アヴァンギャルド精神世界

冥想により、限りなき知性と底知れぬ優しさを。そこに次の時代が・・・。この世はドリームでもあり、リアルでもあり。

オウム真理教 偽りの救済

2019-09-06 05:43:01 | マインド・コントロール
◎天国と地獄の結婚に至らず

人に『悟りとは何か』とか『救済とは何かと』問えば、ほとんどの人は口ごもったり、ちゃんと説明などできるものではないだろう。

『オウム真理教 偽りの救済/瀬口晴義/集英社』は、網羅的ではあるが、実によくわかっていて、緻密に組み上げられている本だという印象を受けた。何が本当の問題だったのかがわかる本に仕上がっている。

教団内では、救済とは、地獄から天国への救済であるとして、そこで救済してくれるのは教祖の力であるとし、信者にLSD、覚醒剤などを投与して、意識レベルを低下させて、リアル地獄を体験せしめた。

著者は、そのリアルな地獄体験を有する人が今の中堅幹部だと指摘する。地獄体験の恐怖がいまも厳然として影響を与え続け、それが信仰をサポートしているであろうことは想像できる。

まともな宗教では、平素の生き方は勿論善を行い、悪をしないという天国的なものを志向する。だが、そのような現世的天国に飽き足らぬ情熱が、天国をも地獄をも突き抜けようとする方向性があるものだ。

西洋ではそれは、両性具有者の原人間アダムカドモンだったり、楽園追放以前のアダムや、天国と地獄の結婚として現れ、古事記では、女性天照大神が男神を生み、男性素戔嗚神が女神を生み、それを交換してみせることで、両性具有、天国と地獄の結婚である伊都能売を示唆する。

クンダリーニが上がるだけでは悟りではなく、破天荒な神秘体験をするのが悟りではない。悟りは人間の聖性ではあるが、社会性の縁に腰かけているところはあるものだ。人間の苦悩と無力さ、絶望は、天国と地獄をも越えて行かざるを得ないと結論できるものなのだと思う。
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