格好の飯のタネについて、満足した説明が得られたなどということは、過去の刑事事件報道を見ていれば明らかだからです。

本日付の読売新聞には「小沢幹事長の説明が『義務』になった」との記述がありましたが、これも首をかしげたくなりました。

義務というからには、法的義務があるということを前提としているのでしょうが、果たして秘書が逮捕されただけで法的義務が発生するのでしょうか。

あくまで、政治家という地位から生じる社会的意味に置いての説明責任があるに過ぎず、「義務」などと偉そうにいうのは私は読売新聞の記者の奢りでしかないと思います。

以前、この問題に関し、「小沢氏は合理的な説明を」という見出しも見かけました。しかし、私からすれば、犯罪がないという説明をすることは、「無いこと」の証明というある種の悪魔の証明となってしまう一方、犯罪の嫌疑をかけているのは検察であり、本来は検察官に立証責任があるわけです。

そうだとするならば、小沢氏が政治家たる職責から一定の情報開示をすることは必要ですが(既に小沢氏は関係する書類をすべて公開していると言っていますが)、合理的な説明をすべきは検察なのではないでしょうか。

検察が捜査や公判の影響を理由に公式の情報開示をしないことが認められるならば、小沢氏だって、刑事事件や捜査への影響を理由の説明できないという抗弁も認められてしかるべきでしょう。

本来、第三者的立場で、検察や政治家を監視すべきメディアが、検察からの非公式の情報リークを餌に、御用聞状態になって、一方の側の情報を垂れ流すだけで検証せず、本来の職責を忘れてしまっているのは非常に恐ろしく思います。

こうした報道が死刑も含めた刑事事件においてなされ、予断を国民に生じさせ、予断を抱いた国民が裁判員に選ばれ、その結果、冤罪を作ってしまったらということを考えると、冤罪を作るのは、捜査機関や裁判所だけでなく、他ならないメディアということになると私は思います。

ただ、インターネットメディアには、非常に冷静かつ明快な情報提供をしている元新聞記者の方(リンク先はKyoさんという方の「永田町異聞」というブログ)もおり、日本のメディアの刑事事件に対する報道姿勢が未熟とはいっても、地道に正当なジャーナリズム活動をしている方がいることも忘れてはならないでしょう
引用終り

このblogはlivedoorニュースでたまたま見つけた。
匿名であり、どんな方が書いているのか全く不明です
本人による自己紹介は次のようになっています
「昔アメリカで政治学を専攻しました。現在は法務が専門です。
最近忙しくて土曜日が待ち遠しいです。
時事問題をわかりやすく解説したり、私見を発信できればと思います。
更新は不定期です。ご了承ください。
日本のメディアが報じない海外の政治、経済、社会問題などを紹介することもこのブログの本来の目的の1つです。
ブログ記事はあくまでも筆者の私見であるため、法律解釈、経済動向、金融動向などについて正確性は担保できません。」

更に昨年一度blogを閉鎖したとのあいさつ文も掲載されています。
セキュリティ上問題が無く再開したのでしょうか
「挨拶
04/01/2009
読者の皆様へ
いつもこのブログを楽しみにしてくださっている読者の皆様へ

実は、誠に残念なのですが、このブログは本日をもって閉鎖することにしました。

というのも、かねてよりアメリカ在学中の友人で、国務省にて働いているアメリカ人の友人から、日米関係(特に日本の司法制度に関する)の分析官の職をオファーされておりました。

今回そのオファーを受けることに決めたため、セキュリティークリアランスの関係で、私の身辺調査対象にこのブログが入ってくることが分かったため、残念ではありますが、ブログを閉鎖しようと思います。」

閉鎖されていないでよかったと言う感じです。以前の記事からじっくりと読んで見たいと思います





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