園長のつぶやき

こんにちは 長坂保育園の園長です。日々成長する子ども達を見ながら、日頃の思いを綴ります。

いつもニコニコ現金払(はぐく夢より)

2020-03-13 15:55:01 | 日記

 学生の時に覚えた麻雀。親しき仲にも礼儀あり、厳しいルールがあった。遊びとは言え勝負の世界。なかなか勝つことはなかったが、負けたときは顔で笑って心で泣く。貧乏学生同士の勝負故、負け金もたかが知れている。それでも貸し借りはなし。それが私たちのルールだった。負けたときの合言葉は「いつもニコニコ現金払い」。お金のない時はゲームに参加できず見るだけ。

 私が社会に出たのは昭和54年。給料は月末の現金払いだった。先輩たちの給料袋は社長の机の上で立っていた。私のは横に平たく寝ていた。当時、東京世田谷で4畳半1室、16,000円の家賃だった。給料は月20万円弱だったと思う。2年後八戸へ帰ってきたが、保育園の給料は約半分だった。現在我が園では「銀行振り込み」になっている。給料日には、明細書だけを封筒に入れて職員に手渡しだ。なんとなく味気ない。もらう方もいまいち感激が薄いようだ。きっと銀行の窓口やATMのまえでは深くお辞儀をしてお金を引き出すのだろう。「ありがとうございます。」と言葉を添えて。

 保育園では、子どもたちが作った作品を売ったり、買ったりして遊ぶ「お店やさんごっこ」が人気だ。買う人と売る人の掛け合いや、お金のやり取りが面白いらしい。お釣りの計算までしている子もいる。社会の縮図だ。この光景がいつまで見られるのだろうか。世の中はキャッシュレスの時代。もくもくと商品をカートに入れ、レジでスマホをかざして買い物終了。ここにお店屋さんごっこは登場しない。子どもたちに貨幣の重要性、経済の仕組みをどう伝えたらいいのか・・・悩んでしまう。近所の駄菓子屋で「かる~(買う)」と叫びながら十円玉を握って悩みに悩んで買い物をする姿をもう見ることはできないのだろうか。世の中が便利になると私たちの大切な何かが減っていくような気がする。スマホの出現であいさつや会話が減ったという。人間は一人では生きてゆけない。いくらAIが発達しても人の心までは読めない。人の温もりは人でないと理解できないのである。これからますます便利な社会を目指して世の中は発展していくことだろう。でも一度立ち止まって、後ろを振り返り、不便さの中にある温もりや優しさを取り戻すことも必要なことではないだろうか。

 昨年10月から3歳以上児の保育・教育費が無償になった。その財源である消費税も8%から10%になった。キャッシュレスで5%が還元されるという。買い物は〇〇ペイで…もう現金は必要ないのだろうか。「いつもニコニコ現金払い」、遠い昔の物語かな。

今、我が園の園庭では今朝降った雪でそり遊びをしている。この園庭も3年前に「子どもたちが遊べる園庭」に変えた。木があり、坂があり、でこぼこの土がある。子どもたちは自分で考え、自分で選んで自分たちのルールで遊んでいる。子どもたちの瞳がいつまでも輝く環境を大切にしたい。子どもたちの成長にはやはり現金が必要だ。これからも頑固に、「いつもニコニコ現金払い」の精神で子どもたちに社会のルールや仕組みを伝えていきたいと思う。                                 長坂保育園 園長  川口 司      

 

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