MY研究所

(えむわいけんきゅうじょ) ピアノの先生の日常と、音楽教室や音楽についてのお話。

成長する曲

2009年12月11日 | 音楽教室

五線の楽譜を習い始めたばかりの生徒さんは
黒っぽい楽譜(つまり音符でいっぱいの楽譜)
を見ただけで
「難しそう…」とつぶやきます。

実際弾いてみたら難しくないのになあ、という曲でも
このたくさんの音が何か、読まなくてはいけない
と思っただけで、しり込みしてしまうのですね。

取り組みはじめてしまえば大丈夫なのですが
この最初に「読もうとする」段階で
腰が上らない生徒さんも、たまにいます。

そういう生徒さんに
ちゃんと自力で楽譜を読んでもらう方法として
時々やっているのが『足し算方式』。
              
真っ白な五線ノートに
曲のメロディだけを、手書きで書き込み
読んで、弾いてみてもらいます。

これは単音なので、負担にならない。
すいすい読んで弾けます。

そうしたら、今度は伴奏パートを書き込むのです。
それも、一度に全部書かず
バスだけとか、1拍目の音だけ。
要するに、曲の骨格になる部分の音だけを
読んで、練習してもらうのです。

それが弾けるようになったら
じゃあ、ちょっと豪華にハーモニーをつけよう
伴奏に動きをつけてみよう」と、どんどん音を書き足し
原曲に近づけていきます。


曲全部ではなく、初めのほんの一部だけ
こういう作業をしてから楽譜を渡すと
初めの部分は、もう読めて弾けていますから
続きも読んで弾こうと思ってもらえるようです。

結局、もとの楽譜のままでも
同じ段階を踏んで練習していけば良いことなのですが
たくさんある音から、これとこれを弾いてみる」より
これしかない音に、ちょっとずつ足していく」と
足し算で進める方が、楽しいのですね。

『増えた音が、その音楽の中で果たしている役割』を
初めから意識して弾き始めるので、仕上がりもきれいです。