アヴァンギャルド精神世界

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呂洞賓の意義

2007-03-26 05:27:40 | 道教
◎薬物による不老不死説の終焉

呂洞賓は、唐代の人物である。

唐代では、歴代皇帝が道教に帰依し、進んで金丹を飲んだことから、王族、高級官僚、大金持ちなどの間に不老不死を求めるために金丹と呼ばれる不老不死の薬物(外丹)を服用することが殷賑(流行)を極めた。

一例として、中唐時代の政治家であり、詩人であった韓愈は、彼の一族の多くが金丹と呼ばれる水銀や砒素化合物を常用することによって、健康を害し、しばしば早世したことを記録している。韓愈は、これらの見聞により、金丹服用による不老不死の実現には懐疑的だった。

このように高位顕官の間に、金丹によって不老不死になることは、実際には困難であることが徐々に知られるようになり、薬物(金丹)服用によって仙人になるというメソッドは唐末から五代にかけて完全に命脈を絶たれた。
(この辺は西洋の錬金術がその後も外丹を追求し続けたことと対照的である)

こうした流れの中、内丹説を、隋代の羅浮山が初めてとなえた。

そして呂洞賓が身体内に丹を作ることで、不老不死の実現を図ろうとした。呂洞賓は人体を炉鼎と見て、体内の精と気と神を凝集・変成して聖胎を作ることを主張した。
人体を炉と見るのは、ウパニシャッドと似た見方ではある。

唐代までには、道教には、薬物としての丹を作りそれを服用するという葛洪の唱導した外丹が不老不死の技術として社会的に認められたものだったが、呂洞賓はこれに対するイノベーションとして内丹メソッドを完成したところにその大きな意義が認められる。

もともと道教には胎息(呼吸法)、導引、存思(冥想)などの伝統的テクノロジーがあったことも内丹説出現の土壌になったと考えられる。


    1日1善。1日1クリ。

明周丹泉嬌黄獣面紋鼎式炉/明代/台湾故宮博物院

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