戸惑い八景

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悦子節

2016年05月25日 | 想うこと

22日の日曜日、市原悦子さんの講演会を見に行きました。

聴きにいったというのが正解でしょうが、『市原悦子、お話と朗読』です。

会場は、国府町の『さくらホール』です。

400席くらいあるでしょうか、全席指定の満杯でした。

大盛況です。

チケットは完売だったので、駐車場の混雑も予想できたのでしょう、駐車場整理員の方も、シルバー人材からの派遣だと思いますが、10人ちかくいました。

お客は中高年のご婦人が目立ちましたが、ファンの方も多いのでしょう、市原さんが登場したときから、大盛り上がりになりました。

会場がどよめくのです。

そんななかで、自分の半生を語り始めました。

戦時中の少女時代、疎開先での、腕白な振る舞い等です。

そうとう活発な少女だったようで、手下を連れての、男の子顔負けの活躍ぶりを語られました。

それから、高校での演劇部でのこと。

恩師である演劇部の顧問とのふれあいなど、独占欲が強くて、自己主張も強くて、強烈な個性を発揮していたようです。

そして、銀行への就職が決まっていたのですが、不安神経症を患い、就職を断念し、俳優座の研究生になったそうです。

俳優座にはいるための試験では、何も特技はなかったのですが、ピアノ伴奏に合わせて自由に踊るという科目で完全に解放されて、それが評価されたのだろうと、おっしゃっていました。

基本、超前向きな方です。

そして、演劇では、稽古が好きで、ずうっと稽古をし続けていたい、といつも思っていたそうです。

「稽古ができれば、本番はいらない」、と言って、江守徹さんに叱られた、と仰いました。

ある意味、長嶋茂雄さん的、においがします。

ですが、稽古の重要性を、何回も説いていました。

舞台では失敗ばかりしていましたが、稽古を積んでいるから乗りきれたと。

毎回、”ここまで遣ったんだから”、という気持ちで本番に臨んでいたそうです。

さて、御歳、80歳の朗読です。

まず驚いたのは、ダイナミックレンジの広さです。

音程も、男の低い声から子供の高い声まで出てきます。

3オクターブほどあるのではないでしょうか。

柔らかい口調から、床を踏みしめての、ほとばしる声まで出てきます。

プロ中のプロなのですから、当たり前なのかもしれませんが、圧倒されました。

グリム童話は怖いのです、と仰った、怖い話を朗読されましたが、階段を一段づつ踏みしめて上がっていく場面とか、大きな箱の重い蓋を開ける仕草とか、見えるようでした。

朗読なのに・・・

動きと視線が具体的というか、読む間をうまく使い、聴く側のイメージを喚起させているのですね。

ややこしい表現になりましたが、引きこまれていくのです。

というのも、この講演会に行ったのには、妻が読み聞かせをしているので、そのためもあって行きました。

私はどちらかというと、それほど興味があったわけではありませんでした。

会場の中でも、比較的冷静に観ていた方です。

最初、登場なさったとき、会場がどよめいたので、まるでロックスターの登場ですよ、それが異様に思えたくらいです。

それほで引いて見ていたのですが、いつのまにか、引きこまれてしまっていたのです。

市原悦子ワールドに。

しかも年齢を思えば、この人は、言葉は悪いですが、バケモノか! といったくらいの衝撃を覚えました。

未だ現役、あれもしたいこれもしたい、と常に前を向いていらっしゃいます。

健さんに似ていますね。

健さんも、80歳の時に、「幸せになりたい」、と仰っていましたから。

素晴らしい方でした。

観られて、幸せでした。

感謝しております。

余談ですが・・・

『さくらホール』は、演劇に使用できないかと見たのですが、反響版が常時設置されているようで、演劇公演には向いていないのでは、と思ってしまいました。

どうなんでしょうか・・・

 

 

 

 

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