円環ではなく螺旋を

　そう言えば、「共依存」について調べたよ。

　アルコール依存症の夫と、その妻。妻は夫から迷惑をかけられつつも、その尻拭いに自分の価値を感じている。お互いに依存しあっていて、夫はアルコール依存から抜け出せないし、妻も夫への依存から抜け出せない。

　互いの尻尾を食らいあう二匹の蛇のように……同じところを堂々巡りするだけの円環。


　やはり、円環はおもしろくない。そこから話が発展しない。


　螺旋でなければならない。二重の螺旋。
　互いが互いに影響を与え、互いが互いを成長させる。そして、ここではないどこかを目指して進んでゆく。


　大人と子供。親と子。男と女。物語と人間。世界と自分。わたしとあなた。


　円環ではなく螺旋を描け。誰もみな。

男性であることの危険

　「男である」ということは、非常に危うい、繊細さを要求される要素なんだ。

　間違った使い方をすると……変態、スケベ、セクハラ、ストーカー……たちまち不名誉なレッテルが貼り付けられる。



　「男は全員、犯罪者予備軍」……実にイヤな言い方だとは思うが、ある意味真実なので否定しきれない。

　一度、不名誉なレッテルを貼り付けられたら剥がすことは難しい。
　だから恐れている。少なくとも私は。きっと、男はみんな恐れていると思う。


　男なんてものはね。プライドでふくらませた風船みたいなものさね。
　プライドが折られてしまったら、しぼんでしまうだけさ。

　……弱い生き物なんだよ。女性と同じようにね。


　男性と女性。
　お互いに攻撃しあって、不毛な闘いを続けて傷つけあうより、互いに理解しあってともに成長できたらいいね。

おまえはタイムトラベラーか

「よーし。2055年に行こうっと」

　どこのタイムトラベラーかと思うセリフは妻のもの。
　妻は「乱数」という怪しいワザを使って、強いポケモンを捕まえている。

　ゲーム内に出現するポケモンの能力値は、ある法則に従って生成されているらしく。
　ある日付のあるタイミングでポケモンを捕まえることができれば、普通ならまずお目にかかれないような高い能力のポケモンが手に入るらしい。

　ゲーム内の時間をいじくって、強いポケモンを捕まえにいく妻。


　……『バック・トゥ・ザ・フュチャー』のテーマが私の頭のなかを流れる。

孤独が必要かもしれん

　Twitterから自分を切り離したのは、孤独になれるという意味でも良かったかもしれぬ。

　物語を書くとき……どうしようもなく孤独だが、その孤独の中に自分を沈めなければ、見えてこないものがある。

　風にも、波音にも邪魔されない、深い海の底。
　深海底で思索し、この世とは別の場所と自分が繋がる。

　別世界の扉の向こうから、物語が呼んでいる。細い糸をたぐり寄せて、捕まえなければならない。
　もしうまく捕まえることができたなら、陽の光のもとに物語を持ち帰ることもできよう。