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「自衛隊史論」(2015年、吉川弘文館)に関する感想

2015-01-17 22:25:36 | 出版文化

網羅性の高い本が出たところで、ざっと目を通しました。細かい点で配慮はかけているかもしれません。

索引があるとありがたかったです。

45頁注2 増田弘「自衛隊の誕生」(2004年、中公新書)を素っ飛ばした理由がよくわからない...

46頁注15 海上自衛隊はこうして生まれた「Y文書」が明かす創設の秘密(2003年、NHK出版)の引用もぬけ

133-136頁 中村悌次「生涯海軍士官」(2009年、中央公論新社)からの4次防に関する引用がない。西村繁樹「防衛戦略とは何か」(2012年、PHP研究所)も必要かもしれません。

187頁 先行研究としての信田智人「冷戦後の日本外交」(2006年、ミネルヴァ書房)の引用参照がない。

第4章全体で

柳沢協二「亡国の安保政策」(2014年、岩波書店)【筆者未見】、

大森敬治「背広の参謀が語る我が国の国防戦略」(2009年、内外出版)、および

田村重信「日本の防衛法制(第2版)」(2014年、内外出版)【筆者未見】の引用・参照がない。

宝珠山・海原オーラルヒストリーを引用している点は優れている。

ちりばめてほしかったことは槇智雄「防衛の務め」(2009年、中央公論新社)が入らないと、どのように組織として筋を通そうとしたのか伝わらないという印象ですが...。

終章の部分で、紛争スペクトラムに関する前提理解をおきませんでした。そのため、外交政策としての紛争抑止手段としての信頼醸成措置と防衛政策の組合せまで、視点が展開できるともう少し面白い帰結になると...。

竹本正幸「米国海軍省作成の「指揮官のための海軍作戦法規便覧」-1-(資料)」関西大学法学論集第40巻第3号(関西大学法学会、1990年)491頁から頭10ページ以内に掲載されていた図をご確認することをお勧めします。