戸惑い八景

見たり聞いたりしたモノを独自に味つけしました。
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拙者、姓は・・・

2014年07月02日 | 想うこと

『丹下左膳 百万両の壺』、を観てしまいました。

NHKプレミアムで放映されていたのをDVDにおとしてあったのです。

昼間、DVDを整理しているときに見つけまして、最初だけでもと思い観だしたら・・・これが、面白いこと。

途中、お客さんの相手などしながら何度か中断しましたが、観ることを辞められず、最後まで観てしまいました。

分類するなら、ホームコメディーとなるのでしょうか、けっこう笑えますし、何より物語に引きこまれます。

調べてみますと、アメリカ映画に原作があるそうですが、間違っているかもしれませんけれど、話がよくできています。

役者も魅力的ですし、なにより戦前の大スター、大河内伝次郎が素晴らしい。

苦み走った役者さんかと思いしや、ユーモアたっぷりの、ある意味、お茶目な雰囲気さえもっています。

しかし、いったん殺陣になると、その素早いこと。

ひょっとすると、速く見せる撮り方をしているのかもしれませんが、身体の動きがキレキレで剣のさばきも無駄がなく美しい。

しかも丹下左膳ですから、片手だけです。

ですけれど、本作では、殺陣は2シーンしかないのです。

調べてみると、GHQの検閲で削除されたとのこと。

真剣が舞う大殺陣シーン、あるだろうと思われる場面がないのです。

肩すかしを食らった気持ちになりました。

山中貞夫、夭逝してしまった天才監督として名が知られていますが、30本近く創って、3作品しか残っていないというのはあまりにも哀しいことです。

私は、そのうちの2本を観ることができました。

20年前なら、それさえも厳しいことだったと思われます。

現在は、色々な作品がDVD化されますので、一般家庭でも幻の名画が観られるようになり、出会うことができたのです。

観た2本が、あまりに対照的な作品で、どちらも、すごいと唸らされますけれど、創られたのが80年ほど前だというのが、また驚いてしまうことです。

『人情紙風船』を観たときにも思ったのですが、日本映画は、戦前のうちに現在の形ができてしまっていた。

それを受けての、黒澤であり、小津であろうと。

しかしその後から、衰退が始まって現在に至っているのだろうと・・・。

 

 

 

 

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