今更ながらと言う感じもしないではないが、年末の各特番の視聴率が発表された。予想通り格闘技系が好成績を見せる一方で、既存番組は軒並み低視聴率となった。特に凋落が激しかったのは「日本レコード大賞」である。かつては帝国劇場や日本武道館を舞台とし、50%近い視聴率を誇り、紅白と並ぶ年の締めくくり番組だったが、気が付けば昨年はわずか
10.4%という惨憺たる結果であった。T社の編成担当者が頭を抱える姿が目に浮かぶ。関東地区ではテレビ東京の「年忘れにっぽんの歌」(既存ものでは唯一の健闘と言っていいだろう)に並ばれてしまったという。
大晦日、筆者が小学生の頃まではテレビ番組のパターンが決まっていた。一年最後の夕食をとりながらレコード大賞を見て、9時から引き続き紅白歌合戦。これがニッポンの家庭での「清く正しい」一年の締めくくり方だった。転機になったのは恐らく90年代の初め頃。
この賞、
「日本作曲家協会」なる団体が主催しているのだが、実質的にプロダクションなどの力関係が入り込む余地が非常に大きく、一部では「日本レコード
会社大賞」などと揶揄されていたという。演歌やアイドル歌謡が幅をきかせていることはそれでもよかった。しかし、このようなからくりは次第に衆目にさらされるようになり、挙句の果てには有力アーティストから敬遠されるようになり、裸の王様ならぬ「裸の大賞」に成り果ててしまった。
そもそもCDからiPodに代表される更に次の世代のハードが台頭する時代に
「レコード」とは何事か、という気もしないではない。レコード(record)という言葉には「記録」という意味もあるし、との理屈が成立するなら
「日本ゴールドディスク大賞」なる賞が存在する。もはやこの賞が大晦日に仰々しく放送されることに意味はないだろう。
ちなみに昨年のレコード大賞、最高視聴率は他ならぬ
マ ツ ケ ン サ ン バ Ⅱ
だったそうで、ここだけ20%を越えたそうな。いやはや・・・。