評価 (3点/5点満点)
「あなたの会社の人件費は妥当でしょうか?」
この本では、人事に関わる30のデータを厳選して紹介します。
多くの企業では、社員の採用やモチベーションを特に重視しますが、他の人件費や人員数、人員構成など人事管理の上で重要な管理領域に対しては厳格な管理をしてきませんでした。
その意味で、人事管理は〝データ〟〝定量〟〝数字〟で管理する感覚がほとんどなく、結果的に進化する機会を失ってきたのではないでしょうか。
逆に言えば、本書を参考にして自社における重要ないくつかの〝データ〟〝数字〟を把握していれば、人事の状態や経営としての有効な〝打ち手〟が明確になると思います。
【my pick-up】
◎ルーチンワークなのに高等級社員ばかりーベテラン過多の弊害
人事異動が少ない職場では、見渡すと経験豊富な高等級社員ばかりでも、やっている仕事は彼らが新人だった20年前と同じ。習熟した社員ばかりの職場は実務レベルのパフォーマンスは高いかもしれませんが、経営の求める体制になっているとは言えません。
20年間同じ仕事をし続けていて付加価値も同じなのに、コスト(給料)だけは上がっていくのです。
◎実はローパフォーマー社員対策である役職定年制と再雇用社員の処遇
本来、役職者として高いパフォーマンスを発揮して企業業績に貢献している社員であるならば、一定の年齢で役職の任を外れる役職定年の仕組みは合理的な制度とは言えません。逆に言うと、ローパフォーマー社員の中高年社員が多く存在している企業が多いからこそ、役職定年制を導入する企業も多いとも言えます。役職定年は、60歳の定年と同じように、年齢という軸で一律に社員の処遇を下げることができるため、経営的には非常に都合が良く使い易い制度です。
再雇用制度も同様に、人件費の過払いを解消するために、60歳の定年後、一律に処遇を低くするような仕組みにしている企業がほとんどです。
◎いくら昇給させるかよりも何時間残業させるか
新しい人事制度で毎年の昇給額を5000円にするのか1万円にするのかを議論するよりも、社員全員が十分早く帰るためにはどうしたらいいかを議論するほうがよっぽど経営的なインパクトが大きいのです。
残業代は人件費における変動部分、経営としてのコントロールを効かせる部分であるにもかかわらず、そのコントロールを手放し、しようがないとあきらめてしまってはいないでしょうか。
◎評価レベルをいかに上げていくのか
評価レベルを上げていくための大前提は、絶対評価とすることです。相対評価や複数段階の評価は優秀な人材を一定比率しか認めない仕組みです。また、評価者がつけた評価結果と最終評価が異なることから、適切な評価結果のフィードバックができず、部下が今後成長していくための機会を最初から奪っているようなものです。
次に、評価結果を評価者間で公開するようにして、各評価者の評価結果が適正なのかを評価者間で検証することが可能なようにすることです。評価結果のインフレや評価基準がそろわないといった現象は、評価者が自分の部下以外の評価結果が公開されていないことが原因となっていることが大半です。
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