普通のおっさんの溜め息

戦前派から若い世代の人たちへの申し送りです。政治、社会、教育など批判だけでなく、「前向きの提案」も聞いて下さい。

半導体の敗退・今後の自動車産業・政府の役割

2010-11-18 16:53:54 | 企業経営・原発

 「東洋経済オンライン」の「野口悠紀雄の「経済危機後の大転換・ニッポンの選択」で 「かつて世界を制覇した日本半導体産業の凋落と言う概要次のような記事を見つけました。
 
90年における日本のトップ3社の半導体のシェアは世界の約3割のシェアを占めていたが、現在のトップ3社は、インテル、サムスン電子、テキサスインスツルメントだ。
 半導体産業における敗北で最初に注意すべきは、(90年代に米国紙が絶賛した)日本企業の特性(短期利益に左右されない、など)80年代にはプラスに作用したその特性が、下記のように技術体系と世界経済が大きな変化をした90年代からは逆向きに作用したとしか考えようがない。
 日本企業の長所は短期的利益に左右されないことだと言われた。それはその通りなのだが、実は的確な長期的視点を持っていたわけでもなかった。単に市場の条件変化に反応しないというだけのことだったのだ
先端的製品と低価格製品の両面で敗北
 80年代から90年代にかけて、ITの登場と言う大きな技術体系の変化が生じた。そして大型コンピュータからPC(パソコン)への変化であり、いま一つは電話からインターネットへの変化だ。
 日本が覇権をとったDRAMは、信頼性の高い製品が求められ大型コンピュータ用のものだ。ところがPC用のDRAMの需要が増えた。大型コンピュータ用ほどの信頼性は要求されず、その代わりに、価格が安いことが求められた。
 この変化が生じたとき、日本は韓国、台湾のメーカーに太刀打ちできなくなったのだ。 これらの国・地域の賃金は日本より低く、それゆえ低価格の製品を作ることができる。 サムスンは、それに加えて、巨額の設備投資によって製造単価を引き下げた。
 MPU(PCで用いられる超小型演算処理装置)は、半導体のチップだが、そこに書き込まれている計算回路の設計が重要な意味を持つ。インテルは、すでに80年代にDRAMから撤退し、MPUに特化した。
 日本は低価格製品が必要となったDRAMで新興国に敗れ、ソフトウエアの比重が高いMPUでアメリカに敗れた。結局、日本が強かったのは、基本的な技術が確立されている高性能製品を、効率よく生産することだったのだ。つまり日本は、ブルーカラー的製造工程には強いが、ホワイトカラー的な設計過程では弱いのである。
 ところで、以上で述べたことは、半導体産業に限ったことではない。同じことが、今後自動車について起こる可能性がある。従来のガソリン車やハイブリッド車は機械的に複雑な製品であり、こうした製品の製造過程での「すり合わせ」に日本は強い。しかし、今後主流になる可能性がある電気自動車は、バッテリーなど個々の部品には先端技術が必要とされるが、機械的には単純な製品なのである。そして個々の部品に関しては、シリコンバレーなどのベンチャー企業が強い。したがって、MPUでインテルに負けたのとの同じことが、自動車でも起こる可能性がある。
 他方で、新興国での需要は、低価格車が中心だ。この面では、PC用のDRAMで韓国や台湾に負けたように、中国の自動車メーカーに負ける可能性がある。
 こうして、技術的にきわめて高度なものと、廉価品の大量生産という二つの分野に自動車が分離する可能性がある。そうなれば、自動車産業が半導体の二の舞になる可能性は、決して否定できない。
ソフトウエア産業に弱い日本
 もう少し視野を広げてIT一般を見ると、ソフトウエア産業の比重の増加は、きわめて顕著だ。そして、この分野で日本は大きく立ち遅れた。
 PCのOS(基本ソフト)に関して、マイクロソフトのウインドウズが標準的なものとして確立された。
 インターネット面では、日本では、マイクロソフト、ヤフー、グーグル、アマゾンのようにソフトウエアに特化した先端的企業は、結局のところ現われなかった。こうして日本は、ITにおいて決定的な遅れをとることになったのである。

[私の意見]
・ウインドウズと言えば直ぐ日本製OSのTRONを思い出します。
 TRONの構想が発表され日本政府がその積極的な推進を決めた時、日米貿易摩擦が過熱する中、米国からスーパー301条の適用の示唆され、政府とTRONN開発に参加した大手メーカーを及び腰になったそうです。
 マイクロソフト社はTRON開発に対して米国政府に働きかけたと言われていましすし、Windowsの技術を一般に公開と言う戦略で世界的に独占、そのOSを利用したソフトのソフト普及で、少なくともPCではその存在を揺るぎないものにしてしまいました。
 現在、電話や冷蔵庫などの家電,携帯電話で使われているTRONが、仮にPCで普及したとしても、世界でどれだけのシェア確保するかは判りませんが、少なくともTRON開発からの撤退が、日本の学者や技術者のソフト開発の意欲を減退させたことは大きいと思います。
 あの時政府がもう少し頑張っていればと思うのですが。
電気自動車の開発の報道を見て、その日本に対する影響の大きさを感じたのは私だけではないと思います。
 つまり車輪周り以外は余り技術の要らない部品、運転のためのブラックボックス上のソフトが詰まった電子部品、そしてこれも電池さえ何処からか手に入れれば、特に優れた性能の要らない車なら、プラモデルのように誰でも作れるからです。
 著者の指摘するように、これからの自動車メーカーはどの方向を目指して行くのか、非常に難しい決断に迫られるでしょう。
・政府の役割
 著者は日本企業の半導体敗退の原因は「実は的確な長期的視点を持っていたわけでもなかった。単に市場の条件変化に反応しなかった」と言っています。
 私は米国の住宅バブル崩壊のとき、日本の金融機関だけは少ない被害で済んだのに、瀬製造業は大きな被害を受け、大量のリストラを産み、大きな社会現象になったことの反省として、政府が何らかの指導があれば、製造業も幾らかは被害を押さえられたかも知れないと書きました。
 一般企業は著者の指摘するように、狭く短期的な視野で道を誤ることもあるいます。
 この様な問題に対しても、政府が日本社会に大きな影響を及ぼさないように、第三者的な立場で何らかに指導をすること。
 その為に私が時々書く、誰でもその情報を共有できる、超党派のシンクタンクを設立を考えて貰いたいと思うのですが。
 何故なら経営者は皆優秀とは限らず、中にはというか、大半は凡庸な人達が多いと思うからです。

このブログを、より多くの人にも見て貰いたいと思っています。どうぞご協力をお願い致します。

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6 コメント

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前原外務大臣会見(平成22年11月16日) (愛信)
2010-11-18 23:21:25
○朝鮮王室儀軌等の引き渡し
「朝鮮王室儀軌等の引き渡し」は、11:27~13:34。
http://www.youtube.com/watch?v=oL4fQXY7bGU&nofeather=True
(動画)
関連情報【「略奪図書の引き渡しは日本が誤ちを認めるという意味」】
http://japanese.joins.com/article/article.php?aid=134715&servcode=A00
反日売国民主党韓内閣が100年前の朝鮮併合が無効の
要求に謝罪宣言をして御皇室が保管している歴史文化財
の朝鮮王朝儀軌等の引渡しを強要する行為が世界中に
日本人を貶める誤った情報を発信している。 我が国が韓
国に対し文化財を引き渡す法的義務は何ら負っていない
という大前提に鑑み野党過半数を占める参議院ではこの
協定を承認しないで引渡しを阻止する事を要請しましょ
う。
反日朝日新聞の記者と売国民主党内閣が結託して100
年前の朝鮮併合が無効であると認めた事を日本国民に隠
蔽している。

【動画ニュース掲示板】最新版
http://www.aixin.jp/axbbs/kzsj/kzsj6.cgi
【動画ニュース最新版タイトル一覧】はこちらをクリックして下さい。
自立、自衛の道 (田舎のダンディ)
2010-11-19 08:23:10
お話の通り、半導体産業の苦境は深刻ですし、トヨタの未来も危ぶまれます。

根本的に、国際問題に対する日本の脆弱さは、政治力の差が表れていると思います。世界標準作りに関わる日本の関与も相当に劣勢だろと推測します。

国益のために世界を動かすとや、本当のリーダーシップを執ることが出来ないのは、その方が日本人の性向に合致して生き易いからだと思います。自らの身を削るようなODA、国連負担金さらには炭酸ガス削減案など、他国の嫌がることは率先して実施する方法で、自らの評価を高める道を選び続けてきました。

すべて、戦後身に付いた摩擦を回避する哲学が為せる業ともいえますが、類まれなる日本人の潜在的な能力が支えてきたものです。しかし結局、誰からも敬意を払われず利用され、世界の均質化と産業技術の普遍化によって折角の優位性も極度に損なわれつつあります。

こうした危機を回避する道は一つだと思います。国策と日本人の意識を大転換し、世界におもねる生き方から、自立し自衛する道と、世界の閉塞状況を打開するような未来の技術や産業を起こすための施策を大胆に実施することだと思います。

トヨタのように、自動車で世界の未来を拓く貢献をしてきた企業でさえ、優位性が失われつつあるのなら、まだ誰も挑戦し得ない次代の、未来技術分野のリーダーになってもらう支援を国策で行うことです。国が主導するのは、財政再建より、大胆で積極的な財政策で産業界を刺激し、極端な優遇策で未来産業への投融資を促進することだと思います。

自立によって自信を持った日本人は、はじめてその潜在能力を遺憾なく発揮できるでしょう。第2のトロンも生まれるはずです。その時はじめて、アメリカとも中国ともEUとも対等に本当の友好関係を築けるはずです。ただし、その日が来るまで日米安保を損なってはいけません。
半導体産業が90年台以降に本当にだめだったか? (海燕)
2010-11-19 21:00:07
私は30年近く半導体に携わっていますが、実際は90年台に日本半導体が失速したのは、実は米国と日本政府が一緒になって積極的に自国の半導体の成長の足を引っ張り続けたことが原因と思います。(1)当時、非常に期待されていたTRON計画を潰しMPUで覇権を取ることを邪魔され、(2)国内メーカには米国製半導体を一律20%以上の購入を義務付ける暴挙の片棒を日本政府自身が積極的に推し進め、日本半導体の販路を縮小させたり、(3)成功事例であった各日本メーカ同士の半導体共同組合を米国の反対で強制的に解散させたり(逆に米国は即座に自国メーカ同士の半導体共同開発組織を設立)、本当に苦難の歴史を歩まされたと実感しています。自国政府は80年台後半から米国の要求に忠実に従い、見事に日本半導体を衰退に追いやってくれましたね。
Unknown (誠に残念ながら)
2010-11-20 08:50:14
田舎のダンディ氏の言い分は、解らなくも無いです。
しかし、私には
こうした危機を回避する道は一つだと思います。国策と日本人の意識を大転換し、世界におもねる生き方から、自立し自衛する道と、世界の閉塞状況を打開するような未来の技術や産業を起こすための施策を大胆に実施することだと思います。

の自衛をする道は、今の国民を見ていてとても
不可能ではないかと考える次第です。
今、アジア各国とも軍事費は年々右肩上がりを
続けている中では、当然日本も防衛費の積み増しを行わざるを得ないでしょうが、それを是とする意見に未だ乏しいように感じます。
(この辺りの意識が変わらないうちは、どうにも成らないでしょう。)

財政出動にしても、そうですが
1)せっかちな日本人で、雇用を創出できる水準に達するまで嵩む研究費を税金で支出するのを国民が待ってくれるか
(最初はもっとバラマキを、それがあまり経済効果がないとわかると、もとの公共事業をもっと入れてくれと言いはしないか言い換えるなら
花が開くまで待ちきれるか。)

2)社会保障費は黙っていても年々1兆を超えるペースで増額していってますその中で
多方面に財源を振り向けるのは、意外と簡単にはいかないものです、短期に置いてはさらに財政悪化を招くでしょう、また社内失業者を現状
雇用調整金などで守ってる状態でもありますが
このあたりも当然厳しくなることが予想されます。それでもなお痛みを我慢して未来の為に
金を使うことを良しと国民がするのか否か。

わたしは、国民がそれでも将来を、というのであればそれには反対しません。
さて、国民がどちらを向き、どうしてもらいたいのか・・・
そこが大きな問題だと思うのですよ・・・
外患は天佑 (田舎のダンディ)
2010-11-20 14:24:02
自衛の前に、財政政策自体、健全化志向と大幅な経済刺激策志向とがせめぎあって、何の方向も見出せません。国民も、増税はいや、健全化はしろ、経済は活性化しろ、雇用は増やせ、仕事をくれと要求を羅列はしますが、政府も同じレベルで、立場によって発言が変わり定見もありません。

円高は国益なのか損なのかさえ明確に示す人もおりません。デフレがいいのか悪いのかさえ明言できません。いま、財政は健全化を第一に目指すべきか、それよりも、それを棚上げにしても経済活性化や未来産業興しを大胆に目指すべきか、それすら合意を得ないまま、小出しに、どっちつかずに、殆ど静観しながら事に臨んでいるのが菅政権です。

事業仕分けをやるなら、天下の有識者を一同に集めて論争させ、最も説得力のあった策を選択した方がいいのではないかと思うほど、今日本は岐路に立っています。浮上する国力と国民の潜在能力は世界一であるが、方向を定める政治的能力は世界一低いというのが実態だと思います。

私は、財政健全策優先と、まっこう反対の立場です。天佑は、立て続けの外患によって外交政策のあるべき方向が示されていることです。日米安保偏重が疑問であれば、自衛力強化の方向しか選択肢はありません。でもそれが日本を救い、周囲との軋轢を減らす方向だと信じています。
失礼 (田舎のダンディ)
2010-11-20 14:31:23
大事なことを記入しませんでした。上記のコメントは、<誠に残念ながら さん>への感謝を込めた答えです。

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