ファルコは無言で飛んでいた。
シールドを消滅させたのは、相手が自分を生け捕りにしたがっているのを読んでのこと、ではなかった。
監獄か死か。その二択を迫られたとき頭にあったのは、自分の意志で選ぶ、ということだった。どちらを選んでも、追い詰められ負けたことには変わりがない。ならば、追手の思惑通りに監獄に送られるよりも――いっそここで終わりにしてやる。
シールドを消せば、レーザーが自分を貫くことはわかっていた。
ファルコは死のうとしたのだ。
シールド発生装置への電力供給を遮断すると、目を見開いた。恐怖しながら死を迎えたくはない。プラズマエンジンが爆散するその瞬間まで、雄々しく飛んでいたい。
その望みに反して、レーザーは嘘のように降りやんだ。直後の弾丸を急降下で避けたのは、考えてのことではなく反射的に体が動いたのだ。
背後で響く破裂音を聞くと、死にぞこなった、という虚脱感が全身を弛緩させた。図らずも相手のレーザー攻撃を封じることができたことへの喜びは微塵もない。
いくらカッコよく死のうとしたところで、体は勝手に動き、生きるために足掻こうとする。それに比べたら、自分の頭脳は――自分の意地、自分の意志、自分の知性は、なんと薄弱、脆弱なことか。
極限まで頭脳を働かせれば切り抜けられたはずの状況で、自分は安易に死を選んでしまった。自分の意地に付き合わせてきた、己の体と己の愛機を道連れにしての死を。相手の思い通りになるのが癪に触るというだけの理由で。
完敗だ。――オレの敗けだ!
機体の性能、1対3の戦い。条件の差を挙げればキリがない。だが言い訳を並び立てても意味はないことを、ファルコは知っていた。完全に公平な勝負など存在しないし、どんな勝負だろうと、最後は自分自身との戦いだからだ。
思えば自分は、負けたと認められるところまで自分を追い込んでくれる相手を探し求めていたような、そんな気もする。
今やっと、その相手が現れた――。
ファルコは回線を開くと、静かに相手の反応を待った。
コメントありがとうございます。
「ファルコとの出会い」、読んでいただけたんですね。
ずいぶん長いので読むのに時間がかかるうえ、最初のほうはなんかテキトーで申し訳ないです。
ちょこちょこ更新していくので、また来てみてください。飛鳥さんのブログにもまたお邪魔しようと思っています。
このたびは私のブログに来ていただきありがとうございました。
「ファルコとの出会い」読ませて頂いています。
ファルコとスターフォックスの駆け引きがとても良く描かれていて、毎回どう展開していくのかが楽しみです。
プラズマ冷却弾、重力場を使った攻撃など、お互いの作戦も面白いと感じました。
雪月さんのブログは、スターフォックスの様々な魅力が伝わってきます。
これからも更新を楽しみにしています。