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雲海より上に


朝練と称して、
早朝の箱根を走りに行く事はあるけれど、
雨の中を走りに行ったのは珍しい。
デジカメのデーターによると
2012年4月24日早朝のようだ。



箱根ターンパイクの途中から雨が霧雨になり
大観山で偶然現れたのは雲海。
その雄大な姿を、慣れない手付きで撮影。
下手にもほどがあるが、
それでも愛車と雲海と富士山が取れたことが
凄く嬉しかった。

これを見たGTIピレリクラブの
niinii(ニーニー)氏は、
クールな彼には珍しく、
興奮して電話をくれた。
写真が趣味の彼から見たら、
未熟な作品だったにも関わらず
決して笑わず、純粋に褒めてくれた。

「ねえ、あの写真を撮影した場所に
連れて行って欲しいんだ。
同じ時間に同じ場所、同じルート。
朝早くても、飛ばしても、
後ろをちゃんと付いて行くからお願いね」

数日後、天候はあの時と同じで
下界は雨。
しかしターンパイクを登った先は晴れており
前回より壮大な雲海に出会った。
二人は喜びながらも、
無言でシャッターを切りまくった。



2歳年上の彼は、
僕を弟のように扱う時もあれば
海外事情の話になると、まるで学生のように
僕の話に耳を傾けてくれた。

時には、愛する家族の話もしたし、
多忙な仕事の苦悩も話してくれた。
311震災の時、唯一、
メールで細かくやり取りしていたのも
彼だった。



僕の画像フォルダーを見ると、
撮影の後は、箱根の旧道から
箱根湯本に戻り、
天山温泉郷で過ごしたらしい。



先月、彼は突然、病魔に襲われ
瞬時に雲海より上に行ってしまった。
享年52歳。

僕は現実を受け止める為に
お通夜に行ったものの、
まだどこかで、受け止められていない。
今でも急に、僕の職場や自宅に
珍しいスイーツを持って
現れる気がしてならない。



画像フォルダーを見ていたら、
偶然彼が写っていた。

「中ちゃん、忙しいのに悪いねぇ」

彼の声が聞こえた気がした。
Requiescat in pace.
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