短歌blog往来

ながらみ書房によるブログです。

楠見朋彦歌集『神庭の瀧』

2010年10月10日 | 新刊歌集・歌書
前川佐美雄賞受賞作歌の
先師塚本邦雄に捧げる第一歌集


かなしみもピークを過ぎて桜肉とほる咽喉もとだけは明るい
週末に逢ふとき以外もしやきみ神庭の瀧にあそんでゐるのか
しかすがに金庫破りの慎重さ君の心音を聞きわくるのは
ベルリンの壁のかけらを宵闇に胸を当つ ヒーローのかけら
人文字は味蕾をさして時差といふ薄膜が身体と溶け合ふ

「短歌往来」2010年10月号

2010年10月08日 | 短歌往来
◎巻頭作品21首 春日真木子

◎特別作品33首 伊藤一彦 大辻隆弘

◎〈自然〉を詠む・撮る・描く 斎藤芳生

[特集]天野里・高野山・那智を巡る
評論 高野山の歴史と文化   山陰加春夫 36
作品10首+コラム 五十嵐順子 池田はるみ 小黒世茂 尾崎まゆみ 5 楜澤丈二 小林幹也 三枝むつみ 佐藤千代子 沢口芙美 住正代  角宮悦子 浜口美知子 前川斎子 丸山三枝子 御供平佶 源陽子 美濃和歌

◎作品7首 橋本喜典  山埜井喜美枝 志垣澄幸 松村あや 菊澤研一 結城文 内藤明 梅内美華子 林田恒浩 加藤ミユキ 石井利明
◎作品8首 松下紘一郎 藤川弘子 多久麻 草柳依子 岡崎洋次郎 羽生田俊子 檜 奈穂 佐野浩嗣 平田恵美 前川多美江 吉内尚彦 小林芳枝 天野きよ 岩井鑛治郎
■追悼 島崎榮一
■今月の視点 藤島秀憲
◎今月の新人 谷地充子
カルチャーのうた 鶴岡美代子
■連載 歌誌漂流 鈴木竹志
■新刊歌集歌書評
「春日井建全歌集」 菊池裕
佐々木幹郎著「旅に溺れる」 小池晃代
尾崎左永子歌集「風の鎌倉」 佐伯裕子
栗木京子歌集「しらまゆみ」 小塩卓哉
俵万智 一青窈「短歌の作り方、教えて下さい」 東直子
江畑實歌集「瑠璃色世紀」 村木道彦
三枝むつみ歌集「カドニウム・レッド」 村松由利子
深井富子歌集「厚恩」 竹村紀年子
土橋良枝歌集「等々力渓谷」 宇都宮とよ
■作品月評 小谷陽子
■評論月評 岩井謙一

服部貞行歌集『声その範囲』

2010年09月29日 | 新刊歌集・歌書


産まれたところを一歩も動かず、逃げようともせず、生を律し、あるがままのいのちをしずかに継いでいく。
『声その範囲』は、こうした己が生をまもり得たことへの感謝の思いにみちている。
路傍の草花であってもいい。その実であってもいい。そこに詩がある。
この週に鏤められたいのちの美しさが読者に届くことを祈りたい。  仲宗角



四六版上製 2625円税込

上田倫子歌集『飛火野』

2010年09月23日 | 新刊歌集・歌書

立春の空押し上げて大欅これ以上なき深呼吸せり

旧志賀邸に近接する裂くシュアの住居にも近い飛火野には、私の樹である櫟樫が立っており、鹿や人の憩いの場となっている。
土地が人を育て、土地が歌を歌わせる。
さらなる歌が作者を待っているのである。   櫟原聰

四六版上製 2625円(税込)

渡辺松男歌集『自転車の籠の豚』

2010年09月17日 | 新刊歌集・歌書
  あこがれはキリンとなりて生まれたりもうひとりのキリンと木の葉分けあう

自らと交感するもののすべて。
空や雲や水、草木、動物、あるいは何の変哲のない風景であってもいい。
時には剽軽に、時にはもの悲しく、おおらかな感性の針をふるわせながら言葉と調べをかすめ取っていく。

歌よ、時空を駆け抜けて輝け!

深井富子歌集『鴻恩』

2010年09月07日 | 新刊歌集・歌書

前山のただよふ霞のうすれきて雪の御岳姿あらはす
格子透く光といろりの煙の綾思ひは遠し江戸へ続きぬ


2625円(税込)

村松建彦歌集『ナナメヒコ』

2010年09月03日 | 新刊歌集・歌書
  モンロー忌原爆忌また盂蘭盆会木下闇よりのぞく青空
  浴槽の排水口につながりて海ひろやかに待ちてあるべし

歌集名の『ナナメヒコ』は「建彦(たてひこ)」の「タテ」と「縦」を掛けて、さらに「ナナメ」へと捻りを加えた楽しいネーミングだが、物事を縦のみでも横のみでもなく、すずやかな「斜め」から見渡したい、おという願望が託されているのであろう。   栗木京子

四六版上製 2625円(税込)

大朝暁子歌集『木根跡』

2010年09月01日 | 新刊歌集・歌書


木根跡美しく地表にあらはれて
語り初む二万年前の世のこと

60代には60代の人生の鳥影がよぎる。
はるか太古の時間にうながされるように、
北の地で作歌する著者10年の生の足跡!!

A5版上製 2730円(税込)

佐藤豊子歌集『擬宝珠と鷺草』

2010年08月20日 | 新刊歌集・歌書


擬宝珠は姑しのぶ花
鷺草は夫とも思ふ盂蘭盆の花

飾りがなく、何を思い、何を感じているか、
家族に思いを伝えたい一心で、
遺言に換えるものとして刊行に踏み切った一巻。

A5版上製 2415円(税込)

短歌往来2010年9月号

2010年08月15日 | 短歌往来
◎巻頭作品21首 稲葉京子

◎特別作品33首
  吉川宏志 楠見朋彦 

◎〈自然〉を詠む・撮る・描く(132)16首 河野美砂子 

[特集]竹山広追悼

畏き人 谷川健一 
宥したまはず 今野寿美  
初期歌篇のこと 佐藤通雅 
『 とこしへの川』 結城 文 
『葉桜の丘』 宮原望子 
『残響』 奥田亡羊 
『一脚の椅子』 加藤英彦 
『千日千夜』 大口玲子 
『射祷』 田中拓也  
『遐年』 中根 誠  
『 空の空』 森本 平 
『眠つてよいか』 栗木京子

◎作品7首
 大坂 泰  雨宮雅子 武田弘之  槇弥生子  田野 陽  川野里子 大下一真 森 淑子 大塚寅彦  森淑子 王紅花 

◎作品13首
 比嘉美智子 家原文昭 村島典子 大熊俊夫 足立晶子 村松建彦  石川浩子 

◎作品8首
 本間百々代  横山三樹  浜比佐子 松本高直 水井千恵子 大和類子 佐藤光子 安池菊夫 玉城寛子  島本正靖  国吉茂子 荻原桂子   

歌人回想録 国見純生
小歴 藤田兆大  
国見純生のうた50首抄 藤田兆大 
国見純生の人とうた 梶田順子  
■今月の視点 選んで欲しくなかった〈名歌〉 寺尾登志子  
◎今月の新人 終わらないうたを 上野僚介 
◎カルチャーのうた 上尾イトーヨーカドー短歌教室 丹波真人  

■新刊歌集歌書評
中根三枝子著「萬葉植物歌考 神作光一 
尾崎左永子著「百人一首の世界」 安田純生 
井上美知著「現代短歌と史実」 田中 綾 
加藤ミユキ歌集「山茶花の庭」 林 和清 
結城文歌集「八月一五日の雨」 若菜邦彦 
松村由利子歌集「大女伝説」 酒井佐忠 
仲宗角歌集「紅鷲」 喜多弘樹 
山田消児著「短歌が人を騙すとき」 石川美南 
松木秀歌集「RERA」 中沢直人  
吉内尚彦歌集「湖北春秋」 上田明  
天野きよ歌集「たぶのきの風 大原葉子