瞑想と精神世界

瞑想や精神世界を中心とする覚書

関心のつながり

2010年03月06日 | 瞑想日記
「マンガ・アニメといった日本のポップカルチャーが、海外で高い人気を得ているのはなぜか」というテーマを追求し始めたら、これまで関心のあった分野や新たな関心分野が思わぬ形で結びつき始めたと書いた。昨日触れたこと以外もいくつかあるので、箇条書きしてみる。

1)日本史と世界史は、これまで教壇に立って教えてきたが、両者を文明論という立場から比較するという関心が生まれた。最近、「日本になぜキリスト教は広まらなかったのか?」というタイトルで(4)まで書いたが、実はそのもともとの関心は、日本のポップカルチャーの流行に対する関心だった。日本にキリスト教が広まらなかった理由と、日本のポップカルチャーが世界で受け入れられる理由との間には、大きな関連があると思っている。

このテーマは、前農耕的な文化が日本では生き残り、ユーラシア大陸ではほとんど生き残らなかったのはなぜかという問いともつながり、民族間の武力抗争や宗教戦争の有無がユーラシア大陸と日本の文明にどのような違いを与えたかという問いともつながる。

2)私は学生時代、西洋哲学(とくに現象学)を学んだが、西洋の思想史や宗教史を新らたな関心から少し勉強しなおす関心が生まれた。もし現代哲学が、西洋のプラトン-キリスト教的な伝統との葛藤の中で生まれてきたのだとすれば、それは父性原理的な西洋の精神史と、母性原理的な前農耕・牧畜文明の違いという問題にもつながる。

3)その他、小さな関心をいくつか挙げれば、歌舞伎はヨーロッパの演劇に比べるとはるかに動物が主人公になったり、重要な役割を果たすことが多いという。これも牧畜を知らず、遊牧民との接触がなく、縄文文化的な要素が色濃く残った日本文化の特性に関係するだろう。昨日触れたトマス・インモースは、日本人の心がもっとも崇高に現れているのは能だという。過去のあらゆる演劇形式を取り込むと同時に、歴史以前の演劇の原型である祭祀に根を下ろしているという。その歴史的な重層性! いずれじっくり観たり調べたりしたいと思っている。

4)これらの新たな関心が、同じ関心をもつ人々とのつながりを広げている。マンガ・アニメへの関心は、若い人々との共通の話題を作れたし、旧友との交流を深め、新しいつながりも生み出しつつある。

ないがしろにし勝ちだった「自我」に根ざした関心を、「自覚的」に推し進めることで、こんなにも豊かな関心の広がり、と同時に新たな視点からの「自己」探求につながっていくとは!! ちょっと信じられないくらいだ。