【ただいま読書中】

おかだ 外郎という乱読家です。mixiに書いている読書日記を、こちらにも出しています。

宗教国家?

2019-09-19 06:45:46 | Weblog

 アメリカでは二言目には「ジーザス」とか「オーマイゴッド」とか口走るそうですね。古い人は「ホーリーモーゼス(聖なるモーゼ)」と言う場合もあるそうです。なんと宗教的な国なのでしょう(もちろん以上はすべてスラングですので、私の詠嘆をまともには受け取らないように)。

【ただいま読書中】『大西洋の囮作戦(海の異端児エバラード・シリーズ(8))』アレグザンダー・フラートン 著、 高岬沙依 訳、 光人社、1991年、1800円(税別)

 オーストラリアでは艦の故障で珊瑚海海戦に参加し損ねたニックは、大西洋で輸送船団の護衛任務に就かされています。連合軍はシチリア上陸と北アフリカ反攻作戦を同時に計画、そこで欺瞞作戦として、マルタへの大量輸送計画を喧伝すると同時にエジプトで大反攻を始め、さらに大西洋をおんぼろ船を主体とした船団を護衛は最小限で(しかもこれまで一緒に作戦行動をしたことがない老朽艦ばかりの寄せ集めで)北上させることにします。その目的は大西洋で活動するUボートをこの船団に集中させ、そこで生じたギャップ海域を本命の輸送船団を通過させることです。そして、その囮船団の護衛を命令されたのが、ニックでした。優秀な彼だったら、どんな悪い条件でも生き延び続けUボートを長時間引きつけ続けることができるだろう、という目論見です。
 ニックの息子ポールは潜水艦でイタリア沖にいました。シチリア上陸前の秘密作戦に従事しています。そしてニックの義弟ジャックは、捕虜収容所から脱走しようと試みていました。皆がそれぞれの戦いを戦っています。
 しかし、足が遅い船団にさらに「進路を逸脱してはならない」という命令を課すのですから、司令部は鬼です。群狼作戦を採るUボート集団にとっては「動かない標的」と同じですから。護衛の軍艦が近づいてきたら潜ってやり過ごし、ひょいと浮かんだら予想通りの所をイギリス船団は進行中です。つきまといつつ自分の都合の良いときに魚雷を発射すれば良い。ニックの立場からしたら、敵よりも味方の方が憎たらしいのではないかな。敵はその敵を討つのが義務ですが、味方は本来味方を守るべきなのですから。
 そして船団は、最初は37隻だったのが、一晩ごとに数隻ずつ、魚雷の餌食となって消えていきます。さらには数少ない護衛のトロール船も。8〜10隻のUボートは船団の全滅を狙って毎夜毎夜執拗に食らいつきます。船団の船は少しずつ減っていきます。まるで「そして誰もいなくなった」状態です。
 そして、北アフリカ上陸作戦は成功。しかしニックはその功績を誰にも褒めてはもらえません。だって「何も知らない輸送船団を囮にしました」なんてことを上層部は誰も認めませんから。
 やはり「敵よりも味方の方が恐い」状況は、あったようです。




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