普通のおっさんの溜め息

戦前派から若い世代の人たちへの申し送りです。政治、社会、教育など批判だけでなく、「前向きの提案」も聞いて下さい。

外国投資ファンド全敗を意味するもの

2007-06-29 10:55:40 | 企業経営

<<株主総会で外国投資ファンド全敗>>
6月28日のNHKのニュースで、最近の一連の株主総会で、外国投資ファンドの配当増額要求や、防衛策反対の提案が全て拒否されたとの報道で約20社のリストが表示されていた。

年6月28日の読売新聞の投資ファンド劣勢、防衛策承認 相次ぐ…増配要求否決も
によると、
 米系投資ファンドのスティール系列ファンドが大株主となっている企業では、食品メーカーのハウス食品で、事前警告型の買収防衛策の導入が出席議決権の約80%という圧倒的な賛成多数で承認された。
 他のスティール銘柄では、歯科器材製造販売の松風や橋梁(きょうりょう)メーカーの高田機工でも、議決権ベースでそれぞれ約80%と過半数が賛成、防衛策導入が決まった。
 大手エレベーター製造のフジテックでも、筆頭株主の米系ダルトン・インベストメンツが反対していた買収防衛策の継続議案が69・5%の賛成で承認された。
 電源開発、中部電力の総会では、英投資ファンド、ザ・チルドレンズによる増配提案が否決された。
と報道している。

<裁判でもファンド敗退>
またこれを受けて、
 米系投資ファンドのスティールがブルドックソースの買収防衛策差し止めを求めた仮処分申請で、東京地裁(は28日、スティールの申請を却下する決定をした。
裁判長は決定理由で、スティールが買収後の経営方針を明確に説明していない点に触れ「対抗手段をとることが必要とした(ブルドックの)株主総会の判断が明らかに合理性を欠くとは認められない」と指摘した。
 24日の株主総会で防衛策が80%を超える賛同で承認されたのに続き、防衛策の正当性を認める司法判断が出たことで、ブルドックに対して敵対的な株式公開買い付け(TOB)を仕掛けているスティールは厳しい状況に追い込まれた。

以上中日新聞から引用

地裁の判決前日の6月27日の読売社説では、
 一般株主の圧倒的多数が、目先の利益ではなく、企業の長期安定成長に軍配をあげた。日本の資本市場の健全性が浮き彫りになったのではないか。
 スティールの株式公開買い付け(TOB)に対抗する防衛策導入の是非が問われたブルドックソースの総会では、約8割が会社提案の防衛策を支持した。
 大幅増配が争われたブラザー工業と因幡電機産業では、スティールの株主提案が、いずれも大差で否決された。
 一連の総会の前、来日したスティールのリヒテンシュタイン代表は「日本の防衛策は世界最悪だ」などと述べた。ブルドックの株主にも、防衛策に反対することが「長期的な会社の利益になる」と支持を呼びかけていた。
 だが、その株主は「百年を超える企業に土足で入ってくるところは許せない」「具体的な経営構想を示していない」などと、スティールに強い反感を示した。株式を買い集めて強引な要求を突き付ける手法への拒絶反応と言えるだろう。
 日本企業2社がスティールに初めてTOBを仕掛けられた03年、動揺した2社は法外な増配に追い込まれた。防衛策で対抗するようになったのは一つの進歩だが、経営者はそれに安住せず、株主の支持を得るための努力を続けるべきだ。
と書いている。

<<今後のファンド対策>>
中でも問題なのは 外国投資ファンドの目標になったものに電源開発、中部電力と言う言わば国策会社、日本のインフラストラクチャーの基幹の会社が狙われた事だ。
然し、幸いにも、これらの殆どの会社の株主が、個人的な一時の利益を狙うより、長期的な利益の追求を考えている言わば日本型の経営方針に同調したのかファンドの全ての企ては失敗に終わった。
もう一つは読売の社説以外の理由として、スティールのCEOが「日本の株主をEducateするために来た」との発言に強い反発を覚えたこともある様な気がする。

これらの一連の動きに対して、財界や批評家たちは、
1.ファンドのお蔭で経営者は株主の意志を無視できなくなったし、今までのような独善的な経営が許されなくなった。

2.今後とも外国ファンドの攻勢が強まり、防衛策を講じる必要がある。

3.外国ファンドは今回の様な日本人株主の反応を見て、日本で利益追求の難しいことからファンドがが逃げ、株式市場の活動が沈滞し、資金の流入が減るのではないか。
と言っている。

私は経済など全くの素人で1.や2.については何となく判るような気がするが、3についてはよく分からない。
そう言う素人の素朴な疑問だが、
1.経営者が本来の仕事である、会社の運営とその合理化、長期的な会社の成長、従業員の管理などそこのけで、会社の防衛策に追い回されているのは仕方がないのだろうか。

2.TOBと言う脅しをかけて、短期的な配当の増額をさせたり、株価のを吊り上げさせた後売り抜けるなど、果たして会社の為(最終的には日本の為に)になるのだろうか。

3.会社規模の拡大を図る同業会社のTOBならともかく、そのような裏付けのないファンドの資金が本当に日本が必要なのか。
そんなに日本の資金が欠乏しているのだろうか。

4.企業防衛策としてのかってのような企業間の株の持ち合い、銀行の株保有など考えられないのだろうか。
もしそれが経営者の怠慢に繋がるなどの弊害があるなら、それに何らかの制限を付けても認めるべきではないのか。

5.今までの日本を支えてきた日本型の企業経営の悪い所は直し、良い所は採用するなどの政策の見直しを、金融市場の開放などの長所短所の見直しと合わせて行うべきではないだろうか。
などいろいろ考えられる。

何故なら、
・今回は株主達の賢明な判断で無事日本企業が助かったが彼らの考えがそのまま変わらないとは限らない。
堀江さんや村上さんなどの株主最優先を考えている人もいる事だし、それも一理あるからだ。
・今までサミットなどで、ヘッジファンドの弊害については、米国を除いて何らかの処置をとるべきと言われてきた。

そんなことを考え合わせると、私の素朴な疑問もそれなりに検討の価値もあるような気がする。

日本は今だに残る数々の規制などで国際的な競争力は24位だそうだ。
もし私の言う様な規制をしたらその競争力はさらに落ちるかも知れない。
然し世界が何と言おうと、企業の実質的な競争力、大きく言いえば、日本株式会社の競争力上がれば、それでいい様な気がする。
政府や経済界の関係者達が、米国などの圧力に囚われない公平で、的確な政策の立案を願いたいものだ。

参照:
日本型経営(世界で勝ち抜く為に)       (07/5/13)
「日本株式会社」の観点から見た日本  (07/5/25)

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2 コメント

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Unknown (ash)
2007-06-29 12:58:39
>中でも問題なのは 外国投資ファンドの目標になったものに電源開発、中部電力と言う言わば国策会社、日本のインフラストラクチャーの基幹の会社が狙われた事だ。

ここが心配ですね。
外国資本ですでに各国インフラに手を出しているところが有りまして、そこは民営化水道業者を狙い撃ちにしました。
その結果、水道料金が軒並み値上がりしてしまいました。
東南アジア各国は3-5倍
北京に至っては民営化前の23倍という数値になりました。

代替の無いライフラインであるため民衆は従わざるを得ず・・・という状態です。
株をやってないひともここには注意しなければいけないと思います。
ashさんへお礼 (無党派A)
2007-07-01 11:00:14
貴重なアドバイスを頂きまして有り難うございます。今後ともご助言とサポートをお願い致します。

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