文は一行目から書かなくていい - 検索、コピペ時代の文章術 価格:¥ 1,365(税込) 発売日:2011-05-27 |
評価 (3点/5点満点)
芥川賞作家(第107回『運転士』で受賞)の藤原智美さんが、普段の文章力の磨き方からネット時代の文章術まで、書くことに関する幅広い考察がまとめられています。
「文章というのは、とかくうぬぼれやすいものです。端からみると、わかりにくい駄文であっても、なかなか自覚できない。書くほどにうぬぼれは強くなっていき、それを人に指摘されたとたん、猛烈に反発し「この名文が理解できないのか」などと、相手にくってかかったりします。」(まえがきより)
つまり、言葉を組み立て生みだされる文章は、まさにその人そのものだといえます。だから文章批判は自分自身を批判されたような気になるのです。
しかし、このような書くことの困難さをわきまえた謙虚な人なら、文章力も着実に向上できると思います。
逆接以外の接続詞を外すと文章がシャープになるなど、プロ作家ならではの文章テクニックも参考になります。
【my pick-up】
◎文は一行目から書かなくていい
構成を固めてから書くべきか、書いてから構成を考えるか。私の場合は後者です。
完成図を考えるより先にやるべきなのは、頭のなかの言葉のピースを目に見える形にすること、つまり思考の断片の文章化です。
思考の断片を文章にして並べると、「このままでは結論がない」「この要素とあの要素をつなぐには、もう一つ要素が必要かも」というように、いままで見えていなかった全体像や、足りないピースが浮かび上がってきます。緻密な構成は、この段階になってようやく可能になるのです。
反対に、最初に構成を固めすぎると、後からの大胆な変更は加えづらくなります。想定した域を出ないということは、構成に縛られて内容が窮屈になったり、よい意味の裏切りがない凡庸な作品になりがちです。
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