失われたメディア-8cmCDシングルの世界-

50円とか100円で叩き売られている8cm CD singleを見るとついつい買ってあげたくなることはないか。私はある。

「夢見るシャンソン人形」ブリッジ 1993年

2005-10-10 | フレンチ
Serge Gainsbourg作、France Gallのヒット曲のカヴァー。

前回に続きゴチャゴチャの画像。真ん中に今回の8cmが置いてある。
周りもゲンズブール・カヴァーものたち。(France Gall除く)
フランスを代表するエロオヤジ、あるいはスカトロジー・ダンディー、セルジュ・ゲンズブール。没後もその影響力は計り知れない。

8cmは軽く紹介。TRATTORIA MENU26
①Poupée de cire, poupée de son 夢見るシャンソン人形 MITSUBISHI MINICA CMソング
(S. Gainsbourg)
フランス語でそのままカヴァー。なんだかあまり印象に残らない凡作…CM用に頼まれて、素直にやっちゃった感あり。

②FREEWAY COWBOY (SHIMIZU, OTOMO, IKEMIZU/SHIMIZU)
BRIDGEには特に思い入れはないし、カジヒデキがいたバンドというくらいの認識しかないのだが、①よりはこっちのオリジナル作品の方が生き生きしてる、と思う。

③Poupée de cire, poupée de son (stereolab mix)

定価930円、中古で100円。

では、「周り」を。

いちばん左のLPは前回触れた伊武雅刀「Mon-Jah」(1983)、セルジュの明るいエロ系代表曲をパクり、「Sweet Sex & Sea」として日本語カヴァー。

その横の藤真利子のLPは、「アブラカタブラ」(1983)。細野さん、教授、慶一さんなど豪華作曲家陣がズラリ、アレンジは全て白井良明。収録曲「浮気なパラダイス急行」はセルジュがフランス・ギャルに書いた「Laisse tomber les filles」の日本語カヴァー。「作詩」(訳詞ではなく)は微美杏里(=藤真利子)。バッキングはもちろん、ムーンライダーズ。いかがわしさが原曲に忠実。歌唱力もオリジナルに近い?

真ん中下のアナログ・シングルは小林麻美の大ヒット曲、「雨音はショパンの調べ」(1984)。A面はGAZEBOのカヴァーで、日本語詩はユーミン。で、B面がセルジュ作品、ジェーン・バーキンの「Lolita Go Home」をカヴァー。日本語詩は小林麻美本人。両面とも素晴らしい!

右列上から、フランス・ギャル・ベスト。18曲中、8曲がセルジュ作品。

その下、UKのお色気ねーちゃん・ウェンディ・ジェイムズが衝撃的だった、トランスヴィジョン・ヴァンプ「リトル・マグネットとザ・バブル・オブ・バブルの対決」(1991)。5曲目「Twangy Wigout」は、「ジュ・テーム・モワ・ノン・プリュ」のカヴァー。意外なことに、あえぎ声抜きで勝負。

そして右下の「Gainsbourg Tribute '95 ゲンスブールに捧げる俺の女達」は、企画の勝利。副題のとおり、10人のプロデューサーが女性ヴォーカルを迎えてセルジュ作品をカヴァーした超名盤。小山田+カヒミ、小西+夏木など、安定感のある(=意外性のない)取り合わせの作品もいいが、サエキ・窪田のパール兄弟ペア+細川ふみえによる「夢見るシャンソン人形」、あがた+EPOの「馬鹿者のためのレクイエム」などがこういった企画モノの醍醐味か。そして何といっても、このトリビュートの企画者のひとり、永瀧達治が石堂夏央に歌わせた「ノワイエ(溺れるあなた)」が最高。この不安げなヴォーカル、「歌わせた」感が実にゲンズブール的な傑作カヴァー!(石堂さん本人は芯の強そうな女優さんではあるけれど)永瀧さん、こんなのが出来たら死んでもいいと思ったのではないだろうか。選曲も渋いし、アレンジ、訳詞、歌唱とも洋楽日本語カヴァー史に残る名作中の名作。
ちなみにジャケットのセルジュの横顔イラストは、シャルロット8歳時の落書き。

他にも安田成美がジェーン・バーキンの「Ex-Fan Des Sixties」を「思い出のロックンロール」として日本語カヴァー。まだまだありそう。

こうなると完全に8cmはダシですな…

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3 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
ゲンさん! (Bassman)
2005-10-11 00:55:42
またまた師匠のお題凄いっす!

今回は「ゲンスブール・トリビュート」に反応してしまいました。

当時気になってはいたのですが買わずじまいで...。

中でも辻仁成+南果歩のトラックに興味があるのですがちゃんと歌ってるのですか?もしくはポエトリー?あとフーミンといえば「熱湯コマーシャル」ですね(笑)ゲンスブール関係の映画で好きなのは「ガラスの墓標」です。サントラもかっこいいですよね。

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うわー (石ばし)
2005-10-11 01:54:23
もうヨダレもののですね、今回のテーマは。



ダシとなったブリッジはちょっと薄味ですが、よくCMで耳にしたので懐かしいですね。「夢見るシャンソン人形」といえば、この前NHKでムーンライダーズが島谷ひとみをヴォーカルに据えてカヴァーしていたのが印象的でした。島谷ひとみは本当にお人形さんみたいだし、おじさんたちに囲まれてグロテスクな面もよく出てました(笑)



ムーンライダーズ流れで藤真利子。僕は『狂躁曲』の方しか持っていないんですよー。これは必ずチェックしなければですね。
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Unknown (nakamura8cm)
2005-10-11 08:56:10
●Bassmanさん

「ゲンさん」って…(笑)初めて聞いたな。

なんかガンコ職人の絵が浮かんできて可笑しいですが。

南果歩は、フツーに歌ってますよ。訳詞も果歩さん。

原曲に忠実すぎて、もうひとひねり欲しいかな。

フーミンのシングルも多分あったら買っちゃうと思います(笑)スキスキスー。

「ガラスの墓標」未見です。「シャルロット・フォーエヴァー」はかなりマニアックなフィルムでした…他人に「見たよ」とカミング・アウトすることに多少の勇気を必要とするタイプの。



●石ばしさん

アイデアをありがとうございました!

島谷、実は見てないんですよ。ああ、ライダーズ・マニアとしてあるまじき失態…

>おじさんたちに囲まれてグロテスクな面も

そんなこと言われたら、ますます見たくなるなあ。

昨日、この写真のレコードをひととおり聴いていたのですが、実は一番リピートしたのが「雨音はショパンの調べ」だったりします(笑)。
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