MY研究所

(えむわいけんきゅうじょ) ピアノの先生の日常と、音楽教室や音楽についてのお話。

あたま と しっぽ

2007年06月20日 | 音楽教室
昨日の大阪は、いかにも梅雨らしくどんよりした空で
朝から何となく降りそうで降らないという
すっきりしない空模様でした。

うっとうしいので、つい
「降るならいっそのこと さっさと降れば?」
とつぶやいていたら
さあ出勤という時になって降り始めてくれました。
・・・聴こえた?(誰に)

さて
一般に、聴力は歳と共に衰えると言いますね。
聞こえる音の範囲自体は、確かに若い人の方が広いのですが
実際、耳がいいから聴き取る力も大きいかと言えば
そうとばかりは言えません。

良い耳+音に向ける集中力 が揃って初めて
ちゃんと聴けるのであって
耳だけ良くても聴き取る力にはなりません。
音に対する集中力を訓練するのが
レッスンの重要なポイントともいえます。

例えば、耳が良いはずの7・8歳くらいの子供でも
レッスンを始めて間もない生徒さんの場合、
ピアノで1音、ポ~ンと鳴らして
『この音が消えたら手をあげてね。』と言うと
明らかにまだ音が響いているのに
数秒で手を上げてしまいます。
つまり、全然音を聴いていない。

鳴った瞬間の『頭』の音は意識しているのですが
段々薄れながらも響き続けている『音の尻尾』まで
聴き続ける集中力が無いわけです。

この、最後まで音に集中する訓練ができていないと
レガート奏(なめらかに響きをつないで演奏すること)
は絶対にできません。
指だけ動かして、音を聴かないのでは
もはや音楽ではなく指の体操になってしまいます。


本人はレガートに弾いているつもりでも
実際は切れてしまっている時。

私 「今の演奏は、響きがつながっていた?」
生徒「うん。」
私 「本当に~?どこも切れてない?」
生徒「…たぶん」
私 「絶対?」
生徒(だんだん自信無くなってきた)
  「つないでた・・と思うけど…」
私 「じゃ、もう一回よおおおく聴きながら弾いてみようか。

本人が気付くまで、結構しつこい私。


ブランク

2007年06月19日 | 音楽教室
ここ最近、新しい生徒さんが増えたのですが
不思議と、全く初めて習いに来たという人は一人も無く
以前にもピアノを習っていたけど、
何らかの理由で中断し、
また習いに来た、という人ばかりでした。
止めた理由は、受験・就職・引越しと様々ですが
また習いたい、と来てくださるのは嬉しい限り。

それぞれ、3年~10年とブランクがありますので
まず、どのくらい基礎知識や演奏能力が残っているのか
チェックするところから始まります。
やはり、ブランクが大きい人ほど、
なかなか手が思い通りに動いてくれません。
「っもう!」と自分の手をペシペシ叩く人
「あはははは 全然動かない~」と笑う人。

笑う人はいいんですが
叩いたところで動くようになるモノでもないので
手に罪はないですから、と止めに入ります。

再開した人が、またもとのペースを取り戻すまで
それなり時間はかかります。
共通して言えるのは
以前は弾けたから、とムキになって力任せに弾くより
無駄な力を入れずに、良いタッチで弾くように心がけ
丁寧に練習することが、結局は早道らしいということ。
そして、とにかく毎日ピアノに触れること。
レッスンは受けていなくても、
自分で練習は続けていた、という人は
勘が戻るのも早いです。

初めはまどろっこしく感じても、
弾き込んでいくうちに段々と動くようになってくるものなので
急がば回れ、でレッスンしています。


楽譜いろいろ

2007年06月18日 | Weblog
ずっと弾いてきた曲集の中の曲を全て弾き終え
新しい本に進むのは、うれしいものです。


バイエル・ブルグミュラー・ソナチネアルバム等
一般によく使われる教本は
様々な出版社から楽譜が出ていますね。
収録されている曲が同じであれば
その楽譜を選択する、決め手は何でしょう?
中の楽譜の見やすさ、装丁、値段etc.・・・

同じ曲でも、小さく1ページに まとめられているものと
譜面が大きく 2ページの見開き状態になっているもの
というだけの違いもあれば
スラーの場所が違ったり、本によっては 無かったり
装飾音の弾き方が 書かれているもの ・ 無いもの
解釈や、元になった楽譜が 違っているために
(作曲家によっては、同じ曲を 何度も書き直したり
作る過程の スケッチだけが 残っていて
完成品の原稿が なかったりするため)
音そのものが 違っていたりもします。

一般によく使われる出版社のものであっても
原典と比べると、結構変えられているな、という物もあります。
ですから、
同じ曲でも、いくつかの出版社のものを 比較したり
校訂版と 原典版と 2冊以上手元に置いて
どんな違いがあるのかを 調べたりします。

こういう作業は 結構楽しく、苦にならないのですが
楽譜がどんどん増えてしまうので
置き場所確保は 大変です。

ピアノの下は、もう無理・・・

パズル

2007年06月17日 | Weblog
今朝も大阪は良い天気になりました。
本日は父の日なんですが、
まだ何も用意していなかったので
これから父の好きな焼酎でもみつくろってこようと思います。

さて、休日は基本的に自分の練習に当てるのですが
生徒の曲もよく弾きます。

教えることを仕事としているくらいですから
中級くらいの曲は初見でも弾けるのですが
「弾ける」ことと「教える」こととは別物ですので
簡単な曲であっても 繰り返し弾き込んで研究します。

私の手は大きい方ですが、楽譜によって
子供の小さい手では、難しい運指が書かれていたりしますし
人によって使いやすい指に個人差があるため
こういう指使いに変えた方が演奏がよくなるとか
弾いてみるのが一番早くわかります。

そんなわけで
オクターブが届かない子が弾く曲は
自分の手を広げないように意識しながら弾いてみますし
まだ、4・5の指がまだ早く動かない子のために
その部分を1とか2・3の指で弾くには、
その周囲をどんな運指に変えればスムーズにつながるか
あれこれ試行錯誤してみます。

この部分は3と書いてあるけど、届かないだろうから5
すると次の指は4になるから、後につなげるために
3から1と指を寄せてきてー、
その後の速いパッセージの指くぐりの場所は
ここではなく、ここに変わって・・・

音楽表現のためなんだけど
限りなく合理的な計算もはたらく、
ほとんどパズルの世界です。

職業病というか、クセ

2007年06月16日 | Weblog

長年音楽に携わっていると
ごく自然に付く癖というか、習慣があります。

もっとも、仕事柄あることが習慣になるというのは
何も音楽だけに限ったことではないですが。

例えば、幼稚園でお仕事をされている方は
色やデザインなどが ものすごく気になるそうで
楽譜を見ても、
「なんでこの表紙は こんなデザインなのか」とか
「どうして こういう色使いをしているんだろう」と
考えてしまうのだとか。
ついでに、子供に向かって話す習慣から
無機物に向かって
「ロッカーさん」 「机さん」と 
つい [さん]付けして呼びかけてしまうそうです。

ちなみに私の場合
連続して一定の間隔で鳴る音があると
無意識に4拍子でカウントしてしまう癖があります。
数えていたわけでもないのに、止まった瞬間
2小節分と2拍だったから10回鳴ってたな、とか
わかるわけですが
これが何の役に立つかと言えば
大して役に立ちません。
せいぜい、祖母の家にある時計が
ボ~ン・ボ~ンと鳴って時刻を知らせてくれるのを
初めから数えてなくても何回目かわかる、というくらいです。

もうちょっと役立つことがあればいいんですが…

気になる。

2007年06月15日 | Weblog
とうとう、大阪は梅雨入りしました。
これで涼しくなれば
窓を閉めて冷房なしで ピアノの練習をしていても
結構耐えられるかも。

長年、ピアノとかオルガンとか
ピッチの安定した楽器に触れていると
絶対音感とまではいかずとも
だいたいの音感は身に付きます。

ピッチを自分で正確に作らなければならない
弦楽器や吹奏楽器なら、なおさら
耳は鍛えられるでしょうね。

そんなわけで
本来『 ド 』の音がするべき場所なのに違う音が鳴る
という現象が起きると
ものすごく違和感を覚えます。

某メーカーのお菓子のおまけ玩具なのですが
カラフルなミニチュアのハンドベルで、
集めるとドレミファソラシドの音階になる
という物があり、かわいいからと友人が集めていました。

ちょっと貸してもらって鳴らしたところ
『 ソ 』と書かれたベルは『 ド 』と鳴り
『 ド 』と書かれたベルは『 ファ 』と鳴ってくれました。
うわ、ずれてる・・・

そういえば、ある温泉街の土産物屋さんで売られていた
鉄琴とか玩具のキーボードも音が合っていませんでした。

これに限らず、
玩具の楽器というのは、
あまり正確なピッチに作られていない事の方が多いので
もし、お子さんに楽器の玩具を買ってあげる時は
ちゃんと確かめてから購入されることをおすすめします。

特に、ピアノを習いたいと言っている子に
とりあえず、と適当なキーボードを与えると
かえって耳によくありませんのでご注意を。

ツェルニーさん

2007年06月14日 | 音楽
昨日一昨日は30℃を越すか、それに近い夏日でしたが
今朝の大阪は雨になりました。
昨日までは
レッスンに来る生徒が皆「あっつ~!」と言いつつ
教室に入ってきていましたが、これで少しは涼しくなるかも。

ピアノのレッスンでは、
曲の表現や構成を学ぶことを目的とした
教本としての曲集を使いますが
一方で、テクニックをつけるための曲集も必ず、使います。

ピアノのテクニックを身につけるため
いろんな教本が出ていますが
その中で、よく耳にするのが
ツェルニー(チェルニー)の練習曲集。
30番・40番・50番の 中級から上級向けの本と
初級レベルからも使えるような曲集も出しています。

一般によく使われるのは「30番練習曲」だと思われますが
(うちのクラスでも、だいたいここから始めます)
これは全30曲からなる、練習曲集。
だいたい、ブルグミュラーからソナチネくらいと
並行して使われます。

30曲中、3分の1がハ長調
残り3分の2の曲が #・♭の調号4つまでの調で
調性が いくらかハ長調に偏ってはいますが
音階やアルペジオ・トリル等等
様々なテクニックを盛り込んで
曲想も結構バリエーションに富んでいます。

楽譜に書かれているテンポで弾けないことは無いですが
実際弾いてみてわかるように
かなり速いテンポに設定されておりますので
生徒に弾かせる時は、その80%くらいを目安として
仕上げるようにしています。

考えてみれば、当時のピアノと現在のピアノとは
音質もタッチも違うはずなので
昔のピアノなら、設定されたテンポで弾くのも
もう少し楽だったのかもしれません・・・

練習曲ではなく、一つの作品として
どんなタッチで どんな音色で弾こうか
どのくらいのテンポで弾けば、曲が流れていくだろうか
と いろいろ考えて演奏すると
なかなか魅力的な作品達です。

まだ自分が中学生で、これを勉強していた頃は
ひたすらテクニックを磨くことに専念していて
綺麗に弾いてあげられなかったのが残念。

ツェルニーさんっていうのは
当時の周囲の人たちからの評判なんかを調べてみると
ものすごくいい人だったらしいですね。
作品にその人柄が出ているとしたら
素直にきちんと考えて弾けば、その良さが出るのかも
と思います。

選曲

2007年06月13日 | 音楽教室
昨日も大阪は暑くなりました。
最高気温30℃。夏ですね。

本当の夏はこれからですが
先生達は、秋のグレード試験やイベント(コンクール等)
に向けて、今から準備を始めています。

ちなみに 私のクラスで
発表会やコンクールなど
生徒さんが舞台に上がって演奏する曲を選ぶ時は
あらかじめこちらで数曲、候補を用意しておいて
その中から本人に選んでもらうようにしています。

候補の曲を用意する時は
①ある程度弾き込まないと演奏できない。
  (通常のレッスン課題曲よりいくらか難度高め)
②その子の良い面が出せる部分がある。
③その子が苦手なところがあっても
時間をかければ 本番までに克服できそうな程度である。
等を いくらか念頭に置いて、選びます。
  
なおかつ、その子の好きなタイプの曲であれば理想的です。

さて
うちの教室では毎年 楽器店主催の演奏会があるのですが
それに参加するための曲を選ぶことになった
生徒のAちゃん。

一昨年・昨年も参加していましたが
どちらかといえば、華やかな曲ばかり弾いていたので
今年は少し落ち着いた曲を弾いてみない?と
構成のしっかりしたソナタを数曲、
候補として見せてみました。

一応、彼女好みの曲も一つ入れておこうかと
モーツァルトの作品も混ぜておきます。

A 「う~ん、一昨年はひらひらした感じだったし
    去年はくるくるな曲だったから・・・」
私 「これは(ハイドン)?明るくていいんじゃない?」
A 「う~ん・・・」
私 「こっちは、短調だけど旋律が綺麗だよ。」
A 「なんか違うな~・・・あっこれがいい!
    このピラピラ~の曲にする
   ( ↑ モーツァルト)


まあ、それを選ぶだろうとは思ってたけど。

楽譜クリップ  お仕事グッズ③ 

2007年06月12日 | お仕事グッズ

まだ新しい楽譜や、分厚い楽譜は
そのまま開いて譜面台に置いても
もとに戻ろうとする力が強くて、
勝手に閉じてしまったりしますよね。
今の季節だと、エアコンの風でめくれたりもします。

薄い本なら、ぐっと押して折り目を付けることで
そのまま開いていてくれるのですが
ちょっと厚くなると、
他の本を縁にひっかけるようにして
ページがめくれてしまうのを防いだり
生徒が演奏している間中、
私が直接手で押さえていたこともあります。

他人の目がない自宅で、自分が練習する時には
大きな洗濯ばさみを2つ使って止めていたのですが
さすがに教室にそれを持ち込むのは ちょっとねえ、
と思っていたところ
通販のカタログに、専用のグッズが載っているのを発見。
栞のように薄くてかさばらず
すっきりしたデザインが気に入り2つ購入しました。

楽譜専用のクリップは、以前から
洗濯ばさみの延長のように 楽譜の両側を止める
2つで1セットのタイプがありましたが
この楽譜クリップは、楽譜の中心部分に挟んで
1つで両ページを固定するタイプのものです。

4本の突起を 開いたページと本の表紙とに
交互に差し込んで固定するのですが
分厚い本でも さっと素早く止められるようになるには
ちょっと練習が要るかもしれません。
でも慣れると、外したり止めたりが
一ヶ所で素早くできるので、とても便利です。

誕生日

2007年06月11日 | 音楽教室
私のではありません。
ハワイのカメハメハ大王の誕生日が
今日6月11日ということで、
ハワイでは生誕を祝ってお祭りがあるんだそうな。


ハワイに関わる、日本でもよく知られた曲の中で
こどものピアノの曲集にも載っているのは、
(私の知る限りでは)
「アロハオエ」と「南の島のハメハメハ(カメハメハ)大王」
くらいなんですが
「アロハ~」の方は、もともとが優雅というか長閑というか
大変ゆったりした曲ですので
ピアノで演奏しても、『何か違う』という感じがして
弾いている子供も、何これ?という顔をして演奏します。
「南の島~」の方は テンポよく楽しい曲ですので
(考えてみれば、日本人の作詞・作曲ですし)
ノリノリで弾いてくれるんですけどね。


ちなみに最近のカメハメハ一族
雨が降っても休まなくなりました。
(まだ遅刻は時々ありますが)
1年経って,成長したなあ…

よかったよかった。
梅雨に入る前に、そこまで成長してくれて。

梅雨前線は、すぐそこです。