いとうな日々

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故郷忘じがたく候 司馬遼太郎

2004-10-28 | WEBLOG
村田喜代子著「龍秘御天歌」を読み終えた時、次は彼女の「百年佳約」を読むことに決めていた。例によってふらりと立ち寄った新橋の書店で司馬遼太郎の「故郷忘じがたく候」を自然に手に取ってページをめくってみた。

薩摩焼の陶芸家、沈寿官。約400年前朝鮮半島から薩摩軍によって連行され来た陶工。代々当主は沈寿官を名乗る。この作品は、薩摩焼の沈家・第14代当主の沈寿官氏が主人公となっていて、実在の人物を描いたノンフィクションなのである。

沈氏の祖先が日本に連れ去られた光景、沈氏が、いかにして薩摩で生きてきたかという光景、そして寿官氏の少年時代が綴られ、最後は沈寿官氏が韓国を訪問し、当時の朴大統領と会見した場面、先祖の故郷に里帰りする場面などが描かれる。

村田喜代子の「龍秘御天歌」が有田焼400年の歴史に唯一名を残した女性「百婆仙」をモデルとした創作であるのに対し、司馬遼太郎の「故郷忘じがたく候」は若干の創作が加えられているもののノンフィクション作品なのである。

司馬遼太郎は沈寿官に真の日本人・薩摩隼人の気骨を感じ取ったに違いない。日本を語りながらも同時に韓国・朝鮮を語り、日本人とは何かを語る。われわれ日本人の祖先が朝鮮半島からこの地に渡ってきたことを前提として・・・。


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■ 沈寿官

■ 苗代川 美山 沈寿官陶苑

■ 司馬遼太郎を歩く