失われたメディア-8cmCDシングルの世界-

50円とか100円で叩き売られている8cm CD singleを見るとついつい買ってあげたくなることはないか。私はある。

「サヨナラはしない」 タイマーズ 1995年

2009-05-23 | 
タイマーズのシングルは3枚。アルバムも3枚。気付いたらコンプリートしていた。

デビューシングル「デイ・ドリーム・ビリーバー」(1989)は明らかにRC『COVERS』の流れをくむ洋楽日本語カヴァーの名作。カップリングの「三部作」も超名作。

セカンド「ロックン仁義」(1989)は演歌。内容は(手抜きで申し訳ないが)シングルマニア都市色さんのこちらの記事に詳しい。

そして6年後ぶりにリリースされたラストシングルが「サヨナラはしない」。1995年1月に起きた阪神・淡路大震災のチャリティシングルである。印税は「義援金として泉谷基金に寄付されます」との記載あり。収録曲3曲とも震災のイメージを織り込んでいる。

①サヨナラはしない
作詞・作曲:ZERRY & TOPPI
タイマーズの曲のほとんどに見られる「毒」の要素が希薄な曲。メロウでシンプルな曲に、「もうすぐ 春が来るよ がれきの街に 花が芽を吹くさ」なんて詞が。タイマーズにしちゃ、素直過ぎる。でも、このとき清志郎はこの曲をタイマーズで歌った。もうRCは存在しなかったからね。東芝EMIからのアルバム『復活!!The Timers』に収録。

②スィート・ヒッチ・ハイカー
作詞・作曲:ZERRY & TOPPI
ストーンズ的な、荒っぽいロック。「住み慣れた街が 燃えてる 朝焼けにバスが ぶら下がってる」と、直接的な描写が目立つ。アルバム未収録曲。

③ヘリコプター
作詞・作曲:ZERRY & TOPPI
スライばりの暗いファンクナンバー。イントロのヘリコプターのSEにつながるように、単調に繰り返されるドラムパターン、抑えた怒りを感じさせるゼリーのヴォーカルがぐいぐい迫ってくる。「マスコミばかりが乗ってる ヘリコプター」を「火事場のまわりのやじ馬」と断じ、「空から水をまいてくれ」「まるでこの街は火葬場さ」と嘆く。これぞ、タイマーズ!と言いたくなる、素朴な怒りをストレートにぶつけた名作。senaka mukeo(誰?)のオルガンもいい味出してる。インディーズ(SWIM Records)からリリースされた『不死身のタイマーズ』の一曲目。

定価1000円、中古で100円。
ジャケは黒焦げになった廃墟の一部。上のほうにわずかに緑が見える。

『COVERS』騒動をきっかけに結成された、土木作業員系パンクバンド、タイマーズ。すでに終焉を迎えつつあったRCサクセションの外で、身軽になった清志郎が生き生きと暴れまわる姿が印象的だった。日清パワーステーションでの再結成ライブは上記のようにメジャーとインディーズに分けてリリースされた。再結成期では、このシングルの3曲のみがスタジオ録音である。
メジャー盤『復活!!The Timers』に収められた「サティスファクション」の日本語カヴァーのサビ、「満足できねえ ケッ 笑わせんな!」のシャウトが最高!天才だな、今さらだけど。
インディーズ盤『不死身のタイマーズ』は廃盤状態のようで、特に今は高値がついてるみたい。改めて聴いてみると、癌医療を批判した「イツミさん」がなんだか悲しく響いた。ゼリーのMCは、土木作業系だけに清志郎よりかなり粗野な雰囲気で、「バカヤロー!」なんかは泉谷しげるの影響が顕著。



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