未知との遭遇・見えないイメージの探索

主人公ロイは、日常生活に見え隠れする奇妙なイメージを追い求め、ついに未知のターゲットに遭遇する

サラ・ブライトマンの ハレム コンサート

2007-06-29 19:44:15 | Weblog
 サラ・ブライトマンのハレムは、結局、DVD付きCD「スペシャルエディション」と、プロモーションビデオ集 というかイギリスでのテレビ放送された番組のDVD「デザート・ファンタジー」そして日本でのコンサートステージ(とコンサート会場限定販売CD)、その後、ラスベガスのコンサート・ステージDVD と買ってしまった。どれも、それぞれの味があって、別々に楽しめるし、それぞれが何度聞いても(見ても)あきさせない魅力がある。

 最初にCDを聞き始めると、「It's a beautiful day」で蝶々夫人のアリアが耳について離れなくなる。「あーる はれたーひー」の有名な日本語の歌詞付きで頭の中でリピートするのが難ですが・・・ クラッシックパートからポップパートさらにロックパートにと変化するのがどきどきするほど絶妙ですね。

 ちなみに、解説に、オペラベイブズという姉妹DIVAが One fine day を日本の和太鼓グループ鼓童の和太鼓をもちいてアレンジしていてヒットした、とあったのでこちらのアルバムも聞いてみたが、これもなかなかのものです。

 デザート・ファンタジーは、女性アーティストしてのサラが前面に出ている気がする。ストレンジャー・イン・パラダイスでの川面のシーンなど、雰囲気のある演出だと思う。
全体に、カラフルでいいですね。

 スペシャルエディションのDVDは、フランク・ピーターソンの感性を感じる。オーケストラやバイオリン、ドラムなどの音源を重ねていく過程がドキュメンタリー風に描かれているが、各々のパートの練習風景から、それをサラのボーカルに重ねていく過程で、それぞれのパートの情感が、完成された楽曲で聞くよりもはるかに強烈なインパクトを持って伝わってくる。そして、ピーターソンや奏者が完成したパートを聞いて、感激して抱き合って喜ぶシーンが重なり、さらに感動を盛り上げる。これを見て、ハレムの曲の構成が相当な技のものだということが、初めて分かる。
Free という曲も、ナイジェル・ケネディというバイオリン奏者のソロの映像をみると、断然曲想が豊かになる。

 何度も聞いていても、CDだけでは伝わってこない曲想がある、ということが、コンサート・ステージを見て、そして、ラスベガス・ステージのDVDをなんども飽きずにみて、実感する。

コンサート・ステージの第二幕は No one like you から始まる。
これは、ハレムのCDには収録されていないので、どこで聞いたかな?と戸惑うけれど、アルバム「タイム・トゥ・セイ・グッバイ」に入っている。楽曲としてはあまり印象に残っていなかったが、ステージではシースルーのレースのスクリーンの向こう側に、サラが大きな羽を両手に持って広げたポーズで高台に立っている。その影が二つ、照明で、レースのスクリーンに映っていて、大きな鳥の姿になっている。サラと合わせて鳥が3羽、透き通ったサラの声に合わせてゆっくりと羽ばたいている。この映像の効果はすばらしい。あっという間に引き込まれてしまう。

続いて、流れるように、アラビアン・ナイツの曲に移る。
サラの曲は、ほとんどが、既存の曲のアレンジだけど、CDの解説では、このアラビアンン・ナイツは、オリジナルの壮大な組曲だ、という。
CDを初めて買って聞いたときは、期待して聞き始めたが、ピンとこなかった。
それが、ステージのシーンを見て大転換。

 ステージでは、曲と対等にダンサーが主役だ。これだけインパクトを与えるのだからバックダンサーというわけにはいかないだろう。技術のある優れたダンサーの演技、というわけではなく、曲想の演出として、見事だと思う。
最初ダンサーは、黒のロングスカートでダンスを始める。
何度も聞き直した印象を交えて解釈すると、アラビアンナイツは千一夜の寝物語だから、最初は、これから楽しく不思議な物語を期待を込めて聞き始める、という雰囲気だ。第二曲から第三曲にかけて、その物語は、夢か現か分からないような、ミステリアスな世界にさまよい込んでゆく。そこでは、希望を持ちながらも何かの困難に耐えている。そして第四曲に入って、突然未来的な世界で、希望がかなえられる。
この、最後のシーンで、照明が明るく変化し、ダンサーたちはロングスカートからミニスカートに変身することで、曲想の変化を象徴的に伝えている。

 新しい時代の夜明け、を感じさせる曲想だけど、これはアラブ世界での時代の変化に伴う女性の社会進出とダブらせた演出と取れないこともない。
 という聞き方をすると、第一曲のイントロから、わくわくした気持ちで聞けるようになる。
DVDでは、曲の間に、ギター奏者やドラマーがステージの演出を楽しんでいる雰囲気が映されていて、これも視覚映像の相乗効果があって、楽しい雰囲気になれる。

 それから、巨大なアリーナの天上からぶら下がる20メートルはあろうかという大ブランコの上で揺られながら歌う「この素晴らしき世界」

 音楽が楽しめれば映像はいらない、という人も、だまされたと思ってDVDを見てみたら・・・
高いけどね・・・