スタビライザー(センターロッド、Mロッド)[ハンドルとの相性]

 できるだけ解りやすく、経験を元に、解説していきます。
 スタビライザーを語る上で重要な要素は、ハンドルとの適合です。皆様はセンタースタビライザーを選択するときにデザインで選んでいますか? 何気なく流されて? トップが使っているから? 少し視点を変えて考えてみましょう。スタビライザー・メーカーが沢山あることはご存知のことと思います。アーチェリーメーカーからパーツメーカー、はたまた一部の商社系カーボンメーカー、等などです。カーボンの素管さえ手に入れることができれば、形だけのものならノウハウがなくても誰でも作ることができるモノなのです。
 以下この提言においては、センタースタビライザーの各部の名称を次の様に表現します。先端のウエイトと連結させるためのネジを「先端の金具1/4」、ハンドルにねじ込む、またはVバーの金具にねじ込むネジの部分でない金具を「カプラー」、ネジ部を「根元の金具5/16」、カーボンロッド部は、「素管」です。

 さてセンタースタビライザーの役目とは一体何でしょうか。振動吸収、一定方向へのモーメントを発生させること、その他、色々な当てるための要素が考えられます。センタースタビライザーには、大きく分けて2種類あります。1本ロッドと集合ロッド(細いカーボンパイプを数本束ねたもの)です。それぞれがメーカーのポリシーによって造られています。まず、基本的にハンドルとリムとセンタースタビライザーの位置の調整(センターチューニング)が全て完璧、または完璧に近いセンターチューニングができていることが前提になります。センタースタビライザーが左、右に振れていると、射った後、その方向に弓本体が少々回ってしまう可能性があります。射った後、弓本体に左右のモーメントが発生してはいけません。
 それでは、どのようなセンターロッド(Mロッド)を選択すれば良いのか? それは、ハンドルとの相性に深く関わっています。センターロッド(Mロッド)を取り付けるハンドルのブッシュ(メスネジ)の位置がピボットポイントから何ミリの位置で設定されているかです。そのブッシュの位置が下方であればあるほど射った後のスタビライザーの振動は増しますので、それなりの選択が必要となります。ただ、最近の流行で、例えば先端の金具とウエイトの間にゴム材を入れて振動吸収の手助けをしているものもありますので大半のロッドは、根元の金具が曲がっていなければ良いロッドといえます。
 そのハンドルとの相性ですが、私を含めハンドルメーカーのスタッフの方々も図面上や強度計算上で満足できる仕上がりになり商品化しても、思いもかけない故障が起こることがまれにあります。ハンドルの強度は、すなわち耐力です。6000系を基本に考えれば5000系を使用している(伊)のハンドルは肉を厚く、7000系を使用しているメーカーは、肉を薄く仕上げることができ、それぞれ耐力を維持しています。その、まれに起こりうることとは、P社のように耐力の限界まで軽量化のため肉を削ぎ落としたものは、削りだしの工程中のわずかな傷がハンドルのひび割れ、破壊の原因となり、それを誘導するものがセンターロッド(Mロッド)ということができると思います。
 すなわち、ショックの吸収が激しい、言い換えれば射った時の振動がものの見事に解消されるロッドは、その振動の逃げ道がハンドルの弱い箇所に集中しますのでロッドの選択に制限があります。経験による私見ですが、集合ロッド+P社の組合せは、万が一を考えれば避けたほうが懸命だと思います。H社のハンドルは、過去1モデルだけ不具合が発生しましたが、数年前から熟成されたハンドルとなっていますので、どのようなロッドを使用しても、この種の故障はあり得ません。ただロッドの取り付け位置がかなり下方にありますので柔らかすぎるロッドは使用しないほうが懸命です。硬すぎるロッドはまれに戻り振動が発生しますので、その場合は、ゴムダンパー(先端の金具に取り付ける)が必需品となります。
 ピボットポイントから何ミリのところにハンドルのロッド用ブッシュが設定されているかでロッドの選択を行うことも一つのやり方ですので参考にしてください(2007年2月まで登場したハンドル)。
(1)100ミリまで・・・・1本ロッドならどのようなロッドでも使用可能です。集合ロッドは、上記のような制限がありますので、メーカー、またはお店に相談してください。
(2)100ミリ以上・・・・柔らかすぎるロッドを除き、ゴムダンパーで調整可能ですので全て選択できます。振動吸収だけが目的なら集合ロッドです。特にハンドルの制限はありません。
 また、よく見かけることですが、実射中に根元の金具(ねじ)が折れてしまうケースです。メーカーの意に反してまさかの故障です。
《ケース1》ネジ部にゴムワッシャー、皮製のワッシャー、厳密にいえばデルリン、テ
フロンですら入れるべきではないと思います。特に柔らかい材質のものはその部分に応力が集中しますので折れ、曲がりの原因となります。
《ケース2》カプラーとネジ部が一体となっているロッドの場合、設計者の意に反してカプラーの内部の加工の際φは守られていても、デプスがマシーンの状態等の理由でわずか0.1m深く削られてしまうと、ネジ部のカプラーへの延長線上を緩衝し肉薄となって衝撃が長期間加われば折れてしまうことがあります。しかしながら精度的に良いこともあります。
 カプラーから根元の金具(5/16UNF-24)ネジをハンドル側のブッシュのメスネジに合わせオス、メスの嵌合の誤差を最小限に留めることができます。
 機械関係の方はよくご存知だと思いますが5/16UNF-24のネジは外径だけしらべても何種類もあります。単純な疑問としてユーザー側はロッド金具の内部は見ることができませんのでメーカー、販売店の説明をよく聞くことです。
《ケース3》カプラーとネジ部が分離しているロッドの場合これに使用されているネジの大半は、市販されているホーローネジです。材質は、ステンレス、または、鉄です。粗悪なホーローネジは外径が足りないため嵌合がうまくいかず、ねじ込みの途中でガタガタがわかります。ステンレスを使用する場合の材質は、304または303です。なかには、430Fのホーローも見かけますが物性に反して折れやすいので止めたほうが懸命です。これは、磁石に反応しますので、すぐにわかります。鉄ホーローは錆びますが、曲がらない、折れないという点で理想に一番近いといえます。

 センターロッドは、弓に一定方向へモーメントを発生させるためや振動吸収のための道具です。振動吸収のためなら現行のストレートチューブではなくテーパーをかけるべきです。しかし現行のチューブ(素管)でテーパーをかけますとカプラー部が太くなりすぎコスト的にも合いません。その結果φが大きくなってきています。ただ中にはあまり知られてないことですが外径はストレートであっても内径にテーパーがかかっているロッドもあります。高価なロッドですが減衰性は素晴らしいものとなっています。

 気持ち良く射つことが出来る。この漠然としたことが大切ですので、くれぐれも、戻り振動の発生しない、ネジ部の故障の少ないロッドを選択しましょう。国産のロッドは、長い期間を経てロングセラーとなっているものも数多くあります。ロングセラーということは、長い期間ユーザーに支持されてのことですので実力があります。ロッドには性格がありますので自分の弓具に合わせた選択を行ってください。
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リム

 突然、リムの話です。予定変更してまでリムの提言を行う理由は、本年度モデルをほぼ全機種チェックし終え、その結果今後のアーチェリーに非常な危惧を感じ取ったからです。7年前までのニシザワ(エヌ)、ヤマハ、ホイットは、それぞれのポリシーで競い合いリムのレベルも確実に進化していました。しかしヤマハが生産を止め、ホイットの創始者のMr、Earl Hoyt jr.が亡くなり、リムの進化は少なくともエヌ以外は、停滞どころか後退していると思われます。この数年色々なリムが登場し、その中には、エヌがすでに試作し様々な理由でユーザーの不利益になるため没にした試作品も数多くありました。多分正解だと思いますがヤマハも我々以上の研究を行い多額の研究費、試作費を使い進化を遂げてきました。しかし、世界のリーダーたるヤマハがなくなった今、少々オーバーな表現をとるとアーチェリー・リム界は、まさしく無法化しているのではないでしょうか。色々なリムが登場するたびにその大半を私は(そして多分ヤマハ関係者も)大笑いしました。我々からみた〈没にした試作品〉が堂々とまかり通っている現実。少なくとも団塊の世代の方々はアーチェリーの歴史をご存知ですのでもっと堂々と自信を持って次のリーダーにリムはこうあるべきだと伝えて欲しいと思います。

 昨日私にとってたいへん嬉しいことがありました。これがまさしくリムはこうあるべきだという真髄に迫るものですのでご紹介させて頂きます。
 インドア大会に私どものブースを出していましたが、ある方が質問にこられました。内容は、ご自分で「数種類のリムのフォースカーブ(FX曲線)を計測しているが最も良いカーブとはどのようなものか」というご質問でした。このような視点で研究されている方は最近あまり見かけておりません。これは、まさしくリムの良し悪しの判断材料のトップ項目でしょう。FX曲線だけでも弓の良し悪しは、判断できるからです。そこでエヌリムの初速ゾーンの曲線の膨らみは、他社では真似できないことであり、リリースゾーンの急激な加重(スタッキングポイントによる)を感じないで、そのままスムーズにドローイングできるエヌリムこそが究極のリムであることをご説明しました(弊社ホームページの技術性能欄でもご覧いただけます)。このような視点を持った方は、多分、将来素晴らしい指導者になられることと思います。

 さて、それではもっと簡単に誰にでもできる別の視点から見た良いリム、悪いリムの判別法をご紹介します。
 弦を張って弦溝から弦を左右どちらかに指先で1センチ位ずらしてみてください。弦が弦溝に返って納まる力が弱い、または全く納まらないリムは当たりませんよ。このようなリムが横行しています。エヌリム、ヤマハはパシッと納まります。最近のホイットどうした? ネームバリューだけで売れる期間の先は見えているはずです。私どものRX-Xの域にも達していないのが現状でしょう? リム芯材にフォーム材を使うことが、あたかもベストであるかのようにユーザーを洗脳した結果はいかがでしたか? 一部商品がバキバキ折れるという惨憺たる結果に終わったでしょう(メーカーの採算も含め)。実際フォームと我々のウッド芯材を射ち比べて違いが判る人がいますか? 我々の芯材はマグロでいうと大トロで非常に高価なものです。メーカーはコストダウンのためにフォーム材を使うべきではありません。満足なテストも行わずにフォーム材を使うからクレームが発生して、それを糊塗してあたかもニューモデルというようにフォーム材を変更してきていますね。ユーザーはモルモットではありません。
 次回はさらに掘り下げていきます。高校生、中学生、社会人のコーチ、監督の皆様が間違いのない指導をされることを願ってやみません。
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パーツ《2》 クッションプランジャー

 皆様は、プランジャーの操作方法をご存知ですか? 矢飛びの補正はちゃんとできていますか? 矢のスパインが合致してないにもかかわらず無理やりプランジャーで調整しようとしていませんか?
 プランジャーが登場して30数年になります。が、この間プランジャーは全く進化してないと断言しても過言ではないと思います。価格も2万円もするものから3000円位のものまでありますが、私がテストした範囲では、機能は同じに思えます。
 そこで、プランジャーメーカーに要望があります。何故プランジャーには、チャート表や親切な取り扱い説明書が存在しないのでしょうか? プランジャーのバネ圧を何グラムにしたらアローシャフト(リムの強さと一致している事が前提)と合致するのか、そのような、わかり易いチャート表をぜひ作って頂きたいと思います。
 プランジャーの加圧の値はホームセンターで売っているグラム計り(1万円から2万円)でも測定可能です。機会があったら計測してデータを取ってみてください。また、日本の精密加工のレベルは、世界最高であるはずです。メイドインジャパンのプランジャーの稼動性能の素晴らしさを忘れてしまっているのではないでしょうか。
 この提言は、30数年ほったらかしにされてきた最重要課題として、アーチェリー界に一石を投じることになると思いますが、いかがでしょうか? 日本から世界へ発信出来るよう皆様と一緒に考えてまいりましょう。
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パーツ《1》 羽根(ベイン)

 パーツの歴史を知らない人より、歴史を知った上でパーツを選ぶ人の方がチカラをだせます。羽根においても私たちの世代は、鳥羽根を始めとしてプラ羽根、硬質ゴム系羽根、軟質ゴム系羽根、プラ系スピン2枚羽根、そして現行のスピンウイングベインまでの経験があります。その項目ごとに説明の上、各レベルのアーチャーには、どの羽根を使った方が有利かを提言します。

鳥羽根……矢速を必要としない競技、現在でもインドア大会で使用されている方もおられます。

プラ羽根……材質の問題でよく割れました。現在では殆ど見かけません。

硬質ゴム系羽根、軟質ゴム系羽根……このあたりから、点数はUPして、アーチャーはそれぞれに研究しピッチを何度がベストか追求しました。
このころからKアーチェリーはピッチを極端に付けたスーパーヘリカルを開発しゴム系羽根では究極の回転数を可能にしました。

プラ系スピン2枚羽根……現在大流行のスピンウイングベインの原型でその回転力の素晴らしさは目を見張るものがありました。これは、国内ではアサヒ弓具が商品化し2枚羽根でも3枚羽根並み以上の集中力があることを証明しました。

スピンウイングベイン……多分皆様ご使用になっている羽根です。色々な羽根を経験した方々にとっては、まさに、魔法の羽根ですが歴史を知らない新人に対しては落とし穴も有るのではないでしょうか? 120度均等に付けてありますか? 3枚共、同じ形状ですか? 羽根がつぶされていませんか? ミスをカバーしてくれる魔法の羽根でも限界はあります。今すぐ点検してください。

 さて、羽根の選択に関して結論を出しましょう。この数十年、誰も明文化していませんし、様々なご意見があるとは思いますが、やりましょう。各レベル(点数)ごとにどの羽根を使った方が有利かです。       

◆新人30メートル300点、オールラウンド1000点までの方
軟質ゴム系羽根、3枚貼り、ピッチは必ずつけましょう。スピンウイングベイン、3枚貼り。アーチェリーを楽しみましょう。ビギナーの方は10点に入れることより的の1箇所に集中させましょう。

◆中級、オールラウンド1100点までの方
スピンウイングベイン3枚貼りまたは、必ずピッチを付けた軟質ゴ系羽根3枚貼り。矢の長さに合わせた羽根の長さの選択を心掛けましょう。

◆中上級、オールラウンド1200点までの方
スピンウイングベイン3枚貼り、スピンにピッチを付けて回転数を変えることもトライすべきです。または、軟質ゴム系スーパーヘリカルです。矢の回転力、回転数があなたの点数UPにどれ程寄与しているか感じ取れるでしょう。 

◆上級、オールラウンド1300点までの方
スピンウイングベイン3枚貼り、精度の高い貼り付けが必要です。羽根の長さ、ピッチ、角度、形状の異常、チェックしましょう。または、メンテナンスが楽な軟質ゴム系スーパーヘリカルです。

◆最上級、オールラウンド1300点以上の方
メンテナンスは繊細さが必要ですが、精度の高さ、実績からKスピン(日本バイメタルです)。勿論スピンウイングベインもOKですが、Kスピンの方が正確に貼れます。将来は、変形しないで精度が高い材質のスピンウイングベインが登場する筈です。

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 1250点アベレージ以上の方は、自己管理、パーツ類の繊細な管理が出来ている筈です。そのレベルを更に向上させなくてはいけません。いまだにアーチェリーパラドックスと矢の回転数との関係が明文化されていませんから、今後、私の意見を掲載していきます。

 羽根の基本的な問題点は、24インチ、28インチ、30インチの異なる矢の長さを使用している方が同じ長さの羽根を使っていること。おかしいと思いませんか?  
 また、ピッチの付いてない軟質ゴム系羽根とスピンウイングベインとを比較した場合、的面の集中にどれ程の差がでるかご存知ですか? それは驚くほどです。このようなシューテイングマシーンでのテスト結果も、今後、判りやすく公開します。
 私どもの世代では、全ての羽根を体験していますのでそれぞれの羽根の良し悪しが解ります。忘れてしまった同年輩の方、思い出してください。今は、道具に流されてしまっているのではないでしょうか?
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アーチェリー界の先人達に、敬意を込めてこのブログをスタートします。

 団塊世代のアーチェリー経験者、現役で活躍されている団塊世代アーチャー、そしてメダルの有無を問わず日本のアーチェリーの礎となられたにもかかわらず社会的評価を受けられていない方々に対してエヌプロは光り輝く金メダルを差し上げたい気持ちです(団塊の世代1947-1949年生まれを、エヌプロ流では1945-1949年と定義)。
 なぜなら、あなた方は弓具の歴史、スコアの歴史、技術、メンタルコントロールの歴史を肌で感じ取った経験があるからです。ただ、私も含めその貴重な経験、知的な財産を伝え啓蒙する機会がなかったからではないでしょうか。

 このエヌ・プロのホームページの提言ブログでは、アーチェリー界で通例化していることに対する疑問をはじめとして、最終的には弓具の良し悪しまで言及させて頂きます。何ヶ月かかるか解りませんが、ある時は往年の名選手のお名前を拝借させていただきながら探求していきます。ぜひ、皆様も提言・苦言をお寄せください。ともに考えていきたいと思います。
 トップアーチャー層が少なく、停滞が続いている日本のアーチェリーレベルの向上を祈念して・・・・。     

●予定している項目(順不同にて不定期で掲載)
〈1〉羽根(ベイン)
〈2〉ストリング 
〈3〉ノック
〈4〉アローシャフト
〈5〉スタビライザー
〈6〉クッションプランジャー
〈7〉グリップ
〈8〉ポイント
〈9〉ハンドル(ライザー)
〈10〉リム
〈11〉サイト
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