俺の翼に乗らないか?

スターフォックスの一ファンのブログ

「ファルコとの出会い」その48

2011年05月02日 00時31分21秒 | 小説『ファルコとの出会い』

「……君が、父さんと……ジェームズと、最後に話したのはいつだ?」
「現在より、5か月と26日前。ライラット暦2003年6月2日ノコトデス」
「父さんは、何と言ってた?」
「シバラク、留守二スルト。ソノ間、艦ノ整備調整を頼ムト。ソノヨウニ聞イテイマス。デスガ約2カ月前、私二モタラサレタノハ、ジェームズノ訃報、ソシテ、コノ艦ト私ノ凍結処分デシタ」
 おおむね予想していた通りの答えだ。極秘任務だった惑星ベノムへの潜入に関して何も伝えられていないのも、当然だろう。
 このロボットに、主の死をあらためて告げるべきか否か?
 フォックスは少し迷ったが、これまでの自分の生き方に素直に従うことにした。正直に話して伝えるのだ。
「君が聞いているとおりだ。ジェームズ・マクラウドは、ベノムで命を落とした」
 それを口に出すとき、内臓をねじり上げられているような痛みが体の中に走ったが、かまわずに話し続けた。
「遊撃隊・スターフォックスは、一時は消滅しかけたが、オレがリーダーに就任することで存続することになった。グレートフォックスも凍結を解かれたんだ。無論君もだ、ロボットくん」
「スペースダイナミクス社製オペレーション・ロボット、NUS系064、製造ナンバー・AUB0654289。“ナウス”ト呼ンデクダサイ。歓迎シマス、新タナリーダー」
 呑み込みの速さにフォックスは舌を巻いた。
「ずいぶんと理解が速くて助かるけど……。なぁ、ナウス。オレの言うことが、どうして本当だと分かる? 実はジェームズが死んだというのは嘘っぱちで、今はどこかに監禁されていて、全く関係ないやつらがこの艦と君とを乗っ取ろうとしている。たとえばそう考えてみることは、しないのかい?」
「先程マデハ、ソノ可能性モ考慮ノウチデシタ。私二ジェームズノ死ヲ伝エタモノハ、コーネリア軍ノ一将校ト思ワレル人物ノ言葉ダケデシタカラ。シカシ今、アナタノ口カラ聞クコトデ、疑念ハ晴レマシタ。話ス時ノ表情、視線ノ動キ、声ノ抑揚、体表面温度ノ変化ナドノポイントカラ、嘘ハ99.99%ノ精度デ見抜ケマス。マタ、起動時二同期ヲ行ッタデータバンクカラノ情報ト照ラシ合ワセテミテモ、フォックスノ話シタコトハ真実ノヨウデス」
 フォックスは驚きとともに、一抹の不安も感じずにはいられなかった。かれらの思考力は、自分たちと比べても全くひけをとらない。洞察力と判断力は、ヒトのレベルを数段、上回っているのではないか。
「驚いたな……しかし、そこまで考えることは、かえって回り道なんじゃないか。たとえばコーネリア軍の端末にアクセスして、スターフォックスのリーダーがオレの名前に書き変えられているのを確かめれば、それで済む話じゃないのかい?」
 ふふん。自信ありげにナウスは鼻を鳴らした。鳴らす鼻などこのロボットにはどこにも付いていないにもかかわらず、フォックスにはなぜか、そう見えた。
「データヲ書キ変エルコトハ、誰二デモデキマス。与エラレタデータヲソノママ丸飲ミスルヨウデハ、『知能』ヲ持ッテ入ルトハ言イマセン。私達ハ己ノ頭脳デモッテ、情報ガ信頼二足ルモノカ否カ判断シマス。アナタガタト同ジク、『知能』ヲ持ツ者トシテ」


最新の画像もっと見る

コメントを投稿