いま本当に必要な安保法制とは何か?
自民、公明両党が共同文書「安全保障法制整備の具体的な方向性について」に正式合意しました。これを受けて、政府は、5月の大型連休明けの国会に提出する関連法案づくりを急ぐとともに、日米防衛協力の指針(ガイドライン)の改定作業を加速させる構えです。
外交・安全保障に与党も野党もなし、あるのは国益のみ
最初に私の立場を明確にしておきたいと思います。私は、5月中旬から始まる国会審議に臨むにあたり、「外交や安全保障に与党も野党もない、あるのは国益のみ」との揺るがぬ信念に基づき、我が国を取り巻く厳しい安全保障環境を見据えた現実的な議論を心掛けるつもりです。議論をする前から「自公政権の決めた方針は間違っている。だから反対だ!」などと結論先行の思考停止に陥るつもりはありません。どんな法制を整備する必要があって、政府案のどこに問題があるのか、どこをどう改めるべきか、正面から論じて行きたいと思います。
安全保障法制をめぐる与党合意の歪みを正す!
与党の合意内容から明らかとなった関連法制の骨子は次のようなものです。(1)武力攻撃に至らない侵害(グレーゾーン事態)にあたっては、現行法制の範囲内で関係省庁間の連携強化を図って対処する、(2)周辺事態法の「地理的制約」を撤廃し、日本の平和と安全に資する活動にあたる他国軍への支援活動を拡充する、(3)国際社会の平和と安定への一層の貢献をするため、PKO法を改正するほか、他国軍への後方支援を可能にする恒久法を制定する、(4)昨年の閣議決定で定められた自衛権行使をめぐる「新三要件」に基づいて、集団的自衛権の限定的行使を含む自衛隊の防衛出動を可能にする関連法制(自衛隊法や武力攻撃事態法など)を改正する。
我が国の平和と安全こそ安全保障の第一義
与党合意にはまだまだ曖昧な点も多いですが、少なくとも3つの問題点を指摘しておきたいと思います。第一に、我が国にとって最も喫緊の課題であるグレーゾーン事態を疎かにしています。尖閣周辺や昨年の小笠原諸島で起こった大量密漁船事案でも明らかなように、現行制度の運用改善には限界があります。そのために、私たちは昨年「領域警備法案」を議員立法で国会に提出しました(衆院解散で廃案となりましたが、今国会にも再提出する予定です)。第二に、周辺事態法から地理的制約を撤廃し、同じ後方支援だからと国際平和のための他国軍後方支援と意図的に混同しようとしているのは、明らかに我が国の安全保障を歪める考え方だと言わざるを得ません。私は地理的な限界を画した上で、我が国の存立に直接影響を与えるようなケースについては、より積極的に行動できるよう周辺事態法を改正する一方、国際平和への貢献については、すでに参加実績のあるPKOへの積極的関与は推進するものの、我が国の存立とは直接関係のない「地球の裏側」での他国軍隊への後方支援にまでのめり込むことには国益の観点から再考を求めます。
拙速なガイドラインの日米合意は明らかな国会軽視だ!
第三に指摘しなければならないことは、限定的な集団的自衛権行使を可能にする自衛隊法等の改正は、最大限国民の理解を得るべくより丁寧に時間をかけて国会審議を尽くすべきだということです。私自身は、他国への武力行使であっても我が国の存立を脅かすようなケースは考えられ、それが個別的自衛権では説明し切れない場合には、明確な法的「歯止め」をかけた上で限定的に集団的自衛権を行使し得るよう法改正するべきだと考えています。しかし、この点は戦後安保法制の大転換ですから、できる限り与野党の幅広い合意を得られるよう政府に特段の努力を促したいと思います。加えて、先日の予算委員会の集中審議でも安倍首相に直接警告しましたが、日米ガイドラインの協議を安保法制の国会審議が始まってもいないのに打ち切って、「見切り発車」しないことです。報道などでは、4月末の首相訪米の前にもガイドライン改定の日米合意が既定路線のようですが、国会を軽視して日米合意を急げば、安保法制をめぐる国会審議に無用の混乱を招くことは必至です。
冷静で現実的な国会論戦の先頭に立つ!
いま我が国を取り巻く国際情勢は厳しさを増しています。こういった情勢悪化の中で、我が国には、北朝鮮の核やミサイルの脅威を封じ込めつつ、アジア太平洋地域の平和と安定に積極的な役割を果たし、同時に国際秩序の立て直しに相応の力を注ぐことが求められています。我が国が応分の国際責務を果たすためには、これまで過剰なまでに禁欲的だった安全保障政策の改革が急務です。同時に、国民の理解と幅広い与野党の合意形成こそ安保改革を実現する最大の基盤であることも忘れてはなりません。私は、冷静で現実的な国会論戦の先頭に立って頑張って参ります。
外交・安全保障に与党も野党もなし、あるのは国益のみ
最初に私の立場を明確にしておきたいと思います。私は、5月中旬から始まる国会審議に臨むにあたり、「外交や安全保障に与党も野党もない、あるのは国益のみ」との揺るがぬ信念に基づき、我が国を取り巻く厳しい安全保障環境を見据えた現実的な議論を心掛けるつもりです。議論をする前から「自公政権の決めた方針は間違っている。だから反対だ!」などと結論先行の思考停止に陥るつもりはありません。どんな法制を整備する必要があって、政府案のどこに問題があるのか、どこをどう改めるべきか、正面から論じて行きたいと思います。
安全保障法制をめぐる与党合意の歪みを正す!
与党の合意内容から明らかとなった関連法制の骨子は次のようなものです。(1)武力攻撃に至らない侵害(グレーゾーン事態)にあたっては、現行法制の範囲内で関係省庁間の連携強化を図って対処する、(2)周辺事態法の「地理的制約」を撤廃し、日本の平和と安全に資する活動にあたる他国軍への支援活動を拡充する、(3)国際社会の平和と安定への一層の貢献をするため、PKO法を改正するほか、他国軍への後方支援を可能にする恒久法を制定する、(4)昨年の閣議決定で定められた自衛権行使をめぐる「新三要件」に基づいて、集団的自衛権の限定的行使を含む自衛隊の防衛出動を可能にする関連法制(自衛隊法や武力攻撃事態法など)を改正する。
我が国の平和と安全こそ安全保障の第一義
与党合意にはまだまだ曖昧な点も多いですが、少なくとも3つの問題点を指摘しておきたいと思います。第一に、我が国にとって最も喫緊の課題であるグレーゾーン事態を疎かにしています。尖閣周辺や昨年の小笠原諸島で起こった大量密漁船事案でも明らかなように、現行制度の運用改善には限界があります。そのために、私たちは昨年「領域警備法案」を議員立法で国会に提出しました(衆院解散で廃案となりましたが、今国会にも再提出する予定です)。第二に、周辺事態法から地理的制約を撤廃し、同じ後方支援だからと国際平和のための他国軍後方支援と意図的に混同しようとしているのは、明らかに我が国の安全保障を歪める考え方だと言わざるを得ません。私は地理的な限界を画した上で、我が国の存立に直接影響を与えるようなケースについては、より積極的に行動できるよう周辺事態法を改正する一方、国際平和への貢献については、すでに参加実績のあるPKOへの積極的関与は推進するものの、我が国の存立とは直接関係のない「地球の裏側」での他国軍隊への後方支援にまでのめり込むことには国益の観点から再考を求めます。
拙速なガイドラインの日米合意は明らかな国会軽視だ!
第三に指摘しなければならないことは、限定的な集団的自衛権行使を可能にする自衛隊法等の改正は、最大限国民の理解を得るべくより丁寧に時間をかけて国会審議を尽くすべきだということです。私自身は、他国への武力行使であっても我が国の存立を脅かすようなケースは考えられ、それが個別的自衛権では説明し切れない場合には、明確な法的「歯止め」をかけた上で限定的に集団的自衛権を行使し得るよう法改正するべきだと考えています。しかし、この点は戦後安保法制の大転換ですから、できる限り与野党の幅広い合意を得られるよう政府に特段の努力を促したいと思います。加えて、先日の予算委員会の集中審議でも安倍首相に直接警告しましたが、日米ガイドラインの協議を安保法制の国会審議が始まってもいないのに打ち切って、「見切り発車」しないことです。報道などでは、4月末の首相訪米の前にもガイドライン改定の日米合意が既定路線のようですが、国会を軽視して日米合意を急げば、安保法制をめぐる国会審議に無用の混乱を招くことは必至です。
冷静で現実的な国会論戦の先頭に立つ!
いま我が国を取り巻く国際情勢は厳しさを増しています。こういった情勢悪化の中で、我が国には、北朝鮮の核やミサイルの脅威を封じ込めつつ、アジア太平洋地域の平和と安定に積極的な役割を果たし、同時に国際秩序の立て直しに相応の力を注ぐことが求められています。我が国が応分の国際責務を果たすためには、これまで過剰なまでに禁欲的だった安全保障政策の改革が急務です。同時に、国民の理解と幅広い与野党の合意形成こそ安保改革を実現する最大の基盤であることも忘れてはなりません。私は、冷静で現実的な国会論戦の先頭に立って頑張って参ります。
衆議院議員 長島昭久